都会で暮らす人なら、お世話になることも多い終電。残業が遅くまで長引き、まだまだ仕事は残っているけれど、気付けば終電の時間だった……という経験がある人は多いだろう。逆に、遅い時間まで続く会社などの飲み会に参加しなくてはならず、終電の時間ということでようやく帰ることができた、という体験がある人もいるのではないだろうか。

本来は、帰宅が終電にならざるを得ないような労働環境自体にも問題がある。しかし、長時間労働が当たり前のようになった日本社会では、終電の時間や万が一間に合わなかったときの対処法など、終電に関する知識は不可欠かもしれない。


―― 終電は必ず接続するのか

山手線の駅から郊外の各方面に延びる私鉄各線は、山手線の電車と終電が接続するダイヤとなっていることが多い。このため、山手線が何らかの事情で遅れると、その接続を待つために遅れることがある。毎日帰宅が遅い人なら「終電はよく遅れる」と感じている人が多いだろう。

JR東日本によると、終電の接続についてはダイヤ改定の際に話し合いを行って接続を考慮するようにしているが、必ず接続を取るようにという協定はないという。また、山手線が遅れた場合の私鉄各線との調整については、各社の指令同士でそのつど打ち合わせをしているという。どの程度の遅れまでは待つといったルールに従って終電同士を接続させているのではなく、そのつど各社指令室の判断で、終電を接続するかどうかを判断しているのだ。

このため、通常なら接続する終電同士であっても、数分程度の遅れならともかく、列車ダイヤが大幅に乱れている場合は接続しないこともあり得るのだ。もし乗っている列車の運行状況が思わしくないと思ったなら、接続できない可能性も頭の片隅に置いておいたほうがいいだろう。


終電のダイヤにはパターンがある


終電時間帯になると電車の本数は少なくなるが、鉄道各社はできるだけ幅広いエリアに帰宅できるようなダイヤを組んでいる。どんな路線が遅い時間でも遠くまで帰れるのだろうか。JRと私鉄ではダイヤの組み方に異なる傾向があるようだ。

JR東日本の各線は、終電が近くなると遠くに行く列車から先に運行を終え、ターミナル各駅に近い区間の各駅停車が終電となるパターンが多い。常磐線は快速も遅くまで走っており、上野を0時51分に出る松戸行きの最終快速は北千住で1時04分発の各駅停車に連絡するダイヤとなっているが、JRではこのようなパターンはあまりない。



京王線など私鉄は遅くまで急行・特急が走っている路線が多い(写真:Khun Ta / PIXTA)

一方、私鉄では遅くまで急行などの速達型列車が走り、それを普通列車がサポートするという形態のところが多い。たとえば京王線の場合、新宿0時33分発の最終京王八王子行き特急は0時47分に調布駅に到着するが、同駅で0時49分発の京王多摩センター行き区間急行、0時50分発の府中行き普通に接続する。

特急はさらに、府中でも0時56分発の高幡不動行き普通列車に接続する。特急と普通を接続させることによって、遅い時間まで遠距離の目的地に向かうことが可能になっているのだ。


―― 終電は「下り」だけではない

例に挙げた京王線と同様、他の私鉄各線も遅くまで急行などの速達型列車を走らせている。小田急も0時すぎまで、相模大野行きの急行や準急を走らせているが、特徴的なのは相模大野から分岐し、藤沢を経て片瀬江ノ島へ至る江ノ島線の終電だ。小田急線新宿から江ノ島線片瀬江ノ島行きの終電に乗り継ぐには新宿を23時35分に出る急行に乗る必要があるが、もし同じ時間に東京駅にいたとしても、江ノ島線の各駅に帰ることができる。

その理由は、上りの終電がJR東海道線の列車と接続しているためだ。藤沢発0時33分発の相模大野行き終電は、東京駅23時38分発、藤沢0時28分着のJR東海道線の普通列車に接続している。もし23時過ぎに東京駅周辺にいたとしても、新宿からの小田急線の時間を気にせず済むわけだ。終電の接続は都心のターミナル駅だけに限らないという例だ。

このほか、京成電鉄や京急電鉄は、普通ではなく通過駅のある列車が終電となっている。京成は津田沼より先の各駅への終電が通勤特急、京急は品川駅発の最終列車が特急で、通過駅をフォローする接続列車はない。ある意味思い切ったダイヤといえるが、遅い時間でも遠くまで輸送するという姿勢が現れている。


終電後の足、深夜急行バス



終電後のターミナル駅からは深夜急行バスが出ている(写真:うげい / PIXTA)

さて、終電を逃してしまった場合はどうするか。そんな時の足になるのが「深夜急行バス」だ。私鉄各社は、系列のバス会社などが終電の後、沿線の各駅へ向かう深夜急行バスを走らせている。

たとえば京王バスでは、新宿駅西口から0時55分に橋本行、1時05分に八王子駅北口行、1時20分に府中駅行、1時25分に国立駅行が発車している。平日のみの運行で、たとえば八王子駅北口までなら3100円、府中までなら2050円だ。予約制ではなく、先着座席定員制のため、満席になるまで乗車できる。

京王バスは京王電鉄各駅のほか、国立行きの便は武蔵小金井や国分寺を経由するためもあり、JR中央線の多摩地域の利用者もカバーしている。小田急グループも、系列の神奈中(神奈川中央交通)バスが深夜急行バスを運行しているが、こちらも小田急沿線の本厚木駅行きだけでなく、JR東海道線の平塚駅・大船駅に向けての深夜急行バスを走らせている。

深夜急行バスに積極的なのは京成電鉄のグループ会社・京成バスとそのグループだ。グループ内各社で京成電鉄だけではなく、東京メトロ東西線や都営新宿線、常磐緩行線沿線に終電後のバスを運行している。その他のバス会社でも、国際興業バスや関東バスがJRや私鉄の終電をフォローするためのバスを走らせている。


―― 終電が遅い路線からバスで帰る

また、遅くまで走っている路線の駅から出るバスも、うまく使えば終電を逃した際の足となる。たとえば、終電が遅い路線として知られるJR中央線沿線からは、京王線や西武線の駅へ向かうバスが夜遅くまで走っている。深夜バスは運賃が倍額だが、タクシーよりは安上がりだ。

国分寺駅からは、京王線の府中駅までのバスが平日は午前1時17分まで出ている。吉祥寺駅から京王線調布駅行きの最終バスはなんと午前1時30分発だ。京王線だと、府中までは新宿発0時33分、調布は同34分発が終電となるが、中央線の駅からバスを利用するなら、府中は0時41分、調布へは1時01分の中央線に乗れば間に合うことになる。

吉祥寺駅からは西武池袋線の大泉学園駅に行くバスもあり、こちらの最終も午前1時15分発と遅い。同駅への終電は池袋発0時44分のため、新宿からだと0時30分には出なければならないが、吉祥寺からバスを利用するなら新宿発0時50分の中央線で間に合う。

ふだん利用している路線の終電はもちろん、近くを走る他の路線やバスがどうなっているのか、いざというときのために調べておくといいかもしれない。


著者
小林 拓矢 :フリーライター

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