みなさんは、たとえば、これから車を買おうという時、何で車種を決めますか?

価格? デザイン? 機能性?

3つのうち、どれを優先して、最終的にどの車を選ぶか。それはfMRI(MRIを画像化するもの)で脳を覗いていれば、あらかじめわかるという研究結果が出ています。この脳と消費の関係に注目したマーケティング手法は「ニューロマーケティング」と呼ばれ、近年、世界的に注目されています。長年にわたり別々に進化してきた科学技術とマーケティングスキルが結びついたものともいえます。

世界中で大人気となったロングセラー・カー「クラシック・ミニ」を土台に、フェラーリも手がけたデザイナー、フランク・ステファンソンを起用して新たに生まれた「ニュー・ミニ」は、まさに最先端のニューロマーケティングの賜物だそう。他にも、このニューロマーケティングを活用している企業は、コカコーラ、エスティローダー、グーグル、P&G、マクドナルド、マイクロソフト、ヤフーなどなど、数え始めれば、もうきりがないほど。

「欲しい!」は報酬系が決めている

たくさんあるブランドからどれを選ぶか? 

それを決めているのは、脳内の「報酬系」と呼ばれるエリアであることがわかっています。たとえば、ベンツ、ポルシェ、フェラーリといった富や社会的地位を象徴するような製品を目にすると、この「報酬系」が刺激されて、快楽物質ドーパミンがどんどん分泌されます。そして、「これ、欲しい!」という購買意欲が生まれます。私たちがショッピングしている際、こういうプロセスが脳内で繰り広げられているわけです。

他にも、ある女性にヴィトン、エルメス、グッチ、ディオールなどなど、さまざまなハイブランドの広告を見せながら、fMRIで脳を調べるという研究も。それによると、被験者の女性が「どれにしようかな?」と迷っている時点で、脳はすでに「断然ヴィトンがいい!」という判断を下していたそう。つまり、ヴィトンの広告を見た時に「報酬系」が一番強く反応していたのです。しかも、その脳の反応に女性は「やっぱりね、私は昔からヴィトンが好きだから」と感想をもらしたと言います。

悩んだ末に買ったつもりでも…

さらに、複数の選択肢に「もともと好きなもの」が混ざっていた場合、脳内では「比較・分析」のプロセスは省略されて、瞬時に「これが好き!」という反応が示されます。自分では悩んだ末に決めたつもりでいても、脳は最初からあなたが選ぶものを知っていたということ。これは考えてみれば、ちょっと怖いですね。

ゴードン・ライトフットの名曲“If you could read my mind”の歌詞にあるように、誰でも一度は相手の心の奥底まで読めたら……と考えたことがあるでしょう。それが実際にできるようになるのは、(幸いにも)私たち一般人のレベルではまだまだ先のことになりそうですが、マーケティングの世界ではすでに現実のものになりつつあります。

「あなたが私の心を読めるとしたら、私の心はどんな物語を語るのかしら……」

次にショッピングに出かける前には、ふとそんな言葉が胸をよぎりそうです。

(編集部)
写真:andersphoto