「やる気があるのにダラダラしてしまうのは、自分が悪いからではない」と断言するのは、『ダラダラ気分を一瞬で変える 小さな習慣』(大平信孝、大平朝子著、サンクチュアリ出版)の著者。

ダラダラしてしまうのには理由があり、それは「コントロールできないものをコントロールしようとする」からだというのです。だから結果的に、気疲れしたり、心が折れたりしてしまい、仕事がはかどらないということ。

そこで本書は、脳科学や心理学に基づいた「ルーティン」と呼ばれる簡単な習慣により、「ダラダラ気分を一瞬で変え、いつでも仕事モードに入る方法を明かしているわけです。

「ルーティン」と聞いてピンとこない人でも、ラグビーの五郎丸選手がキックの前にする一連のアクションや、イチロー選手が打席に入る前にするアクションはご存知のはず。つまりは、あれがルーティン。

一流アスリートたちが集中するために行っているそれら一連のアクション(=ルーティン)を、ビジネスパーソンも取り入れるべきだと著者は考えているのです。

でも、具体的にどうすればいいのでしょうか? その点を確認するため、「時間」に関連するルーティンを引き出してみましょう。

■朝は「10秒ベッドメイキング」する

朝は自分にとって意味を持つ「マイ・オープニングテーマ」を聴きながら、ベッドメイキングをするルーティンをするといいのだとか。

忙しくてバタバタしがちな朝に、あえてベッドメイキングをして環境を整えることによって、落ち着き、清々しい気持ちで1日をスタートすることができるという考え方です。

しかも朝にベッドメイキングをしておくと、夜に疲れて帰宅しても、ホッと一息つけて、くつろぎやすくなるもの。朝のわずかなアクションが、夜の眠りにも好影響を及ぼすということ。

ちなみに著者はこれを「未来貯金」と呼んでいるそうです(当然ながら、逆の状態は「未来借金」)。

■通勤電車では「1分何かの勉強」する

毎日の通勤時間が手持ち無沙汰だという人も少なくないでしょう。そんなとき、ツイッターやフェイスブック、LINEを開いてみるのもひとつの選択肢ではあります。

しかし通勤中は、電車に乗ってさえいれば、なにをしようと自由な時間。だからこそこのスキマ時間を、受け身ではなく、「自分のため」に活用しましょうと著者は提案しています。

ちなみに電車の時間を有効活用できるかどうかは、「乗った直後」がポイントだとか。うまく活用できる人は、電車でなにをするか「あらかじめ決めている」というのです。

逆にいえば、なにをするか事前に決めていないと、「なんとなく」「手持ち無沙汰だから」と、無意識のうちにスマホや携帯を開くことになってしまうわけです。

そこで著者が勧めているのは、電車に乗ったら“最初の1分間だけ”「○○の勉強をする」と決めてしまうこと。

勉強というと堅苦しく感じられるかもしれませんが、たとえば「Yahoo!ニュース」の英語版を読むだけでも、十分に英語の勉強になるわけです。

■仕事は「2つの締め切り」を決める!

企画書や報告書の作成、中長期にわたるプロジェクトなど、時間も手間もかかる仕事は、ついつい後回しにしてしまいがち。

その結果、締め切り直前にようやく手をつけたら、「明らかに時間不足だった」という事態になることも珍しくありません。

そんなことを避けるために大切なのは、仕事をしっかり「スケジュールに入れる」ためのルーティンを行うことだといいます。

具体的には、「いつ手をつけるか」と「いつまでに仕上げるか」と“2つの締め切り”を決め、すぐにスケジュールに書き込むといいのだそうです。

タイムリミットをつくることによって、集中して仕事をすることができるという考え方です。

■余裕ゼロの時は「1分間目を閉じる」

人に集中力が続く時間は、私たちが思っている以上に短いもの。そして私たちは機械ではないため、長時間のプレッシャーには強くありません。

たとえ訓練したとしても、人が高度な集中力を何時間も持続させることは難しいのです。

だから有効なのが、仕事が立て込んでいて追い込まれているときや、食事する時間すら惜しい時でも、短時間で回復できるルーティン。

といっても簡単なことで、とにかく1分間、目を閉じればいいというのです。

なお1人になれる場所であれば、トイレの個室でも、屋上や非常階段、あるいはベランダでも、どこでもOK。席を外せないのであれば、自分のデスクでもかまわないそうです。

もちろん昼寝が許されるのであれば、10分でも15分でもソファに横になるのが効果的。しかし現実的に、オフィスには昼寝をする場所がなかったり、昼寝をできる雰囲気でもなかったり、ということのほうが多いはず。

しかし1分間目を閉じて「寝たふりをする」ルーティンであれば、誰にでも簡単にできるわけです。

著者が紹介しているルーティンは決して難解なものではなく、このようにシンプルで簡単なものばかり。そのぶん日常に、無理なく取り入れることができそうです。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※大平信孝、大平朝子(2016)『ダラダラ気分を一瞬で変える 小さな習慣』サンクチュアリ出版