樹木はもちろん、住宅地の至る所で巣を作るスズメバチ

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マラソン大会のランナー115人がスズメバチに刺された。コース途中の橋の側面に巣があり、その上を多くのランナーが走った振動で巣が揺れ、刺激を与えてしまったためにハチが襲ってきたとみられている。

マラソンコースは山間部だったが、ハチの巣駆除の専門業者に聞くと「巣ができるのは都市部でも同じ」。しかも「9〜10月は気性が荒くなっているので、ちょっとの刺激でも襲ってくる」という。あなたのすぐ近くにも、スズメバチがいるかもしれないのだ。

人の生活圏はスズメバチが住むのに丁度良い

スズメバチ被害が起きたのは2016年9月11日10時過ぎ、岐阜県飛騨市で開催された「山の村だいこんマラソン」だ。同市教育振興課の担当者にJ-CASTヘルスケアが取材したところ、全1539人の参加者のうち、この橋を含むコースを走ったのは697人で、そのうち115人が刺された。救急搬送者はおらず、いずれも軽傷という。

毎年この時期に開催され、今回で18回目を迎えたが、「ハチ被害が起きたのは初めて」(市担当者)。大会前にコースの安全性はチェックしており、情報提供や係員の試走によって見つけたハチの巣は事前に駆除したが、問題の巣はコースを通行している限り死角にあり、発見できなかった。サイズはバスケットボールより一回り大きいほどだったという。

一つの巣でこれだけの被害を出したスズメバチ。今回のマラソンコースのような山間部に限らず、「住宅地や都市部でも巣を作る」とJ-CASTヘルスケアの取材にこたえたのは、害虫・害獣の中でもハチの巣駆除を専門に手がけ、30年以上の実績を持つ「蜂屋のサカイ」(福岡県大牟田市)の坂井徳次(とくじ)社長だ。

「森林や山間が最も多いですが、固定された物や建物だったら、目に付きにくい場所でもどこでも作ります。今回のような橋の側面はもちろん、過去には『久しぶりにエアコンを回したら室外機からハチが飛び出してきて、中を見たら巣ができていた』という駆除依頼もありましたよ」

市街地に進出してきたのは今に始まったことではなく、「何十年も前から。スズメバチは生ゴミでも何でも食べるし、巣作りに必要な木材もあるので、人の生活圏は住むのにちょうど良い」(坂井社長)という。

ツイッターやブログにも、台所に面した窓の下や、玄関先の生垣の木、さらに自動車のボンネットの内側、しばらく乗っていなかった自転車のタイヤの上、といった場所にスズメバチが巣を作っていたと報告がされている。

最後の手段は「必死で逃げて家や車の中に入れ」

スズメバチの毒はハチの中でも特に強力で、刺されると大きく腫れて強い痛みを感じ、軽症でもめまいや悪寒を発する。最悪の場合、アナフィラキシーショックで死に至る可能性もある。厚生労働省の人口動態調査によると、ここ15年ほどは毎年20人前後がハチに刺されて死亡している。

また、毎年9〜11月は女王蜂の繁殖期で、働き蜂は女王を守ろうと、1年で最も気性が荒くなる。わずかな振動でも敏感に反応し、攻撃してくる。坂井社長は「スズメバチを見かけた段階では、音を立てず、速やかにゆっくり逃げるのがよい」と言うものの、「最後の手段」としてこう強調した。

「いざスズメバチが追いかけてきたら、必死で逃げてください。狙いをつけられたらどこまでも追いかけてくると思ってください。髪の毛の黒色を目がけてくるので、頭を振り払いながら走り、家や車の中のような、ハチの接近をシャットアウトできる場所まで逃げましょう」

スズメバチの巣はボール状で特徴的な波模様がある。もし自宅や近所で見つけても、自力で駆除するのは危険だ。駆除し損なったハチが襲ってきて刺される可能性があり、一度駆除できても同じ場所に再度巣を作られるかもしれない。