広島東洋カープが2016年のセ・リーグを制した。じつに25年ぶりの出来事だ。

快挙を構成する要素は数あれど、ここでは「ファンの力」に焦点を当てたい。カープといえば、関東の球場であれビジター応援席を真っ赤に染め上げる熱狂的なファンで有名。もちろんそれは、圧倒的な強さを誇った今シーズンだけに限ったことではないことも強調しておく必要があるだろう。

四半世紀にわたって優勝から遠ざかろうと、決して広島のファンはチームを見捨てなかった。一体なぜ?その理由を、ある研究結果とともに説明しよう。

「敗北」は「勝利」と
同じくらい絆を深める

「Daily Mail Online」に掲載された、英・オックスフォード大学の研究結果によると、「負けの悲しみを共有する」ことで、ファンはチームに感情移入し一体感が生まれることになる。それが続けば続くほど、益々チームを勝たそうと応援したくなるという。

この一連の流れは、「アイデンティティの融合」と呼ばれるらしい。12球団でもっとも長く優勝から遠ざかっていたカープは、たとえ結果が出ていなくとも、ファンのハートをつかみ続けていたというわけ。

「屈辱的な結果」は
忠誠に効果バツグン

加えて、先の研究結果によると、屈辱的な体験はより忠誠心にインパクトがあるのだそう。たとえば、Jリーグでいえば、J1からJ2への降格など。

もちろん、プロ野球では下部リーグへの降格などあり得ない。しかし、カープは1998年から15シーズン連続でBクラス(4位以下)に終わっている。ファンからすると屈辱的な結果と言って差し支えないはずだ。

一見すると負の体験のように思えるが、それがかえってファンとチームのアイデンティティを同一化させることになる。悔しくて辛いネガティブな結果が、結束を弱めるどころか、むしろより強めてしまうという皮肉な研究結果。スポーツ好きからしても、なるほど確かに一理ある。