映画宣伝プロデューサーの叶井俊太郎さん(左)と漫画家の倉田真由美さん夫妻(撮影/写真部・堀内慶太郎)

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 過去に600人以上の女性経験がある。約3億円の負債を抱えて会社を倒産させた。バツ3──映画宣伝プロデューサーで夫の叶井俊太郎さんはどう見ても典型的な「だめんず(ダメな男)」だ。だがそんな彼が4度目の結婚をしたのは、「だめんず」という言葉を生み出した張本人・漫画家の倉田真由美さんだった。夫婦の対談をお送りする。

妻:初めて会ったのは、2003年かな。映画関係のパーティーでした。でも私は別の彼と一緒で、そのあと(中村)うさぎちゃんに紹介されて再会するまで5年くらい間があった。

夫:そうだっけ。

妻:当時、この人、もっとチャラチャラした感じだったんですよ。男っぽいフェロモンが丸出しというか、女に対して前のめりな感じ。あのころは2度目の嫁か3度目の嫁と結婚してて……。

夫:どっちだっけ。

妻:この人、ほんっとに昔のこと忘れてるんですよ! 私のほうが過去の女や嫁のことを、根掘り葉掘り聞き出したから全部覚えてる。最初に会ったときから“女600人斬り”とか業界中の噂だったけど、かといってガツガツ電話番号聞いてくる感じでもなかった。

夫:だってあなた、そういう男、嫌いじゃん?

妻:でも最初からね、なんとなく「この人とは合いそうだな」っていうのはピンときた。

夫:あ、そうなんだ。

妻:で、再会後に付き合いだしたんです。

――夫は高1から一人暮らしをし、数々の女性と付き合ってきたという。高校卒業後、ハワイ遊学を経て映画会社に就職。「グロいホラー映画だと勘違いして」買い付けた「アメリ」で大ヒットを飛ばし、業界の有名人だった。

妻:とにかく、話がすごく合ったんですよ。そこが衝撃だった。

夫:愛読書が「新潮45」だとか、そのなかでも殺人の実録ものが好きだとか。

妻:めちゃくちゃマニアックなマンガをお互い全巻持ってるとか。いまもテレビのチャンネルを争うことがほとんどない。嗜好が近いことが、こんなにラクだと思わなかった。

夫:オレも「趣味が違うほうがお互いにいいものを教え合えていいじゃん」って思ってたんだけど、やっぱ合わないんだよ(笑)。3回結婚して、わかった。

妻:3番目の嫁なんて、この人の本を「気持ち悪い」って言って……。

夫:本棚の本をすべて裏返しにされたんだよ! オレが持ってるのが「殺人」「猟奇」とかだから。

妻:「悪い“気”が来る!」って盛り塩されたりね。

夫:元に戻すのに2日間かかったもん。でもさ、当時オレもそういうの、「おもしろい」って思っちゃってたわけよ。

妻:3人ともそのパターンで一緒になって、最終的にとんでもないことになっていくわけ。学習能力がないんだよね。でもあんたのお父さんも6回くらい結婚してるしね。

夫:5回ね。

妻:血筋だと思う。

――かく言う妻もバツ1である。大学卒業後に漫画家となり、28歳で結婚。00年から連載した「だめんず・うぉ〜か〜」が大ヒットし、その後、長男を出産。30歳で離婚し、長男を福岡県の実家に預けて東京と福岡を往復しながら多忙な仕事をこなしていた。

妻:前の夫とはよくケンカしたけど、この人とは全然しない。結局、相性だよね。

夫:オレはとにかく、家に二人でいてケンカにならないってことがいままでなかったんだよ。

妻:それで「結婚したい」と思ったんでしょ? 私は結婚にはこだわってなかったけど。それに親にもめちゃめちゃ反対されました。いまも親に彼を会わせてない。会わせると揉めるに決まってるし。親も「元気にしてるの〜」って感じ。

夫:オレの母親とも5年くらい会ってないよね。

妻:すぐ近くに住んでるんですけどね。結局、私たちそこも似てるんです。形式みたいなものにとらわれない。だからラクなんです。

週刊朝日 2016年9月16日号より抜粋