みなさん、こんにちは。「英語のまぐまぐ」編集部のナオミです。先日、アメリカ系の某外資系企業に転職して1年になるNさんが、入社当時を振り返って、こんな失敗談を教えてくれました。

外資系企業に転職したてのころは、取引先や上司の名前が聞き取れなくても、あやふやなままにしておく悪い癖が抜けず、あとでずいぶん困りました。

日本では、「とりあえず名刺交換」が基本でしたから・・・。

当たり前ですが、外国人の名前って本当にいろいろあるんです!

それに現地(米国)とはどうしてもメール中心のやり取りが多いので、無意識に男性だと思って「Mr.」をつけてメールを送った相手があとで女性だとわかり恥をかいた!なんてことも・・・。

今回は、外資系企業で誰もが遭遇する“英語の呼称に関する疑問”に大阪外国語大学・准教授の杉田米行先生が答えます。外資系企業に転職したばかりという方も、転職を考えている方も参考にしてみてください。

1. 初めてメールする場合

アメリカ人はフレンドリーだから、ビジネスの世界でも常にファーストネームで構わない!?

By: Ray_from_LA

たとえば、会ったこともない取引先担当者に英文電子メールを出すとき、どのような呼称を使えばよいのでしょうか。

親近感を出すためにファーストネームで書くのか、丁重に Mr. や Ms. をつけるべきかは非常に悩むところですね。次の例文を見てみましょう。

Dear Ms. Nelson:

Thank you very much for your email of July 17 in regard to your visit to my office.

ネルソン様:

私の事務所にお越しくださるという7月17日付けの電子メールを賜り、ありがとうございます。

※女性の場合は未婚・既婚両方に使える Ms. を使うのが無難です。

このように、初めてメールを出す相手や、まだあまり親しくない人に対しては、ファーストネームは避けた方が無難です。

2.クリス・ワトソンって…女性? それとも男性? 性別不明の場合

By: Raymond Bryson

英語の名前には、女性か男性かわからないものがあります。

そのような場合は、敬称をつけず、ファーストネームとラーストネームの両方を呼び捨ての形で使えばよいでしょう。次の例文を見てみましょう。

Dear Chris Watson:

I acknowledge receipt of your mail today in response to my inquiry.

クリス・ワトソン様:

私の問い合わせに対するメールを本日拝受いたしました。

Chris は男女兼用の名前なので、このように姓名両方を書いて呼び捨てにする方が無難です。姓名の両方を書くことで、敬称がなくても丁寧な印象を与えることができます。

Chris 以外では、Dana, Jordan, Alexis, Angel, Taylor などが男女兼用の名前の代表的なものです。あわせて覚えておきましょう!

3.初対面の相手の名前が聞き取れない! そんな時は…

By: thetaxhaven

電子メールではまだ考える余裕がありますが、初対面の方を紹介してもらったとき、相手の名前を聞き取れずに冷や汗を書くことはありませんか。私は何度もありました。

相手の名前がわからずに会話を続けるのは難しいものです。何とか早急に相手の名前を聞き出さなければなりません。さあ、どうしましょう。

Tom: Professor Hollingsworth, this is Mr. Yone Sugita. Mr. Sugita, this is Professor Roger Hollingsworth.

Professor Hollingsworth: How do you do, Yone.

Mr. Sugita: It is my pleasure to meet you, …Professor…Ho…

Tom: Hollingsworth.

トム:ホリングスワース先生、こちらは杉田ヨネさんです。杉田さん、こちらはホリングスワース先生です。

ホリングスワース先生:ヨネさん、初めまして。

杉田:お目にかかれて光栄です。ホ・・・・・先生。

トム:ホリングスワース先生です。

名前を聞き直すために、わざわざ難しい英文を頭の中で組み立てる必要はありません。相手の名前を聞き逃したときは、聞き取れた部分だけを発音して後は相手に催促するようなジェスチャーをしながら待っていましょう。

すると、本人や第三者が助け船を出してくれることが多いものです。

4.呼び捨てOKと言われた場合、それでも敬称は必要!?

By: Highways Agency

日本語にはあまりない習慣ですが、会話では親近感を込めて相手のファーストネームをよく呼びますので、こちらも真似をしましょう。

Julia: Hello.My name is Julia Thomas.

Sugita: I am Yone Sugita.

Julia: Wonderful to meet you, Yone.

Sugita: It is nice to meet you, Ms. Thomas.

Julia: Oh, please call me Julia, Yone.

Sugita: OK, Julia.

ジュリア:こんにちは。私の名前はジュリア・トーマスです。

杉田:杉田ヨネです。

ジュリア:ヨネさん、お目にかかれてうれしいです。

杉田:トーマスさん、こちらこそ光栄です。

ジュリア:ジュリアとお呼びください。

杉田:わかりました。ジュリアさん。

相手から「〜と呼んでください」と言われたら、素直にそのようにするのが礼儀です。その場合、ファーストネームの前に Ms. や Mr. などの敬称はつけません。敬称はラストネームの前にだけつけます。

では、敬称+ファーストネームという使い方は全くないのでしょうか?

実はかつて、米国で、奴隷や召使いがそのように主人の家族を呼んだようです。しかし、現在では誤用となり、英語力が低いか、からかっていると誤解されますので、使わない方がよいようです。

さて、今回の特集はいかがでしたか?「呼称」はビジネスの人間関係における潤滑油です。ほんの少しの知識があれば、よりなめらかな人間関係を築くことができるのですが…。そのほんの少しの知識を身につけているか否かで、将来 大きな差が開きますよ!

 

杉田米行(すぎた・よねゆき)先生プロフィール

1962年大阪生まれ。ウィスコンシン大学マディソン校歴史学科修了(Ph.D.)。

現在、大阪外国語大学アメリカ講座准教授。専門はアメリカ研究と日本医療制度史。道楽(=研究)以外の楽しみは家族5人での団欒。最新の著書は、杉田米行編著『アメリカ〈帝国〉の失われた覇権』(三和書籍、2007年)。

出典元:まぐまぐニュース!