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●デベロッパーにもビジネスユーザーにも役立つ新機能が続々
GitHubは9月13日〜15日にかけて、年次イベント「GitHub Universe 2016」を開催した。GitHubのCEOであるChris Wanstrath氏は14日に開催された基調講演に登壇した。

オープンソース対クローズドといった構図はもはや昔の話だ。今はオープンソースもクローズドもそれぞれエコシステムを構築する重要な取り組みであり、どちらも「開発する」という視点から見れば同じことだからだ。今回、Wanstrath氏は開発自体をもっと簡単かつ便利にすることを目指すGitHubにおいて、新しい機能を発表した。

○開発者にとってうれしい新機能

Wanstrath氏は、次の3つのポイントに絞って新機能を紹介した。

・Workflow - プロジェクト機能、詳細コードレビュー機能
・Businesses - 2段階認証必須化、SAMLを活用したアカウント管理
・Integration - サードパーティに対する機能拡張サービスおよび新しいAPIの提供、より広範囲にわたる利用

デベロッパーおよびプログラマーが最も注目すべきはWorkflowに関する新機能だ。今回、GitHubに「Projects」の機能が追加された。これは、コーディングレベルにIssueトラッカー/マネジメント機能を追加したような機能で、開発のさまざまなレベルで進捗管理のようなことができる。

もう1つの注目機能であるコードレビューの機能はコードの1行まで落とし込んだコメント機能で、これまでもよりも細かいレベルで開発者間の意見交換が可能になる。このレビュー機能の優れている点は、これまでなら数十通のメールのやり取りによる意見のとりまとめが、レビューのやり取りで済むという点にある。レビューを開けば意思決定までのやりとりが行え、確認もできる。数十通必要だったメールもIRCでの会話も必要なくなるといったわけだ。

今回追加されたプロジェクトおよびレビュー機能は、既存のソフトウェアで言えば、各種プロジェクト管理システムやPhabricator、Bugzillaなどが提供している機能とよく似ている。違いがあるとすれば、GitHubに統合されている点だ。

既存のソフトウェアでこうした機能を利用したい場合はサービスを個別に利用する必要があるが、GitHubでは単体でこうした機能を利用できるようになる。開発者にとって大きなアドバンテージになるだろう。

○企業ユースを後押しする新機能

GitHubは企業ユースも進んでいる。企業向けの新機能には、SAMLベースのアカウント管理およびシングルサインオン機能の実現がある。GitHubの導入を進めている企業にとって、アカウント管理を単一の仕組みで実現できれば、管理の手間を省くことができる。今回導入された新機能はこうした企業における導入をさらに後押しするものになる。

また、2段階認証が必須となった点も注目だ。認証機能として2段階認証にセキュリティ上の一定の効果が見込めることは広く認識されており、これが必須となったことは企業ユースにおいて心強い。

○エコシステムを拡大する新機能

今回、GitHubはGitHubを構築するために利用しているAPIの一般公開を発表した。機能が追加され続けるGitHubは巨大なプラットフォームになろうとしているように見えるが、GitHub自身はそうした考えはないと言われている。それを実証するかのように、APIを公開し、必要になるさまざまな機能はサードパーティの開発に委ねたり、サービスをWebに限らずほかのインスタンスから広く利用できたりするようにする。

これがGitHubの企業理念の1つであり、「Integration」が重要な3本柱の1つに上げられている理由になっている。

Wanstrath氏はさらにいくつかの新機能を紹介したが、ここでは「Profile」と「Forums」を紹介しておきたい。

・Profile - ユーザーアクティビティを示すダッシュボード
・Forums - GitHubとの意見交換

Profilesはユーザーのアクティビティというビューからデータをまとめたダッシュボードのような機能で、ユーザーの活動状況がこれまでよりも簡単にわかるようになる。

Forumsはその名のとおり、フォーラム機能だ。これはGitHubの新機能やサービスなどについて、コミュニティやGitHubの開発者も含めて意見交換する場所としており、GitHubはこうした取り組みを通じて自社のサービスをより便利なものに改善していくことを狙っていると見られる。

●効率的な税金の活用はGitHubにあり?
○公的機関の導入事例としてホワイトハウスのアドバイザーが登壇

デベロッパーやプログラマーはGitHubがプロジェクト・ホスティング・サービスであること、バージョン管理機能を提供していること、そのほかさまざまなサービスを提供していることを知っていると思う。こうした多彩なサービスは開発者のみならず企業、教育、政府機関にも広がりを見せている。

わかりやすい例がGitHub Enterpriseの普及だ。Fortune 100社のうち、すでに44%の企業がGitHubを活用している。GitHubは開発を容易にするためのサービスだが、コミュニケーション・ツールとしても優れており、いわゆるグループウェア的な使い方もできる。こうしたGitHubの利点を活用する企業が増えているのだ。

基調講演では、ホワイトハウスのテクノロジーアドバイザーを務めるAlvand Salehi氏も講演を行った。「なぜ開発者のイベントにホワイトハウスのアドバイザーが登場」と思うかもしれないが、米国政府が取り組みを進めるオープンソース活用の一端をGitHubが担っているためだ。

Salehi氏によれば、米国政府はソフトウェアに対し年間で60億米ドルほど(6140億円ほど)費やしているという。米国政府としては、オープンソース・ソフトウェアを活用することで、コードやノウハウの再利用などを促し、より効率のよい利用を進めようとしている。

そうした取り組みにおけるプラットフォームの1つとなるのがGitHubというわけだ。開発したソフトウェアをオープンソース・ソフトウェアとして公開することでそれぞれの自治体での活用を促す狙いがあるほか、パブリックコメントの募集にGitHubを使うなどして効果を上げていると語った。

政府におけるオープンソースソフトウェアの活用は、米国のみならず各国で進められている。しかし、ほとんどの国や地域で法律を定める段階まで達しておらず、個々の機関の取り組みや利用の推奨、情報の提供といった活動にとどまっている。米国政府における取り組みは日本などほかの国の活動にも影響を与える可能性があり、今後の活動が注目される。

(後藤大地)