親の知らない間に、子どもはどんどん成長しています……(※イメージ写真)

写真拡大

「最近なんだか素直じゃない」「学校や友達のことを話さなくなった」「生意気な口をきいたかと思うと急に甘えてくる」……子どもが9歳を過ぎるころから、このような親の声を多く耳にするようになります。

 9歳、10歳というと、思春期にはまだちょっと早く、本格的な反抗期でもないものの、なんだかちょっと扱いづらくなる時期です。『AERA with Kids 秋号』(朝日新聞出版)では「9歳・10歳の壁」と名付け、その時期の子どもたちの向き合い方を詳しく解説しています。

*  *  *
 まだまだ親や先生に甘えたいけれど、自分で頑張ってみたい気持ちもある。いけないことだとわかっていても、注目してほしくてやってしまう……。この時期の子どもの心は、本人も戸惑うくらい揺れ動きます。

「なんといっても経験不足ですから、感情の消化不良ばかりです。そんな中で、子どもは真剣に悩み、喜び、相手と関わろうとしています。親はそのことを忘れないようにしましょう」

 こうアドバイスするのは、一般社団法人kokoro教育研究所代表理事の尾塚理恵子さん。

「大切なのは、親はどんと構えて子どもを受け入れる基本姿勢をとっておくことです。その場しのぎのご機嫌取りや、同じ土俵に立っての口げんかをしていたのでは、親として子どもを導くことはできません」

 尾塚さんは、9歳、10歳の子どもと向き合うポイントは、3つあると話します。

【1.まかせる】

「自分で決めたい」という気持ちが強くなる時期なので、その気持ちを尊重してあげることが大切。親が子どもを信じていることをしっかりと示してから、子どもに主導権を握らせてみましょう。しかし、習い事など、すぐに飽きてしまったり、やめたいと言い出したりしたときは、「自分に合わない」と感じるまで頑張ることや、自分で決めたことは責任を持ってとことん臨むことも大切であることを伝えます。

 それでも「やめたい」というのであれば、それを責めるのではなく、理由をきちんと聞き、次のステップをどうするかいっしょに考える親のフォローは必要です。

 また、まかせることで、なにかをやり遂げたという達成感や充実感を味わわせることも重要です。これは親からの「応援しているよ」という気持ちを受けることでグンと高まります。「あなたなら大丈夫、できるよ」というプラスのイメージを子どもに与えることも大切です。

【2.はなれる】

 そろそろ親は手や口を出すことを控えて、見守りの態勢に入るとき。とはいえ、「はなれる」は、決して「放任」のことではありません。手を出してあれこれやってあげたり、なんでも口をはさんだりするのを控えてみましょう。

 子どもの意志を尊重する中で、子どもが自分だけでは乗り越えられない壁にぶつかったときこそ、親は手を差し伸べ、アドバイスを送るとき。これは親がきちんと子どもを見守っていないと察知できません。目と心は常に離さないことが大切です。

 子ともが自ら考えて導きだした答えや行動があったら、その成長をおおいにほめてあげましょう。ほめられることは、子どもの心の成長を促します。ただし、無意味にほめるなど、大げさな表現は子どもを自信過剰にさせ、逆効果になるので要注意です。

【3.心を聴く】

 このころは、気持ちを素直に話さなくなるので、表情や声の変化を読み取り、心をくみ取りましょう。

 また、親は子どもの話をしっかり聞いたつもりでも、子どもが「お母さんは話しを聞いてくれない!」と文句を言うケースが多く見られます。聞いてほしいという子どもの願望に応えるのに、うなずきやあいづちをはさむのはとても効果的。さり気なく取り入れて。

 とはいえ、子どもの話にいつも全身全霊でむかっていたのでは、親も疲れるし、子どもも気軽に話せなくなるので、子どもの状態や内容に合わせて、聞くレベルを調節することも聞き上手のテクニックです。

 さらに、子どもは、親が気になることを尋ねてもすぐに答えるとは限らないもの。「どうしたの?なにかあったの?」と聞いても、黙っていることもあります。そんなときは、「話したくなったら、聞かせてね」と時間を与えることで、子どもは心の整理をつけることができます。答えを急かすのは禁物です。

 まだまだ子ども、と思っていても、確実に大人へのステップを登り始めている9歳・10歳の子たち。本書では、発達心理学の専門家や、学校の先生たちの声も交え、この時期の子どもたちの内面や行動パターンをわかりやすく解説しています。本格的な思春期に入ってから、「子どもの気持ちがわからない」と嘆く前にぜひ知っておきたいものです。