日本の赤ちゃんは寝る時間が世界一足りない! よく寝るための7つの条件

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2010年に発表されたイスラエルの児童睡眠学者の研究で、世界17カ国で0〜36カ月の赤ちゃんの睡眠状況を調べたところ、「日本の赤ちゃんは世界一睡眠時間が短い」という結果が出たそうです。子どもの睡眠不足が叫ばれるなか、赤ちゃんの睡眠不足も深刻な模様。
 
では、赤ちゃんがぐっすり寝るためにはどうしたらよいのでしょう? 赤ちゃんの寝かしつけに困っている方の声もたくさん聞きます。そこで、『赤ちゃんがぐっすり寝てくれる奇跡の7日間プログラム』(あさ出版)の著者である山本ユキコさんに、赤ちゃんの寝かしつけ方法と、ぐずる赤ちゃんの上手な寝かし方について話を伺いました。

日本の赤ちゃんの多くが睡眠障害の状態に?

人間の体内時計は、食事の間隔と量に影響を受け、いつ食事をするかが睡眠の質を左右するといわれています。特に赤ちゃんは夜の睡眠前に授乳して、おなかがいっぱいになってから眠りに入るので、「授乳」と「寝ること」には深い関係があります。そして、日本の育児では「授乳」と「寝ること」について、二つの正反対の方法が混在していることが「寝かしつけ」をややこしくしているのです。
 
1つが、「デマンディング・フィード法」。かつて日本では、祖父母や地域の人たちを含めた「チーム」で子育てをしていた時代がありました。赤ちゃんは代わる代わる常に誰かに抱っこやおんぶをされ、「泣けば授乳し、そのまま寝かせる」といった、赤ちゃんまかせのタイミングで子育てが行われていたのです。
 
そして、もう1つが「生活リズム法」。もともとヨーロッパの貴族階級では、赤ちゃんの面倒はプロの保育者である乳母がみるものでした。しかし、いくらプロとはいえ、生活リズムが大人と異なる赤ちゃんを一人で見るのは過酷なこと。そこで、大人側が授乳や睡眠のサイクルを決めて赤ちゃんをリードする「生活リズム法」ができあがりました。
 
では、どちらの方法が親と赤ちゃんにとって適切な方法なのでしょうか。
 
「私の子育て教室で、『赤ちゃんが夜寝ない』『夜中に何度も起きて困っている』と悩みを寄せる人は、デマンディング・フィード法を実践している場合が多いんです。そこで、生活リズム法を無理のない程度に実践してもらうと、生活のバランスが整い赤ちゃんが寝やすくなったと報告を受けます」(山本ユキコさん)
 
つまり、赤ちゃんを上手に寝かしつけるために、生活リズム法の実践が有効。そこで、「生活リズム法」をうまく取り入れる方法を山本さんに教えてもらいました。

赤ちゃんが寝るためには、時間配分より「生活の順番」を優先!

「生活リズム法」とは、文字通り赤ちゃんの就寝、起床、食事……といった生活のタイミングを大人が決めるものです。赤ちゃんにも大人にも、無理なく取り入れるための7つのコツを紹介してもらいました。

寝室から音と光を締め出す
赤ちゃんは人の声が大好きで、ぐっすり眠っていても人の声が聞こえると脳が反応し、話を聞こうと集中してしまいます。ほかにも、音や光は赤ちゃんにとっては刺激であり誘惑です。音と光を赤ちゃんが寝る場所からシャットアウトし、「もう寝るしかない」という状況をつくります。泣いたら少し様子を見る
一般的に生後6カ月頃から赤ちゃんの夜泣きが起こりやすくなりますが、それは「寝言」や「寝返り」のようなもの。そっと様子を見ていると、また寝てくれることもあります。寝る「場所」を決める
遊ぶ場所と寝る場所を分けることが大切です。特に寝る場所からおもちゃが見えないようにし、赤ちゃんが興奮するものを寝る場所に置かないようにしましょう。寝る「時間」を決める
親が「赤ちゃんが寝る時間」を決めましょう。「寝る時間」とは「赤ちゃんを布団に入れる時間」のことです。まずは親が目標を設定し、それに沿った生活をすることが大事です。寝るまでの流れを決める
時間よりも「お風呂→絵本→就寝」といった順番を決め、「寝るまでの流れ」を赤ちゃんの身体に覚えさせましょう。寝る前に絵本を読み聞かせ、読み終わったら暗くて静かな寝室へ移動するという「就眠儀式」をつくることもおすすめです。母乳・ミルクの飲ませ方をコントロールする
寝る前にたっぷりのおっぱいやミルクをあげれば、赤ちゃんは眠くなります。寝る直前にたっぷり飲めるように、就寝前の3時間は授乳を控えてください。寝かしつけ前の“夕寝”を防ぐ
寝かしつけ前の「3時間」は、“夕寝”を控えましょう。授乳同様、寝る時間にちゃんと眠くなるように、その前の3時間は寝かせないことを意識してください。

 
「2.泣いたら少し様子を見る」「6.母乳・ミルクの飲ませ方をコントロールする」「7.寝かしつけ前の“夕寝”を防ぐ」は、赤ちゃんが途中で泣いたり、グズったりした場合、どこまで様子を見ればいいのか、判断に悩むかもしれません。
 
「目安は、親が辛くならないことです。親が寝不足になったり、精神的に辛くなったりするようなら、授乳をしたり、抱っこをしたりして、赤ちゃんからの欲求を優先させる“デマンディング・フィード法”で寝かしつけても問題ありません。赤ちゃんと大人が、どちらも心地よいバランスを見つけることを目標にして、寝かしつけを『コーディネート』してください」(山本さん)

外出先や旅行先で赤ちゃんが「寝ない、ぐずる、夜泣き」の対策は?

生活リズム法を実践していても、赤ちゃんの夜泣きやぐずりについては多くの親が悩むところです。山本さんは「うまくいかなくても仕方ない」と思うことが大切だと言いますが、外出先や旅行先では周りの反応が気になってしまうもの。
 
「旅行先で赤ちゃんの夜泣きが激しかったり、なかなか寝てくれなかったり、夜中に起きてしまったりするのは、赤ちゃんがいつもと違うことに気づいているからです。つまり、環境の違いに赤ちゃんが違和感を覚えているんです。これは、赤ちゃんの感受性が豊かな証拠です」(山本さん)
 
とはいえ、何か有効な対策方法はないのでしょうか。
 
「先に挙げた7つの項目のできるものだけでも旅行先で実践してみてください。お家での生活リズムをくずさないことで、赤ちゃんを安心させてください。でも、旅行先でいつも通りにいかないという体験も、親子の経験値を上げてくれます。子育ては『できない』、『困った』といった不測の事態の連続ですが、こうした経験をすることも大切だと思いますよ」と山本さん。
 
子育ては「できなくて当たり前」という大らかな気持ちで、親子が一緒に成長できることを楽しむスタンスで取り組んでいきたいですね。
 
監修:山本ユキコ(〈子育てフィロソフィ〉主宰)
 
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photo:Thinkstock / Getty Images