豪華なアニソンアーティスト、声優が出演!「スポーツ・オブ・ハート2016」にインタビュー

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 2016年10月14日から16日までの3日間、東京・国立競技場を舞台に、「スポーツ・オブ・ハート2016」(「S.O.H 2016」)が開催される。「障がい者も健常者も一緒に楽しめるスポーツと文化の祭典」をコンセプトに、幅広い人たちが楽しめるビッグイベントだ。2016年はこのなかで、3日間にわたり「SOHミュージックフェス 2016」が行われ、とびっきりのライブミュージックがイベントを彩る。

 さらにこのうち2日間には、アニソンファンに馴染みのアーティストが集結している。スフィアやPile、内田彩、鈴木このみ……。目を奪うような豪華出演者たちだ。この秋の大きな話題を呼ぶのは間違いないだろう。
 そんなアーティストライブが、なぜ「スポーツ・オブ・ハート2016」で実現したのだろうか? そして「スポーツ・オブ・ハート2016」とはどのようなイベントで、どのように運営されているのか。
 一般社団法人スポーツオブハートの理事を務め、「S.O.H」のスタート当初から関わってきた佐久間和男氏に、イベントの意義、目指すことをお伺いした。そこからは、スポーツや文化を通じた誰も楽しめる社会との実現という大きな願いが伝わってきた。アニソンや声優もそうした願いの実現に手を貸すかたちだ。

◆前代未聞! 健常者と障がい者の合同スポーツイベント「スポーツ・オブ・ハート」

 近年ムーブメントとして注目される「S.O.H」の第1回開催は2012年、今年は4回目に過ぎない。それなのになぜ「S.O.H」は、こんな大きな支持を集めるのだろうか。「障がいのある人もない人も。みんなで一緒に楽しむ」という誰もが共感するコンセプトにあるだろう。
 ところが佐久間氏によれば、イベントのはじまりは障がい者スポーツが世に知られておらず、アスリートたちが様々な苦労をしている現実を知り、まだまだ知られていない障がい者スポーツを広く伝えたいという思いがあったからだ。「S.O.H」がどのようなきっかけで始まったのかから、まず伺ってみた。

――「障がい者のある人とない人が共にスポーツを楽しむ」、もっと昔からあってもおかしくないはずなのに、それまで大きなイベントはありませんでした。その中で「S.O.H」のが始まったきっかけは何なのでしょうか?

佐久間和男氏(以下、佐久間):イベントのスタートは、ロンドンオリンピック/パラリンピックがあった2012年です。そのさらに前になる2009年頃に、たまたま障がい者のアスリートさんたちと知り合うきっかけがありました。その時にアスリートの方々が、練習環境で非常に苦労している、国際大会や遠征における経済面でも負担が大きいというお話を伺いました。その費用を寄付で募っているというのです。

――それになんとか協力できないかと?

佐久間:その時に僭越ではあるのですが、自分たちでもっと情報発信をして、ファンイベントなどを仕掛けないとなかなか継続は難しいのでないかとお話しました。それに対して、彼らから「僕らがイベントをしてもなかなか人が集まらないのですよ」とのお答えをいただきました。では、どうしたら彼らがより注目され、それにより地位を上げ、練習環境を改善できるか考えたわけです。

――そこから動きだしたわけですね。

佐久間:まず、スポーツ選手の方々とお話をしました。ところがスポーツ選手も縦割り行政の影響もあり、ほとんどの方が障がい者スポーツの状況を知らなかったのです。そのなかで女子マラソンの金メダリストである高橋尚子さんにお願いしたら、「協力できることがあれば何でもしたい」と快諾をいただきました。そこから障がい者と健常者の参加するスポーツイベントというアイディアになりました。

――そこはすんなりと進んだのですか?

佐久間:実は健常者のスポーツと障がい者のスポーツは行政の管轄が違うこともあり、当時は前代未聞と言われました。訝しがられもしましたが、応援していただけるかたも多く、国立代々木競技場を使わせていただけるようになりました。ただ会場をお貸しいただくと、今度はここに入る集客力のある企画を考えないといけません。それが「SOHミュージックフェス 2016」につながっています。

◆世界を動かす若者に吸引力のあるアニソン、声優のパワーで科学反応を期待

 「S.O.H」は、スポーツイベントとしてスタートしている。しかし、その立ち上がりからカルチャーとも密接につながっている。さらにより多くの人に障がい者スポーツを知ってもらい、一緒に楽しんでもらいたいと、2016年の目玉のひとつと企画されているのが「SOHミュージックフェス 2016」だ。
3日間のライブのうち、10月14日(金)は17時30分から(開場16時半)と、10月15日(土)15時から(開場14時)は、アニソンアーティストや声優、アイドルにフォーカスしている。豪華アーティストたちも、「S.O.H」の目的に賛同しての参戦だ。このライブについてのお話も聞いてみた。

――障がい者スポーツの認知度アップを目指した「S.O.H」ですが、カルチャー分野、とりわけ音楽アーティストの参加が大きくなっています。これはどういった流れなのでしょうか?

佐久間:当初からより大きな注目を集めるためには、スポーツと音楽の祭典にしなければと考えていました。実際に一回目からスポーツ選手だけでなくアーティトに呼びかけています。『もののけ姫』の主題歌を歌った米良美一さんや土屋アンナさんに参加いただいています。
現状では、障がい者のアスリートだけではそこまで人が集まらないという状況もあり、集客のあるアーティストさんたちに呼び水になっていただき、それをきっかけに知ってもらいたいと考えております。昨年は地下アイドルの方々が150組出演しましたが、そのファンたちから障がい者スポーツを知って驚いた、自分も励まされたとお礼をいただいたりもしています。

――今年のミュージックフェスティバルはどのようなかたちになりますか。

佐久間:14日から16日まで、代々木第一体育館を会場にします。アニソンアーティストさん、声優さん、アイドルの方々には14日、15日に出演していただきます。14日は前夜祭的な位置づけです。もうひとつ、代々木公園に隣接するメイン会場のイベント広場には地下アイドルが100組ぐらい出演します。

――今回は、3日間のうち2日間をアニソンを中心にしたプログラムで組みました。その理由にはありますか?

