(写真提供=SPORTS KOREA)

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八百長に不正入試に審判の不正など、韓国スポーツ界の不祥事には、さほど驚かないが、リオデジャネイロ五輪閉幕後に明らかになった水泳韓国代表の隠し撮りには、韓国スポーツもここまで落ちたかと、思わざるを得ない。

8月27日付の『東亜日報』は、「墜落する韓国水泳…国家代表”隠し撮り”波紋」という見出しで、第2ナショナルトレーニングセンターである、鎮川(チンチョン)選手村で起きた、水泳の女子更衣室での隠し撮り事件を報じた。

犯人は、ロンドン五輪にも出場した元代表選手Aと、リオ五輪にも出場した代表選手B。

盗撮犯人は匿名になっいるが・・・

各社の報道は匿名になっているが、メディアによっては、主犯格とみられるAの年齢を報じており、対象は自ずと限られてくる。

リオ五輪に出場したBに関しても、競泳の韓国代表の男子は3人だけ。飛び込みを入れても4人となる。犯行は長期間に渡っており、ナショナルトレセンをほとんど利用していない朴泰桓は外れる。

こうなると、無実の選手の名誉のためにも、名前を公表した方がいいのではと思えるほどの狭い世界の話だ。

しかも4月には女子選手によって発覚し、コーチに知らせたそうだが、五輪が近いこともあり、うやむやにされていたようだ。これでは、士気が上がるわけがない。

それでなくても大韓水泳協会は訓練費などの公金横領や選手選抜に関する裏取引などの不正が相次ぎ、正常な業務ができないということで、大韓体育会から管理団体に指定されているところだ。協会トップから、選手レベルに至るまで、深刻な腐り方だ。

韓国スポーツが疲弊しているワケ

現在、鎮川選手村だけでなく、もともとのナショナルトレセンである泰陵(テルン)選手村も含め、隔しカメラがないか、大々的に捜査しているようだ。

水泳の隠し撮り事件を報じる『東亜日報』の同じ紙面で、バドミントンのラケットやシューズを、日本では自由に選べるのに対し、韓国では、ユニホームをはじめとして全て、協会が契約している台湾のメーカーの物を使わなければならないことが書いてある。

ラケットやシューズは、選手個々にこだわりがあり、プレーにも影響する。しかし、そうした選手の立場よりも、協会の金集めが優先されるという指摘だ。

韓国のスポーツ界の病弊は、かなり前から深刻化していた。病弊の背景にあるのは、少数エリート主義により、あまりに狭い世界しか知らない選手たちと、現場を顧みない協会や、スポーツ行政である。

ジュニア大会でも賞金が行き交う拝金主義

そして、スポーツに限らず、何か問題が起きた時に行われるのが、組織改革と、人事異動である。ただそれでは、問題の解決にならない。それどころか、むしろ現場が混乱して、問題が深刻になることもある。

韓国のスポーツ界がエリート主義をとる中で、長い期間の積み重ねの中で生じた綱紀の乱れを正すには、相応の時間と根気が必要だ。さらに、何のためにスポーツをするのかという、より根本的なことも、問われることになる。

韓国では、ジュニアクラスの大会でも、奨学金と称して、賞金が渡されることがある。お金はもちろん必要だが、若いうちから、お金さえ渡しておけばという拝金主義が、かなり広まっている気がする。

日本でも似たような問題が起きるか・・・

次から次へと問題が起きる韓国のスポーツ界であるが、日本も対岸の火事とばかりは言っていられない。韓国のスポーツ界は日本をモデルにしつつも、旧ソ連型の国家管理のエリート主義をとっている。その是非はともかく、それで今まで歯が立たなかった日本を越えた時期があったのも確かだ。

それに刺激を受け日本でも、韓国の制度も参考にして、エリートの育成を始めている。その中で、韓国ほど深刻でないにしても、日本でも似たような問題も生じている。
(参考記事:「日本の逆襲が始まった」「韓国は情けない」日本のリオ五輪大躍進を羨望する韓国メディアとネチズンたち)

スポーツ団体の助成金の不正使用もしばしば報じられている。リオ五輪を前にした大事な時期に、バドミントン選手の違法カジノの問題が発覚した。本人が犯行を否定しているので真相は闇の中だが、仁川アジア大会では、水泳選手のカメラ窃盗事件も起きた。

4年後の東京五輪に向けて、若い選手の育成が進む中で、そうした選手に、競技以外の世界をいかに広めることができるか、人間性の育成に関して、スポーツ団体と所属する学校がどう連携をしていくべきなのか、考えるべきことは少なくない。問題が深刻になってから正していくのは容易でない。その前に、問題は起きていないか、しっかりみていく必要がある。

(文=大島裕史)

初出:『ほぼ週刊 大島裕史のスポーツ&コリアウォチング』