ドイツに世界遺産のローマ遺跡群があるのをご存じでしょうか。それが、ドイツ西部、ルクセンブルクと目と鼻の先にある小都市、トリーア。

トリーアは、紀元前16年にローマ皇帝アウグストゥスによって建設された植民都市「アウグスタ・トレヴェロールム」にその起源をさかのぼる、ドイツ最古の街として知られています。

トリーアのシンボルが、ドイツにおける最も貴重なローマ遺跡である「ポルタ・二グラ」。ここが旧市街の入口です。

西暦180年に市壁とともに造られた城門で、「黒い門」を意味するその名の通り、黒い砂岩のブロックを積み上げてできています。

ただし、このように名付けられたのは、歳月の経過とともに砂岩が黒く変色してしまった後の中世時代のことで、建設当初の呼び名はわかっていません。

こちらは反対の旧市街側から見た様子。高さ約30メートル、幅36メートル、奥行き22メートルの巨大な門を目の当たりにすると、その存在感に圧倒されます。

門は二重構造で、最大6トンにおよぶブロックは鉄の鎹で固定されています。ただブロックを積み上げただけの構造で、崩れてしまわないのが不思議なくらいですが、難攻不落の強固な門としての役割を誇っていました。

外から眺めるのみならず、門にのぼることもできます。歴史の舞台の中に身を置く感覚は格別。

無骨な外観とは裏腹に、繊細に施された皇帝たちのレリーフも見ものです。

門の上からは、トリーアの市街の眺望を楽しむことができます。

かつてローマ人が見た風景とはすっかり変わっているはずですが、この門は1800年以上の時を超えて、トリーアの街を見守り続けているのですね。そう考えると、歴史のロマンを感じずにはいられません。

トリーアには、ポルタ・二グラ以外にもローマ遺跡が点在しています。その代表的存在が、4世紀のコンスタンティヌス帝の時代に造られた皇帝の大浴場跡、カイザーテルメン。

「ローマ人のいるところに浴場あり」は、ここでも例外ではありません。ローマ時代の公共浴場としては、ローマに残るカラカラ浴場に次ぐ大きさを誇っています。幅145メートル、長さ260メートルという広大な敷地内に、熱水浴、温水浴、冷水浴の浴室が並び、運動場まで備わっていたのだとか。

しかし、コンスタンティヌス帝がビザンティウム(現イスタンブル)に遷都したため、一度も使用されなかったと言われています。なんとももったいない話ですね。

もう一つ、トリーアを代表するローマ遺跡が、2万人を収容したという古代円形劇場。古代ローマ時代の円形劇場の中でも、10本の指に入る規模を誇ります。


かつてはここで剣闘士と猛獣との闘いなどの見世物が繰り広げられました。現在も、コンサートや古代劇といったイベントが上演されているそうです。

ワインの産地らしく、周囲にはブドウ畑が広がる開放感あふれるロケーション。ローマの人々が、かつてここで何を見て、何を感じたのか、そんなことを想像しながら、悠久の歴史に思いを馳せてみましょう。

ローマ遺跡群が現代の都市の中に見事に溶け込み、過去と現在が交錯するドイツ最古の街、トリーア。
きっと、今までになかった新たな体験をもたらしてくれるはずです。

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