公式予約のお得感を打ち出す東横イン(HPより)

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 間もなく始まる“秋休み”のシルバーウィーク。今年は飛び石で大型連休が取りにくいとはいえ、ちょっとした国内旅行を計画している人は多いだろう。

 いまや旅行予約は、「楽天トラベル」や「じゃらん」などOTA(Online Travel Agent)と呼ばれるオンライン上の旅行会社を利用すれば簡単に手配できる時代。ある民間調査によれば、オンライン旅行販売額は3兆円に迫る勢いで、総販売額の3割を超えているという。

 だが近年、宿泊施設が自ら公式ホームページを使って、OTAよりも「割安感」や「おトク感」を謡った予約キャンペーンを張る動きが加速している。一体、日本の旅行市場で何が起きているのか。ホテル評論家の瀧澤信秋氏が解説する。

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 検索サイトで「ホテル/最安値保証(ベストレートギャランティ)」といったワード検索をすると、ホテルの公式サイトが多数表示される。“最安値保証”が公式サイトへ誘引する謳い文句となって久しいが、さらに公式サイトからの予約を条件とした様々なベネフィットを利用者へ提案するホテルも増えている。

 アーリーチェックインやレイトチェックアウトはもはや当たり前の感があるし、ミネラルウォーター、中には缶ビール・おつまみなどをプレゼントするケース、夜食を無料提供するホテルまである。期間限定のサプライズプレゼント的な企画も多く、思いがけず楽しい旅になることも。これらはいずれも公式サイト経由した予約を前提条件とするホテルが多い。

 ホテルが公式サイトを経由した予約に力を入れる主たる理由は手数料負担の回避だ。宿泊予約サイトの多くはOTAであり、宿泊予約サイトを経由する場合、ホテルは相応の成約手数料をOTAへ支払わなくてはならない。OTAによってその率は異なるが、おおよそ1割〜となっている。

 一般に馴染み深い予約サイトといえば、「楽天トラベル」「じゃらん」「一休」といったところだろうか。一休は高級ホテル、じゃらんは旅館にも強いなどそれぞれの特徴がある。また近年、「ブッキングドットコム」など海外のホテルに強かった予約サイトが国内ホテルへも力を入れ始めている。

 過去OTAは、その集客力をバックボーンに手数料の値上げを続け、反発するホテル側が積極的にOTA外しを目論む動きもあった。公式サイト最安値宣言の激増、ベネフィットの提供はそうした動きの延長線でもある。「予約サイトVS公式サイト」の構図は、ホテル業界の活況に伴い、その輪郭をますますはっきりさせていくことだろう。

 ところで、公式サイトから最安値予約をする際に、前述したようなベネフィットも享受するためには、当該ホテルの会員プログラムへの入会が条件になることが多い。基本的に入会は無料だが入会金を徴収するチェーンもある。

 アパホテルや東横インなどのように、入会しておくとキャンペーン期間で会員向けのさらなる最安値料金設定、ポイントの付与率がアップされることも。また、10泊に1泊無料といった無料宿泊の機会や、意外なキャンペーンやお得情報など得られることもある。

 一方、予約サイトのメリットは、様々なホテル予約のポイント積算が合算されることはもちろんであるが、ホテルを一覧で比較対照できる利便性や、利用者の忌憚なき口コミが見られるといったことで利用者の心を掴んでいる。 

 もちろん、予約サイト間の競争も熾烈を極めている。「最低価格保証」を謳い、他のサイトより高かったら差額を返金することを大々的に謳うサイトもある。だが、差額返金システムの詳細を確認してみると、返金というお金にかかわることだけに、特に旅行慣れしていない利用者には手続きは煩雑だろうと思料される内容だ。

 また、同一ホテル・同室客室でも予約サイトによって料金差があることは有名。そこで様々な予約サイトの料金を一覧で比較できる「比較サイト」が人気でテレビのコマーシャルでもよく見かけるが、常時変化する最近プランや料金が即時反映されないという利用者の声もある。

 繁忙期でホテル予約が困難な場合に、予約サイトと公式サイト、いずれからの予約に分があるのかといえば、直近の場合は公式サイトで空室を見つけられることが多い。確かに直近のキャンセルが出た場合、「予約サイトへ卸さずとも自社サイトへの反映で予約が入る」とホテル関係者は言う。さらには「自社サイトへ反映するまでもなく電話で予約が入る」とも。

 2015年は5連休だったシルバーウィークも、2016年は3連休で多少ハードルは低くなったとはいえやはり人気ホテルの予約は難しい。ダメもとで直近のキャンセル狙いをしてみるのもいいかもしれない。シルバーウィークのような繁忙期の場合はその直前、または最終日は激安にラクラク予約できることは定石だ。

 予約サイトVS公式サイト。おトク感やベネフィットはもちろん、予約のタイミングや旅のスタイルで賢く使い分けたいものだ。