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●免疫力低下に伴うカンジダ増殖が主な発症の原因
笑顔になったり大きな声を出したりしたとき、不意に口の端にひりひりとした痛みを感じた経験はないだろうか。気になって鏡でチェックしたところ、なにやら赤みを帯びていた場合は口角炎を患っているかもしれない。

文字を見ると、なんとなく口角炎の症状をイメージできるかもしれないが、他の似たような疾病と混同しやすいという特徴があるため厄介だ。

そこで本稿では、南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長である服部英子医師の解説をもとに、口角炎の症状や原因、他の疾患との見分け方について紹介しよう。

○口角炎の症状

まず、口角炎の症状について理解しておこう。口角炎は、ほうれい線の近くにある口角に炎症が起きる皮膚疾患の一つで、主な症状は以下の通り。

■口角が切れて肌がカサカサになる

■口角に亀裂ができる

■口角が熱を持ち、周辺の皮膚が赤みを帯びる

■口角が切れてかさぶたになる

■しょうゆなどの刺激物が口角に触れると痛みを生じる

食事をしたり笑ったりする際は、大きく口を開けるために口角が動く。そのようなときに辛い痛みを伴う疾病だ。

「発症後の治りが悪かった事例として、声楽をやっている方は治癒までに時間がかかったというのが以前にありましたね。(声楽で)口を大きく開けているので、治ってきたときに大きく口を開けてまた切れるといったように症状がぶり返していました。また、アトピー性皮膚炎がある人は口唇全体の乾燥や赤みといった口唇炎があり、それが原因で口角も切れるということがあります」。

○口角をなめるはNG!

口角炎の原因は複数あるが、カンジダという真菌(カビ)によって引き起こされるケースが多い。カンジダは皮膚に生息する常在菌の一種で、口の中や消化管、腟などで見られる。

通常は人体に悪影響を及ぼさないが、「疲労などで体の免疫力が下がってしまうと、常在菌であるカンジダが増殖してしまい、発症につながります。それと食事から摂取する栄養素が偏っていると口角炎になることがあります」と服部医師。

疲れや睡眠不足、ストレスなどの生活習慣に由来する要素がトリガーとなり、免疫力が低下した結果、カンジダが増殖して発症するというパターンが多いようだ。

「一度自分の生活や体調をみて、質の良い睡眠やバランスのとれた食事をとり、適度な休息で自分をいたわってあげることも重要です。また、治りを妨げるような行為『頻回に口角をなめる』『はがれる皮を無理にむしる』は慎むようにしましょう」。

●口角炎と口唇炎とヘルペスのそれぞれの特徴
ところでこの口角炎は先述のように、他の疾患と間違えやすい。その病気とは、口角炎と似た症状を呈する「口唇炎」と水ぶくれやかさぶたなどができる「口唇ヘルペス」だ。

どちらも口周りに症状が出る点は共通しているが、その対処法は異なる。そのため、この3つの疾病の違いをきちんと理解しておこう。

口角炎

炎症や亀裂などの症状が両サイドの口角に同時に出るケースが多い。

口唇炎

唇全体に炎症や亀裂による出血などの症状が出る。唇が全体的にガサガサして、皮がむけている状態であることが多い。

口唇ヘルペス

口角炎よりもやや唇の内側部分で発症する。炎症というよりも水ぶくれに近い感じで、上唇ないしは下唇のいずれかのみに症状が出るケースが多い。口角炎同様に痛みはあるが、むずがゆ痛い感じがあるとのこと。
すなわち、この3つの大まかな見分け方としては「口角のみに症状が出ていたら口角炎で、唇全体に症状が見られたら口唇炎、上下いずれかの唇に症状が出ていたらヘルペス」ということになる。

だが、これらのうちのいくつかを併発している可能性もあるし、あくまでもこれらの特徴は目安にすぎない。「自己診断」に頼ることなく、症状があまりにも長引いているといったケースでは、医師の判断をあおぐようにしよう。

※写真と本文は関係ありません

○記事監修: 服部英子(はっとり ひでこ)

東京女子医科大学卒業。皮膚科専門医。日本皮膚科学会、日本レーザー学会、日本臨床皮膚科学会、日本アレルギー学会に所属。大学卒業後に東京女子医科大学病院やJR東京総合病院の皮膚科に勤務した後、2005年より南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長を務める。

(栗田智久)