「イラッとくる」そんな時はこんなことを。

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執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)


「イラッとくる」は、ムカッとする、気を悪くする、ムッとする、イライラする、カチンとくる、腹が立つなど、怒りや憤りの感情を表わす日本語表現です。

毎日の生活の中で、ふとしたことでイライラしたり、突然イラッとなったりすることは少なくないかもしれません。そもそもイライラとはどういう状態なのでしょう。そして、イライラを抑えるにはどうしたらよいのでしょうか?

怒りは悪いこと?

イラッとなるのは不快なことですし、物を壊したり他人を傷つけたりすれば、それはよくないことなのですが、人間の原初的な感情としては、危機状態を自覚したり、対処したりする働きも、怒りにはありました。

その名残?でしょうか、「くやしい」「不甲斐ない」といった怒りの気もちが、失敗から立ち直らせてくれたり、次の成功へ導いてくれることもよくあることでしょう。また、犯罪や社会悪に「怒り」を感じるのは、正義を守っていく原動力にもなります。

「イラッとくる」こと自体が悪いというよりも、何にイラッとしているのかを洞察することが、怒りをコントロールする際には大切なポイントとなるでしょう。

そもそも「怒り」とは?

怒りは人間の原初的な感情といわれます。

ある心理学者は「危険にさらされたという意識が怒りを喚起する万人共通の要素」と指摘しています。この「危険」には、災害や事故といった物理的な「危険」だけでなく、名誉や自尊心への中傷、侮辱、不当な扱い、無礼、大切な目標達成を邪魔されたなど、心理的・社会的な「危機」も含まれているといわれます。

感情や情動は「喜怒哀楽」ともいわれますが、快・不快でいえば、怒りは不快な感情であり、悲しみやさびしさなどと比べると、不快な感情群の中でも受身的ではありません。

程度や場合によっては、物を壊したり、人に暴力・暴言をふるったりといった、攻撃的な行動に走ることもあります。

怒りのメカニズム

野村理朗(認知神経学者、京大准教授)氏は、脳科学と心理学を融合させて、怒りのメカニズムを解明しています。

それによると、脳の偏桃体(へんとうたい)が、物理的・心理的・社会的な脅威を察知すると、身体にストレス反応を起こすホルモンの「アドレナリン」を分泌し、その結果、心拍や血圧、呼吸数の増大、骨格筋への血液増加、発汗などが生じるのが、怒りの生理的メカニズムとのこと。

こうしたプロセスは、身体の内部では自律神経が興奮している状態ですが、この状態を感知した偏桃体は、さらに、アドレナリンを分泌して怒りを大きくしていくこともあります。その結果、攻撃的な行動に走ってしまいます。

怒りを効果的に鎮める3つの方法

上述の野村准教授は、怒りを効果的に鎮めるカギを3段階で示しています。

1.怒っている状態から注意をそらす(気晴らし)


対象や場所から離れて、気分転換をする。気をそらすおしゃべりもOK。
怒りが強ければ腹式呼吸を10分ほどやってみる。

2.客観的に原因や状況を再評価(振り返り)


どうして怒ったのか、どんな状況だったのかなど、怒ってしまったことを客観的に振り返る(認知的再評価)ことで、イラッとした原因に迫る。
ちなみに、この作業は脳科学的には、前頭前野を活性化させることにもつながるというのが、野村準教授の弁。

3.社会的共有(言語化、表現)


イラッとした経験を、自分だけのものではなく、誰かに話して共有をする。
この第3者と話すことは、上述2.の「認知的再評価」を促進することにもなり、自分がやったことを認めたり、自信がついたりすることにもつながります。

不必要な怒りをなくす生活習慣

人間にはイライラしやすくなる状態があります。

身体が疲れていたり、不眠状態だったり、栄養が欠乏していたり、運動不足が高じているなどです。また、そんな時はキレ方も激しくなったりするもの。ですから、普段から生活習慣を整えておくということは、イラッとする状態を必要以上に増幅しないことにもつながります。

「最近イライラしやすいかも」と思われる方は、一度自身の生活習慣を見直してみることが良いかもしれません。


<参考>
http://www.kyotoliving.co.jp/article/101106/front/


<執筆者プロフィール>
山本恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長