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ビジネスシーンで聞かない日がないほど注目を集めている「IoT」だが、現在、ネットワークに接続する機器の多くはコンシューマ向けとなっている。しかし、さまざまな企業がビジネスとして期待している分野は、そうしたコンシューマが活用するのではなく、産業界が活用するIndustrial IoT(IIoT)だ。

「現在、そうしたインダストリセクタや自動車セクタ、都市開発といったセクタは、IoTの分野としてもっとも成長する可能性があるとみている」と語るのはWind RiverでVice President and GM,IoT Cloud Solutionsを務めるSanthosh Nair氏だ。特にアジア地域、中でも日本、中国、インドの3カ国はM2M分野の市場としてはトップ5に入る規模であり、IIoTの日本での普及も期待されることとなる。

IIoTを考えた場合、企業が求める価値は「運用コストや経費の削減」もしくは「成長に向けた新規ビジネスの実践」といったものが考えられる。しかし、実際に導入をする際には3つの課題があるとNair氏は説明する。その3つというのは、機械ごとにさまざまなインタフェースや通信プロトコル、OSなどが存在する「複雑性」、標準規格や安全基準といった「規制」、そして最大の懸念点となる「セキュリティ」の確保だ。

IoTをエッジノード側、つまりOT(Operational Technology)と、サーバ/クラウド側をIT(Information Technology)に分けて考えた場合、そこをいかにセキュアに接続するかがポイントとなり、各社が苦心をしているところとなる。先般、工作機械大手のDMG森精機が日本マイクロソフトとスマートファクトリの実現に向けて技術協力を行っていくことで合意したが、製造業にとって工場の中と外をネットワークでつなぐということは、これまで考えてきていなかった取り組みであり、まさに言うは易く行うは難しといったものとなっている。

Wind Riverというと、リアルタイムOS「VxWorks」や「Wind River Linux」といったOS(IoTなどに向けたRocketやPULSARといったOSも提供している)が良く知られているが、近年、IoTの課題とビジネスチャンスに対応することを目的としたソフトウェア、テクノロジー、ツール、サービスなどを「HELIXポートフォリオ」として統合し、その中の1つとしてエッジノードの機器とクラウドを接続させるためのクラウドツール「HELIX Device Cloud(HDC)」の提供を2014年より進めてきたとする。

Nair氏は、「Wind Riverは現在、OS、自動車関係、通信、IoTの4つのビジネスユニットにて事業を展開しているが、IoTグループの戦略については、短期的には、現在ネットワークにつながっていないデバイスや装置をネットワークにつなげることをサポートする段階。中期的には、そうしてつながった機器同士に対するインテリジェンスを構築する段階。そして長期的には、ソフトウェア定義(Software Define)による機器自身が自立した世界が実現させる段階。それぞれに対した考えを有しており、IoTの世界で信頼される企業に向けた技術やソリューションの拡充を進めている」とし、HDCはクラウドがデバイスを認証する一方で、デバイスもクラウドを認証することでセキュアな通信を実現できることを強調するほか、REST APIを使ってすべての機能にアクセスすることが可能なため、ほかのITシステムとの連携も容易に行うことができるとする。

なお、HDCは数カ月単位でアップデートが実施されているとのことで、最新版は8月に実装された。「最新版では、よりセキュアなバックボーンの構築が行われたほか、ユーザーインタフェースの改善、拡張性の向上などが施された」としており、より手軽に遠隔地からの監視を実現できるようになったほか、エッジノードで生成されたデータとクラウドのよりセキュアな環境の提供が可能になったとする。また、「Wind Riverは約30年のビジネスにおいて、セキュアかつクリティカルな運用が求められる分野に向けたソフトウェアの提供を行ってきており、どういった挙動がデバイスとして正常でないのか、といった知見を多く有しており、セキュアにデータをクラウドに送信する、といったこともこの延長線上にあたる」とするほか、ハードウェアに関しても親会社であるIntelの知見を得ることができることもあり、「さまざまなポートフォリオを活用してもらうことで、IoTデバイスの企画・開発から廃棄までのライフサイクルマネジメント全般をサポートすることができる。我々の技術は必ず、顧客を支えるものになっていると確信している」としており、IIoTを活用したい企業のよきパートナーとしてのポジションを今後も高めていく努力を行っていくと語ってくれた。

(小林行雄)