『ポケットモンスターを極める本』(キルタイムコミュニケーション)

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 今年の夏、もっとも話題となったスマートフォンゲーム「ポケモンGo」。ポケモンの古くからのファンのなかには、1996年に発売されたポケモンのゲームボーイ用ソフトに思いを馳せた人も多かったらしい。その時の攻略本を改めて見返す人もいたようで、「攻略本が今みてもめちゃくちゃ笑える」とTwitter上で話題を呼んでいる。

 『ポケットモンスターを遊びつくす本』『ポケットモンスターを極める本』『ポケットモンスターを150匹集める本』(キルタイムコミュニケーション)は、ポケモンのゲームボーイ用ソフトが発売された1996年と翌年1997年に発売された攻略本。ポケモンを全種類集めるにはどうしたら良いのか。強くポケモンを育てて、対戦で勝つためにはどうすれば良いのか。さまざま観点からポケモンの攻略法を真面目に記載しているはずなのだが、どういうわけか、この本は、今読んでも面白い。

 たとえば、Twitterで特に話題となったのは、『ポケットモンスターを極める本』。どうしてこんな辛口なのかという程、ポケモンに対する辛辣な記述が目立つのだ。「ポケモンGo」ではそこそこ人気があるカイロスに対しても、「虫属性のくせに、その攻撃を全然覚えられないのは勘弁。よって、残念ながらあまり使えるという印象はない」。「ポケモンGo」の対戦でよく使われるサンダースに対しても「ただの犬なので、そこんトコをわきまえよう」。金魚のような見た目の水属性のポケモン・トサキントに対しては「これといった取り柄がないのが悲しい。他に役立つポケモンは、いっぱいいるので、そっちのほうがよいかも」。何の恨みがあるのかというくらい毒舌で、ポケモンの紹介がなされている。

 だが、これはポケモンに対する愛情の裏返しらしい。『ポケットモンスターを遊びつくす本』では、ポケモンをやりこんだトレーナーたちからのアドバイス(?)と称するコラムが掲載されている。

「僕の場合、最初にクリアした時の6匹のポケモンには思い入れがあるんだ。始めはとりあえず、クリアしようとポケモン集めもそこそこにプレイしていたんだけど、そんななかであつめたポケモン6匹は、ほとんど入れ替えなしでプレイしたんだよ。四天王やライバルとの戦いは壮絶だったなぁ。そんなわけだから僕のアドバイスとしては、テクニックなことはないんだけど、苦労をともにしたポケモンは大切にしよう。きっとやってくれるっていう思い込みが大切なんじゃないかって思うんだ。」

 …なんだか全然アドバイスになっていないような気がするのは、気のせいなのだろうか。また、あるトレーナーは、「育て方にシビアにこだわっている」と語り、ポケモンへのドーピングを薦める。「特に、レベルの低いうちからのドーピングがオススメ。資金的に辛いこともあるけど、レベルの低いうちからの薬の投与は、レベル100になった時に致命的な差として現れるから、コツコツとドーピングを行おう」。…ゲームの中の話なのに、なぜかヒヤヒヤしてしまうのは、私だけなのだろうか。

 1996年に赤・緑・青の3種類のゲームボーイ用ソフトが同時発売されたポケモン。幾度となく再販されても、1997年代も品薄状態が続いていたらしい。そのせいなのか、攻略本には、自分の持つソフトの魅力を主張する様子も掲載されている。「レッドってなんかガキっぽいじゃん。パッケージのポケモンも口大きくあけて炎吹いてるし、なんだかな〜って感じ」(学生・18歳・男)。「グリーン版ってパッケージが落ち着いた感じだよね。知的な感じがするし」(会社員・23歳・男)。それぞれ3種類のソフトは、出現するポケモンやその出現率に違いはあるものの、ストーリーは全く同じだというのに…。ポケモンの世界にハマリコンでしまった人たちには、何だか少し攻撃的だ。

 2016年、ポケモンは「ポケモンGo」というスマホアプリとして、再び世界中を席巻している。ポケモン愛はますます強まるばかりだが、どうか、ポケモン愛はこじらせずにいてほしい。ポケモンとは純粋な気持ちで接し、他のトレーナーとも仲良く、ゲームに励んでほしいものだ。攻略本の過激さをみるに連れて、心の底からそう思う。

文=アサトーミナミ