その歴史を紀元前のローマ帝国の植民都市にさかのぼる、ドイツ最古の街トリーア。ここに、ドイツ最古の大聖堂で、ドイツ三大聖堂のひとつにも数えられる世界遺産の大聖堂があります。

旧市街の中心、中央広場のほど近くにそびえるトリーア大聖堂。4世紀に建設がはじまった初期ロマネスク様式の大聖堂で、重厚かつ壮大なたたずまいは圧巻の迫力です。

大聖堂の隣には、13世紀中ごろに造られたゴシック様式の聖母教会が建っており、これら2つの建物が内部の回廊でつながっている珍しい構造になっています。

長い歳月をかけて増改築が繰り返されてきた大聖堂は、1700年にわたる芸術や建築の歴史を物語っていることが評価され、隣の聖母教会やトリーアのローマ遺跡群とともに世界遺産に登録されています。

内部に足を踏み入れた瞬間にはいささか質素な印象を受けますが、内装を一つひとつ丹念に見ていくと、この大聖堂の歴史的、芸術的重要性が実感できます。

長い歴史を経て、各時代の様式が付け足されてきた大聖堂は、古代ローマとザーリアー朝、ロマネスク、ゴシック、バロックの要素が融合した、多彩な表情をもつ建築物。特に目を引くのが、化粧漆喰と木製象眼細工で装飾された西内陣の丸天井です。

繊細さと今にも動き出しそうな立体感と躍動感を兼ね備えた彫刻の数々は、目が離せなくなるほどの美しさ。

長い歴史を物語る、重厚さと精巧さが同居する祭壇も圧倒的な存在感。「人の手でこんなものができるとは…」と感嘆してしまいます。

1974年に設置されたパイプオルガンに施されている優美な装飾にも注目。ゴシック様式のヴォールトをもつ天井と美しく調和しています。

東内陣の奧には、トリーア大聖堂でもっとも貴重な聖遺物、キリストがまとったとされる聖衣が納められています。

聖衣が納められている「聖衣の小聖堂」は、普段は閉ざされていて、毎年開催される「聖衣週間」のみ見学可能となっています。ただし、聖衣は聖遺物箱に保管されているので見ることはできないのだとか。


謎に包まれた聖遺物。私たちの目に触れることはありませんが、階段をのぼって着衣の小聖堂の手前に立つと、その奧に特別なパワーをもった何かがあるように感じられました。

ここから先は、大聖堂とつながっている聖母教会です。彫刻やレリーフが印象的な大聖堂に対し、聖母教会に足を踏み入れた瞬間に目に飛び込んでくるのが鮮やかな色彩。

可愛らしい植物文様で彩られた天井、色とりどりのステンドグラス…自然光によって教会内部にステンドグラスの色彩が反射し、優しくゆらめきます。

どこか男性的な力強さのある大聖堂と比べると、女性的な柔らかさと華やかさが感じられ、どこかほっとさせられます。

まったく異なる魅力をもつ、隣り合った大聖堂と聖母教会。いずれも「世界遺産」の名にふさわしい、人類が築いた素晴らしい歴史文化遺産であることが肌で感じられることでしょう。

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