「ヒラリー大統領」でも残るガラスの天井、米議員の女性比は2割で世界96位

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2016年7月28日は、米国で初めて女性が大統領候補に正式指名された日として、同国の歴史に残るだろう。米国女性はもっとリーダーシップを発揮すべきだと考える人々にとって、これは極めて大きな成果だ。

ヒラリー・クリントン自身の言葉を借りれば、「(女性の昇進を阻む)ガラスの天井に最も大きなひびを入れた」のだ。

男女平等の実現に向けた重要な節目を喜ぶ米国人たちがいるのはもっともなことだが、世界的にみると、この点においては米国が先頭に立っているわけでない。それどころか、実際には改善すべき点が数多くある。

連邦議員に占める女性の比率、米は96番目

米国は政権トップだけでなく、議会レベルでも女性の参画が遅れている。各国の国会議員による国際的な交流組織、列国議会同盟(IPU)がまとめた報告書によると、米連邦議会の全議席数に占める女性議員の割合は、下院が434議席のうち84議席(19.4%)、上院が100議席のうち20議席(20%)にとどまり、国別ランキングでは96位となっている。

また、米国より女性議員の割合が高い国は、欧州35か国、アフリカ25か国、アジア16か国などとなっている。また、このランキングをみると、アフガニスタン(50位)やアラブ首長国連邦(UAE、74位)、サウジアラビア(91位)など、男女平等の実現が進んでいるとは考えられていない国も、米国より順位が高いことが分かる。

また、世界の20か国・地域ではすでに、女性が元首(大統領など)や政府トップ(首相など)国のリーダーの地位に就いている(君主は除く)。世界で初めて女性国家元首が誕生したのは1940年。トゥヴァ人民共和国(現在はロシア連邦を構成するトゥヴァ共和国)のヘルテック・アンチマ・トカが、最高会議幹部会議長に選出された。そして、1960年代後半になると同時期に複数の女性リーダー(首相)が誕生(インドのインディラ・ガンジー、イスラエルのゴルダ・メイアなど)した。

それ以来、女性リーダーは急速に増加。1940年からこれまでに83か国で、計138人がトップの役割を務めた。そのうちいくつかの国はもはや独立国として存在していないが、現時点で国際的に承認されている196か国のうち、過去70年間に約40%で女性リーダーが誕生したことになる。

他国の女性リーダーがこのペースで増えていくとすれば、仮にクリントンが今年、大統領が選出されなかった場合、米国で次に女性大統領候補が誕生する時には、世界の半数近い国ではすでに女性リーダーが誕生していたということになるかもしれない。

政治リーダーと企業トップ

企業のリーダーシップにとって、なぜ政治的なリーダーシップが重要なのだろうか。企業幹部の行動や態度が従業員の行動に影響を与えることが証明されていることを考えれば、政治指導者たちの行動は政府関連機関や企業、非営利団体など、米国に拠点を置くあらゆる組織の見本になっていると考えざるを得ない。

女性大統領の誕生は、より多くの女性に門戸を開くことになる可能性がある。実際、クリントンは当選すれば閣僚の半数を女性にする考えを示している。従って、企業の管理体制を含め、社会のあらゆるセクターにこうした動きが広がることも期待される。

女性を大統領に選ぶことが、職場における女性の地位向上につながると考えるには理由がある。一方、選ばなければ、米国の産業界における男女平等の実現に向けた進展には、遅れや障害が生じる可能性がある。