40歳の時、おひとり様で都内に「7坪ハウス」を建てた雑貨店オーナーの塚本佳子(つかもと・よしこ)さん。バリキャリ編集者だった30代には、家具、インテリア、服、旅行、習い事……とあらゆる“消費”に手を出したそう。そんな塚本さんと編集部が「オンナの30代」と「消費」の幸せなバランスについて語り合います。

「これは絶対一生モノ!」と思って買うけど…

――塚本さんの家って、北欧テイストの物や日本の作家さんの物なんかが自然に溶け合っていて、いい感じの統一感がありますよね。

塚本:そうですか!? そう言われるのすごく嬉しいです。だんだん自分の“好きなもの”がわかってきたのかなー。

――アジアンテイストの置き物やちょっとポップなポスターが飾ってあったり、一つひとつを見るとテイストの違う物が結構あるのに違和感がない。

塚本:そのへんは、過去のインテリア遍歴の名残ですね。

――おっ、インテリア遍歴、聞きたいですね〜。

塚本:まあ、ひどいものでしたよ。イギリスアンティーク、アジアン、和、ナチュラル、アメリカンポップ、北欧……。

――かなり網羅してますね(笑)。

塚本:そうなんです……。雑誌を見てマネしてばかりだったから。「私が求めていたのはこれだ!」と思うと家具を総取っ替えしちゃう。

――えっ、家具をですか? お金かかりそう。

塚本:20代中頃から30代中頃までの10年間は、2〜3年周期でインテリア放浪と消費の繰り返しでした。ヨーロッパテイストで椅子の生活をしていたけど、和テイストになれば床座りになりますからね。テーブルの高さからして変わってくる。

――それで総取っ替えされてしまった家具たちは?

塚本:たいていは友人や家族にあげていましたが、なかには捨ててしまった物もあります。とにかく“熱しやすく冷めやすい”性格で、急激にのめり込んではすぐに飽きてしまう。

――すさまじい消費生活。ということは、物を購入する時はいずれ手放す前提なんですか?

塚本:いえいえ、それがまた不思議で、いつも「これは絶対一生モノ!」と思って買うんですよ。

――(笑)何度も繰り返しているのに、それでも毎回最初は“一生モノ”だと。

塚本:うん(笑)。学習能力が備わっていないんでしょうね。いつまでたっても自分の性格を自覚できない。「今回はいつもと違う」って毎回思うんですよ。まあ、購入するための言い訳にしていただけかもしれないけど。

――そんな変遷を経て、現在は北欧に辿り着いたと。

塚本:北欧はかれこれ10年くらいになりますね。私にしては珍しく長続きしているマイブーム。

――北欧のものたちは“一生モノ”になりそうな感じですか?

塚本:正直、今は“一生モノ”って何なのかわからなくなっていますね。“一生モノ”ありきではなく、結果論として“一生モノ”になっていく気もするし。

それでも、“一生モノ”には憧れます。私の中にずっと「一生モノ=オシャレ」的な法則があるんですよね。実際に雑誌に登場するオシャレさんの多くが「一生モノだと思えたら購入する」みたいなことを口にしますよね。私も含めて、“一生モノ”を手にしたいと思っている女性はたくさんいるんじゃないかな。

いい物=高い物=一生モノ?

――わかります。私も気に入って購入した家具や食器を見ているとなんだか落ち着くし、一生それらに囲まれて過ごしたいと思いますもん。

塚本:すでに“一生モノ”を持っているんですか! いいなー。私は今のところ、家も含めて“一生モノ”と思えるものがない……。

-えー! 家もですか?

塚本:最初の頃は安易に、“いい物=高い物”を買えば“一生モノ”になると思っていました。でも、しばらくするとやっぱり飽きてしまう。「これだ!」と思った気持ちが、ことごとく覆されてきたにもかかわらず、「これは一生モノ。絶対に使い続けてやる!」と懲りずに消費を繰り返す。もしかしたら、そう自分に思い込ませようとしていただけなのかも(笑)。

――「高い物を買うんだから元を取らなきゃ」みたいな感じですか?

塚本:う〜ん、そういう気持ちはあまりないかな。「オシャレさんはみんな“一生モノ”を持っていて、丁寧で豊かな暮らしをしている。“一生モノ”を持てる人になれば、自分もそんな暮らしができるかも」そんな感じですね。

――物を得ることが目的ではない、ということ?

