写真/PIXTA

写真拡大 (全2枚)

大和ハウス(工業)の注文住宅「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」のテレビCMで、“悩める夫”を演じている俳優の竹野内豊さん。天井が高く、広いリビングで家族がくつろいでいる様子を眺めながら、「狭いところが本当は好きだったのに……」と心の中でつぶやいています。思わず共感してしまった“狭い空間”好きの人も少なくないのでは?そこで、狭い空間の魅力と、そんな空間をより快適にするコーディネートの裏ワザについて、お部屋の改造を請け負うサービス「空間DECO」を担当する、ルームスタイリストの森山さんに聞きました。

狭い空間が人に安心感を与える

「狭い空間の魅力ってなんといっても安心感だと思います。包まれているような感じがするのかもしれません。一方、空間が広すぎると、なんだか自分の居所が定まらなくて不安な感じになりますよね。また、狭い空間では人との距離感も近くなると思います。例えば居酒屋さんでも、個室に入ると結構話が弾んだという経験をもつ方も多いのではないでしょうか。広さというのは人の心理状態に少なからず影響を与えているはずです」と森山さん。

そのうえで、狭い空間をつくるうえで大切にするべきは、“そこにこもることで心が満たされる空間を演出すること”だと言います。

「私がよく使うのは『ディアウォール』というアイテム。壁に物を掛けたり、収納機能をもたせたりすることで収納家具を置かずに済むので、狭い空間でも快適に過ごせます。また、賃貸だと引越しするときに原状回復をしなくてもいいので気楽です。くぎを打ってもいいですし、色を塗ってもいい。自由度が高まるので個性を出しやすいというメリットがあります。かといって、パーテーションで、上から下まで壁で仕切ってしまうと、どうしても圧迫感が出るので上と下を開けるようにして、光を入れる工夫をすると、そのスペースが狭すぎる感覚に陥ることは避けられると思います」

「ディアウォール」は木材を天井と床の間に入れて突っ張るための部材。収納棚をつくることもでき、またフックを付ければいろいろな物をかけることもできます。ディアウォールを趣味や好きなもので統一すると、狭いながらもより自分らしい空間に仕上げることができそうです。

【画像1】仕切りやディスプレイ、収納など狭い空間づくりに役立つ「ディアウォール」(画像提供/空間DECO)

その空間で何をしたいのかを考える

狭いながらも自分好みに統一した空間がつくれると、くつろぎ感もアップしそう。ちなみに、これといった趣味がない場合は、好きな本や映画なども空間づくりのヒントになるのだとか。

「本が好きでそこで読みたい人は、その方にとっての本の世界観を表現してみるのはいかがでしょうか。自分の好きな本や映画を掘り下げていって、ちょっとしたアイテムや色合いなどを使ってその世界観を空間に反映させる。どんな嗜好(しこう)のものにひかれるかというのは、その人の感性と結びついているところだと思います。それを具体化して空間にできたら満足度も高まります」

そのためにも、映画や本のなかでも、こういうジャンルのものが好きというのを紙などに出してみて、そこから削ぎ落としていくことが重要だと言います。

「連想できる色味や雰囲気を書きだして、それを再現できるものをピックアップし、置きたいものをリスト化してみます。出し切ったら、あとは統一感があるかどうか考えながら、削ぎ落としていきます。狭いスペースであればあるほど、最後は壁と照明で雰囲気をつくることが重要。ディアウォールのデコレーションや、照明のデザイン・明るさを自分好みのものにすれば、居心地のいい空間にすることができるはずです」

また、収納したいものがあったら、小ぶりのカラーボックスを入れたり、椅子に座る必要がなければクッションを並べるだけでも十分とのこと。お部屋に狭い空間をつくりたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

●取材協力
空間DECO