FW久保ら逸材たちが切磋琢磨して成長遂げたU-16日本代表、世界切符獲得、アジア制覇に挑戦

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 9月15日、U-17W杯インド2017への出場権を懸けたAFC U-16選手権インド2016が開幕する。大会には1次予選を勝ち抜いてきた16チームが参加。4チームずつの4グループに分かれてリーグ戦を行うグループステージの各グループ上位2チームが準々決勝へ進出し、その勝者が世界切符を獲得する(U-17W杯開催国のインドが準決勝進出を果たした場合は準々決勝敗者によって5位決定トーナメントを実施)。世界を懸けて戦う日本の全試合をCSテレ朝チャンネル2が生中継する。

U-16日本代表は2大会ぶりとなるU-17W杯出場にチャレンジ。ベトナム、キルギス、オーストラリアと同居したグループステージと世界切符の懸かった準々決勝突破、そしてDF菅原由勢(名古屋U18)が「最終予選を突破して出場権を獲得するだけではなくて、U-23代表の方も達成したように優勝を達成したい」と語るように、アジア制覇を目指す。この世代の選手たちも、20年の東京五輪のピッチに立ち、活躍することが期待される。アジアを突破して来年、世界でより強いチームたちと戦って経験を積むこと。彼ら自身、また今回選出されていない同世代のタレントたちの将来のためにも、絶対に負けられない戦いだ。

 今回のU-16日本代表は逸材たちが切磋琢磨しながら、成長してきた世代だ。21人が高校1年生。これに高校2年生の早生まれであるFW山田寛人(C大阪U-18)と、バルセロナ育成組織出身の注目中学生、FW久保建英(FC東京U-18)を加えた23人で構成されている。森山佳郎監督は代表チームが本格始動した昨春以降、基本的に所属チームで試合に出ていない選手は招集しないことを明言。その中で各選手たちは高校1年生になった今年も下級生であることを言い訳にせず、ライバルたちの活躍に刺激を受けながら所属チームで試合に出ること、活躍することを目指してきた。その結果、森山監督が「ここ数年では一番、(各チームで)1年生が出ている代と思う」というほど、1年生たちは成長を遂げた。

 U-16日本代表の距離感近いパスワーク、チーム全体のハードワークも注目だが、競争の中で磨かれてきた個々にも注目してほしい。U-16日本代表の主将を務めるMF福岡慎平(京都U-18)や、中盤、CB、SBでも存在感放つ万能型DF菅原、高精度のキック操るCB瀬古歩夢(C大阪U-18)、カバーリング能力高い左利きのCB小林友希(神戸U-18)らは開幕当初から高校年代最高峰のリーグ戦である高円宮杯プレミアリーグで主力級のプレーを見せてきた。そしてMF平川怜はその攻撃力と、成長を遂げたボール奪取の部分などによってFC東京U-18の先発の一人として日本クラブユース選手権(U-18)大会優勝に貢献。世間の注目は久保に集まりがちだが、森山監督がFW中村敬斗(三菱養和SCユース)ら他のFW陣含めて「(久保と)同じように他の選手にも期待してほしい」と語るのも納得の陣容となっている。

 森山監督が「“サッカー小僧”。日本の選手が失いかけているボールを要求しまくってゴールに向かってという。(現代は小学生もパスで綺麗に崩す選択をすることが増えているが)まず、ゴールに向かおうよというところを思わせてくれる選手」という久保の右サイドからの突破、左足FK、そしてゴールへ向かう姿勢は特に必見だ。中学生ながら、高校3年生メーンの大会である日本クラブユース選手権(U-18)大会で得点王を獲得するなど、知名度はナンバー1。その久保も、競い合うことのできる逸材たちがいることで、また成長することができた。一方で他の選手たちが年下の久保に負けたくないという思いを持っているのも事実。中村は「みんな(代表のチームメートに)ライバル意識を持っていて、(その中で)アジア予選へ向けて力合わせていこうとなっている」。かつての79年生まれ組の“黄金世代”(小野伸二、稲本潤一ら)や92年生まれ組の“プラチナ世代”(宇佐美貴史、柴崎岳ら)のような同世代のライバル意識、競争が相乗効果を生み出している。

 

 期待値高い世代だが、世界でトップを争うチームになるためにはまだ課題もある。6月に鳥取で開催されたインターナショナルドリームカップではハンガリーとメキシコに快勝した一方で、15年U-17W杯準優勝のマリに1-2で敗戦。結果は1点差だったが、球際の攻防の部分で差をつけられ、加えてマリのコムラ監督からはハートの部分も指摘された。世界トップクラスから学んだ課題。平川が「これが世界なんだなと改めて思って、チーム帰ってもこの基準でやらないといけないと思いました」と語り、久保は「最後シュートまでもっていかせてもらえなかったので、もっとドリブル速くしたり修正しなければいけないなと思いました。(U-17W杯まで)幸い1年くらいあるので、個人としても、チームとしてもできるだけ改善して世界相手に戦えるようになりたいです」と誓っていたが、苦い経験から学び、日常から改善してきたことを今回のアジア予選で示す。世界で勝つために、予選を突破し、アジアの頂点に立つこと。そして、また成長を遂げて来年、世界でトップクラスとの差をさらに詰めていることを証明する。

(取材・文 吉田太郎)