関連画像

写真拡大

資格を取るよう会社から促されたけれど、補助金が全く出ないのはおかしくないかーー。そんな疑問がネットの掲示板で話題になった。

投稿者は仕事上必要という理由で、会社から資格をとるよう命じられた。教材と講習費用で約20万円の費用がかかるそうだ。しかし、会社からは「自分の力になる資格だから自分だけで払って」と自腹を命じられた。投稿者は月給13万円で、20万円をすべて自分で支払うことを負担に感じている。

会社が従業員に対して、業務上必要な資格を取得するよう命じる場合、会社が費用を負担する必要はないのだろうか。太田伸二弁護士に聞いた。

●「業務命令」かどうか?

「今回のケースでは、(1)業務命令として資格取得を命じられた場合に費用を負担するのは誰か、(2)費用がかかる資格取得を命じた業務命令が有効かという点を考えたいと思います。

まず1つ目の点ですが、『仕事上必要だという理由で資格を取るよう命じられた』ということですので、このような指示は業務命令に当たると考えられます。

会社には、業務の遂行のために必要な命令を出す権限(『業務命令権』)がありますが、業務に必要な資格取得を業務命令として命じた場合には、その費用は会社が負担すべきだとされています。

例えば、タクシー運転手として営業をするのに必要な第二種運転免許の取得費用については、取得を命じた会社が負担すべきとした裁判例(名古屋簡判平成16年5月13日)があります。

今回のケースでも、業務命令である以上、資格取得費は全額、会社側が負担するべきだと言えます」

すでに支払っていた場合、後から請求することはできるのだろうか。

「資格取得費用を労働者が支払っていたとしても、前述したように、本来は会社が負担すべきものです。後から会社に請求することもできます」

●「業務命令」が無効になるケース

それでは、会社側が資格取得費用を支払わないと言っている場合でも、命じられた社員は従わなければならないのか。

「そもそも、このような業務命令が有効かどうかは問題です。先に述べたように、会社には『業務命令権』がありますが、その権限の濫用に当たるような業務命令は無効になるとされています。

投稿者の方のように、約20万円もの負担を労働者に強いる業務命令は、権限の濫用として無効である可能性が高く、そもそも従う義務はありません」

太田弁護士はこのように指摘した。

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
太田 伸二(おおた・しんじ)弁護士
2009年弁護士登録。新62期。ブラック企業対策仙台弁護団事務局長、ブラック企業被害対策弁護団副事務局長、日本労働弁護団全国常任幹事。
事務所名:新里・鈴木法律事務所