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東京都心に住むHさん(30代・男性)は、仕事を終えて帰宅した後、ジョギングで汗をかくことを日課にする。ストレス解消になる時間だが、夜間に走っていると、歩行者などとの接触事故を起こしそうなヒヤっとする瞬間があるそうだ。

Hさんは、自宅周辺の商店街、幹線道路沿い、住宅街、約5〜6キロメートルを駆け抜けるのが定番コースだ。人通りが多いところもあれば、暗くて見通しが悪い場所もある。そんな場所では、歩行者と接触しそうになったり、急に飛び出してくる自転車と接触しそうになったりすることも何度かあった。

ジョギング中に歩行者と接触して歩行者にケガを負わせるなど事故を起こした場合、ランナーはどのような責任を負う可能性があるのか。和氣良浩弁護士に聞いた。

●道交法では「ランナーは歩行者」扱い

「『道路交通法』(以下『道交法』)で、『歩行者』とは、道路の上を車両によらない方法で移動している人であるとされます。したがって、ランナーも『歩行者』として扱われることとなります

歩行者に対する一般的な規制としては、信号機に従う義務(道交法7条)や対面通行の原則(同法10条1項)、泥酔歩行の禁止(同法76条)などがあります」

しかし、狭い歩道にランナーと歩行者が共存するのが難しい局面もあるようだ。たとえば、車道を走る、音楽を聞きながら走る、強引に歩行者の中を走っていくことに問題はないのか。

「ランナーも『歩行者』にあたる以上、歩道と車道の区別がある道路では、原則として歩道を通行する義務があります(道交法10条2項)。

音楽を聴きながらランニングを行うことについて、歩行者には特に規制はありません。また、ランナーが歩行者に強引に道を譲らせる等の行為も、現時点ではマナーの問題にとどまります」

仮に、ランナーと歩行者、自転車との接触事故が起こった場合には、どんな責任が問われるのだろうか。

「ランナーと歩行者、自転車との接触事故ともに、ランナーに過失が認められた場合には、相手の負傷状態等によっては刑事責任を、民事上においても相手方の損害を賠償する責任を負う可能性があります。

民事上の責任については、ランナーは速度が出ており、歩行者よりも加重された安全確認義務を負うものと解されます。そのため、歩行者に比べて大きな過失が認められる可能性が高くなります。

歩行者と自転車の交通事故の場合には、速度の出る自転車側に大きな過失が認められることが多く、同様にランナーについても、歩行者よりも一定程度大きな過失が認められる可能性は高いといえます」

和氣弁護士は、最後に次のように指摘した。

「道交法上は、ランナーに対して歩行者と特に区別して細かく規制しているわけではありません。しかし、将来的には条例などでランナーに対する規制が制定される可能性もあると思われます」

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
和氣 良浩(わけ・よしひろ)弁護士
平成18年弁護士登録 大阪弁護士会所属 近畿地区を中心に、交通・労災事故などの損害賠償請求事案を被害者側代理人として数多く取り扱う。
事務所名:弁護士法人和氣綜合
事務所URL:http://www.wk-gl.com/