塚本:もちろん、物を得ることで満足していた部分もあったけど、それ以上に「ちゃんと自分の好きなものがわかっている私」という自己満足が大きいかな。“一生モノ”を手に入れることは、憧れのライフスタイルを得るための手段って感じ。本来、“一生モノ”って明確な好みがなければ成立しないものですからね。

――“一生モノ”に囲まれて満たされた生活をしている“私”になりたい、ってことなのかなー。

塚本:そうそう(笑)。本当にそういう自分になれればいいんだけど、なかなか辿り着けませんでしたね。たちが悪いことに、瞬間瞬間では「これだ!」と思う物に出会ってしまって、にわか“一生モノ”がどんどん増えては消えていく。

「自分にぴったり合う暮らし」が欲しい

塚本:インテリアを総取っ替えしたり、“一生モノ”に憧れていた時代は、すべてがしっくりいっていなかった気がします。瞬間的には好きな物に囲まれている感覚はあるんだけど、すぐに「やっぱり違う……」となってしまう。家具以外の細かい部分、例えば食器だったりティッシュボックスなんかはバラバラで、100圴の物もざらにあったし。

――えー、100均の物で溢れ返っていた時代もあるんですか?

塚本:ありましたよ。特に食器は100均の物が多くて、デザインもテイストもバラバラ。食器棚を開けるのがイヤだったけど、料理もしなかったから見ないふりをしていました。

――わかります。イヤな物が目に入るとテンション下がりますよね。

塚本:結局、ちゃんとした食器を揃えようと思ったのがきっかけで北欧デザイン(HÖGANÄS KERAMIK)と出会い、北欧ブームがやってきたんですけど、それから少しずついろんなことが変化した気がします。

――どんな変化ですか?

塚本:ティッシュボックスとかゴミ箱とか、「好きなもの」というよりも「これは好きじゃない」というイヤな物が明確に見えるようになったかな。それらを一つずつ気に入った物に買い替えていったり、ちゃんと料理をするようになったり。人の目ではなく、自分のフィルターで物を選べるようになったというか、憧れていた暮らしと自分に見合う暮らしの違いがわかってきたというか。そのせいか、今は好きなものに囲まれている実感があります。

――なるほど。自分に合ったライフスタイルに近づいてきたと。やっぱり、北欧の物は“一生モノ”になっていくんじゃないですか。

塚本:どうなんでしょうね。でもね、以前のようにばっさり総取っ替えということはないと思う。

――それは大きな変化ですね。これまでの蓄積の上に、新たなものを積み上げていくということですよね。

塚本:最近、また「和のもの」に惹かれ始めているんですけど、いい感じに北欧と和が融合しているなーと。

――全体的に塚本ワールドがありますよ。ちゃんと収まっている。好きなものを集めていたら、結果的に統一感があるということは、“好きなもの”が明確になっている証拠じゃないかな。

塚本:まだ、“一生モノ”と確信は持てないけど、そういう意味ではいろんな物が“一生モノ”に近づいているのかもしれませんね。

【お茶会のメニュー】
〈器〉
スクエアの取り皿(長浜由起子さん/3240円)
クレープのお皿(HÖGANÄS KERAMIK)
木のフォーク(432円)
トッピングのトレー(北欧の蚤の市)
ホイップクリームのガラス器(La Rochere/864円)
コーヒーの湯のみ(中西申幸さん)
一輪挿し(はしもとさちえさん/2700円)

*金額掲載の器は「Fika」にて取扱中。

〈お菓子とお茶〉
・クレープとトッピング
・コーヒー

☆クレープの作り方

[材料]直径16cmのクレープ約20枚分
ホットケーキミックス……200g(1袋)/牛乳……300〜350cc/卵……1個

-トッピングー
桃入りホイップクリーム……生クリーム/砂糖/桃の缶詰
豆乳カスタード……豆乳200cc/大豆粉25g/片栗粉5g/砂糖20g
ジャム入りクリームチーズ……クリームチーズ/ジャム(今回はラズベリー)

[1]クレープの材料をすべてボウルに入れ、泡立て器でよく混ぜる。
[2]フライパンを熱したら、濡れふきんの上に置き、[1]を薄く流し入れる。
[3]再び火にかけて、表面がブツブツしてきたら引っくり返す。
[4]生クリームに砂糖を加え泡立て器でホイップしたら、さいの目にカットした桃を加える。
[5]大豆粉、片栗粉、砂糖を鍋に入れ、ダマにならないように少しずつ豆乳を加えて溶かしたら、好みの硬さになるまで火にかける。
[6]クリームチーズにジャムを混ぜる。

「北欧雑貨と日本の器 Fika」
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