佐久間:ここ数年、アニソンや声優、アイドルが若い人に対する大きなムーブメントになっていることがあります。例えば『ラブライブ!』で活躍された方々が紅白歌合戦に出られたりしています。そうしたムーブメントを起こせるパワーと「S.O.H」が重なることで、いい化学反応が起きればいいなと思っています。
「S.O.H」を世界に発信できればという思いもあり、世界にも波及力のあるアニソンアーティストやアイドルたちの勢いを重ねたいと考えており、今回参加されるかたたちに大きな期待をしています。

――出演されるアーティストさんは、とりわけ若い世代に人気のかたが揃っていますね。

佐久間:そうですね。僕らは偉そうにいろいろ言うのですが、50代、60代ともなると、実際には世界を大きく変える力を持っていないんです。若い人たちはいつの時代でも宝ですし、そのパワーが国を変えると思っています。
今回の出演者のファンは10代や20代のかたたちだと思いますから、いまの世の中の一番発信力があります。もちろん「S.O.H」は幅広い世代に来てもらうことを目的にしていますが、一番意識したのはこうした若い世代の人たちなのです。どうやったら彼らが会場に来てくれるのかを考えた時に、こうした今のアーティストのかたで、そこで関係者のかたに協力していただきました。

――アーティストさんたちの反応はどうですか?

佐久間:参加にあたっては、皆様に「S.O.H」の目的を説明させていただきました。そのうえで参加していただいています。ただ参加するだけでなく、SNSなどを通じて、イベントについてファンとコミュニケーションを取ってくださいとお願いしています。

――S.O.Hならではの演出も期待できますね。

佐久間:今回はイベント全体のオープニングには、『ポケットモンスター』のエンディングを歌っておられるLittle Glee Monsterが出演します。小さなお子さんに人気ですから、若者のよりもっと小さい子どもたちや、その親御さんにも来て欲しいと思っています。彼らは2020年には中学生や高校生になります。そうした方が障がいスポーツを知るきっかけになって欲しいですね。そして、もう少し年齢が高い10代、20代にはミュージックフェスに来ていただけたら。

――その他にはどうですか?

佐久間:長いライブですから全席指定席で出入り自由になっています。外でもいといろいろなイベントをやっておりますので、ライブの途中に会場をでてスポーツを楽しんだり、アスリートたちと触れ合うことも可能です。
それと今年はFresh! by AbemaTVを通じてスポーツイベントの生配信もします。今年は行きたかったけど、来られないというかたも、これで体験していただけるはずです。

――参加アーティストが他のプログラムに参加することもありますか?

佐久間:あります。先ほどのLittle Glee Monsterはノーマライズ駅伝にも参加します。他の出演者の方々もオファーをしているところで、是非、アスリートたちと一緒にスポーツに参加して欲しいと思っています。

「スポーツ・オブ・ハート」は、今後もまだまだ新しい可能性を持っている。

 「S.O.H」は誕生からわずか4年で、東京の秋を代表するイベントに育った。短期間で大きな支持を集めてきたのは、社会的にも「S.O.H」のような交流の場を求める気持ちが大きかったのでないだろうか。
その可能性は大きいだけに、今後の展開も気になるところだ。

――イベントを通じて「S.O.H」が知られるようになれば、今後の活動はますます広がりませんか?

佐久間:イベントはもともとは障がい者スポーツを知っていただくきっかけでスタートしています。ただ障がいを持っているお子さまの親御さんからは、「うちの子はスポーツは出来ないけれど音楽ができます、絵が描けます」といった話もいただきます。そこでいまは音楽、さらに次はアートとどんどん拡大していきます。音楽で言えば、ライブとスポーツが融合していけばいいなと思います。

――さらに拡大していくイメージですか?

佐久間:今回は渋谷区と共催させていただいているのですが、いろいろな自治体からうちでもやれないかとお声がけを受けています。そうした場所で小規模な「S.O.H」を開催できればいいですね。いろいろな場所でやることで、「スポーツ・オブ・ハート」の名前がより広がっていくはずです。
僕らはやっと4回目ですが、さらに発展させて「スポーツ・オブ・ハート」は障がい者と共に楽しむイベントですと説明することなく、誰でも名前を聞けば知っているかたちにしたいと思います。

 近年のパラリンピックの盛り上がりなどから、障がい者スポーツは大きく注目されているように感じる。しかし、佐久間氏のお話からは、そのアスリートたちにとってはまだまだスポーツを取り組む環境が十分でないことが伝わってきた。
それはスポーツに限ったものではないだろう。スポーツだけでなく、さらにカルチャーの発展にも取り組む「S.O.H」が目指すのは、誰もが一緒に楽しめる豊かな社会なのだろう。そのなかでアニソンが大きな役を果たしているのが現代的だ。新しい流れを積極的に取り入れるのは未来志向の「S.O.H」だからこそとも感じた。10月14日から3日間、秋の東京・代々木を「S.O.H」が華やかに演出しそうだ。

取材=数土直志

スポーツ・オブ・ハート・ミュージックフェス2016 出演者
<内田彩>

<Pile(パイル)>

<飯田里穂>

<スフィア>

<i☆Ris>

<SUPER☆GiRLS>

<アンジュルム>