身の厚い鯖を昆布と塩で締め、すぐき漬けと大葉のみじん切りを挟んで棒寿司に。出す寸前に表面をあぶり、皮はぱりっと、身はとろりと濃厚な味わいに。1本で8貫だが、ハーフサイズ(4貫)もある。1本2160円(税込み)(撮影/楠本涼)

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 著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回、船越英一郎さんが選んだのは、「まんざら 本店のあぶり鯖寿司」だ。

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 京都に通って、かれこれ30有余年。ここまでくると、育った神奈川、住んでいる東京に次いで、もはや第三の故郷です。

 僕にとって故郷とは、待っていてくれる人たちがいるところ。この店のオーナーとも、30年の付き合いです。役者として先が見えなくて、でも「何とか大きくなってやる!」って模索していたころでした。彼も飲食店を開いたばかりで、何か新しいことを、と挑戦を続けていた。以来、互いに励まし合ってきた友人です。そこから仲間が広がって、おかげで京都を故郷と呼べるまでになったんです。

 鯖寿司は、いかにも京都らしい一品。お祭りの時など、一般家庭でもよく作りますし、名だたる割烹料理店のメニューにもある。でも、僕はここのが一番好き。脂の乗った鯖とご飯の間に京都ならではの「すぐき漬け」と刻んだ大葉が挟んであって。あぶられた鯖が香ばしくてね。それでいて、お値段もお手頃で。これを食べると「お帰りやす」って言われてるようで、ほっとするんですよ。

京都市中京区河原町通夷川上ル指物町321/営業時間:17:00〜23:30L.O./定休日:なし

週刊朝日 2016年9月16日号