【注意】エンジンがかかっていても渋滞中にバッテリーが上がることがある

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さっきまでエンジンがかかっていたのにセルが回らない!

8月下旬、Aさんは、家族旅行に出発。その日は平日であったが、台風9号が去って久しぶりの快晴ということもあり、行楽地へ向かう道はどこも大渋滞。首都高に平均時速20km以下で1時間以上閉じ込められたあと、PAにトイレ休憩に入り、5分後クルマに戻ってくるとスターターがウンともスンとも言ってくれない! 完全なバッテリー上がりだ。Aさんは、「ついさっきまでエンジンがまわっていたのに、こんなことってあるの?」と途方に暮れた。

これは真夏のミステリーではなく十分あり得ること。クルマは、エンジンでオルタネーター(発電機)を回し、各電装部品に電気を供給するとともにバッテリーに充電しているわけだが、その発電量を消費電力が上まわると、たとえエンジンがかかっていたとしても、バッテリーが上がってしまうことは考えられる。

クルマの平均的な発電量は

・軽自動車:35〜60A/時間

・小型〜中型乗用車:40〜60A時間

・大型乗用車やワンボックス:60〜80A/時間

それに対し、電気消費量の多い電装品の消費電力は以下のとおり。

・エアコン(風力最大):17.3A

・リヤデフォッガー:12.4A

・ヘッドライト(Hi):10.2A

・ブレーキランプ:7.0A

・ワイパー(Hi):5.0A

・オーディオ(ラジオ最大音量):4.2A

・ナビ&TV:0.5A

(いずれもJAFのデータより)

そのほか、ECUも燃料ポンプ、電動ファン、インジェクター、点火プラグも、みんな電気で動いている。

これらのなかで消費電力が多いのは、なんといってもエアコン。エアコン本体=コンプレッサーは、Vベルトを使ってエンジン本体の力で回しているので電力は必要ないが、冷気を送るファンが電気をたくさん使う。

炎天下の渋滞なら、当然エアコンはMAX。風力最大だと17.3A、加えてブレーキランプを踏んでいれば、それだけで24.3A。普通車でもこれだけで全発電量の半分近くを消費してしまう。

しかも、オルタネーターの発電量はエンジンの回転数に比例するので(過不足ないようにICレギュレータで調整)、アイドリング時は上記の発電量が得られない……。(2000回転でも回っていれば、発電量は十分)

バッテリーが元気な状態なら2時間程度の渋滞は問題ない

というわけで、夏場の渋滞で、エアコン、ライト、ワイパー、オーディオ、ブレーキランプを同時に使い、アイドリングが長時間続けば、最悪、エンジンがかかっているのに、バッテリーが上がり、その場で動けなくなってしまう可能性もある!

もっとも、バッテリーが弱っていなければ、2時間ぐらいの渋滞なら電力不足で止まる心配はないので、行楽シーズン前には、一度バッテリーの点検を。ちなみにAさんの場合は、バッテリーの劣化が原因ではなく、オルタネーターの経年劣化で発電容量が半減してしまったのが、バッテリー上がりの原因だった。

オルタネーターは耐久性のある部品なので、10年ぐらいは問題ないが、それ以上使っている人は、バッテリーを交換する際にでも、発電量をチェックしてもらうことをおすすめする。

オルタネーターのトラブルで多いのは、ICレギュレータ、ダイオード、ベアリングの順。ブラシの摩耗は思ったほどは進まない。AさんもICレギュレータが劣化して、通常走行時はともかく、アイドリング付近の発電量が激減していたとのこと。ICレギュレータがトラブルと、チャージランプが点灯しないこともあるので、古いクルマで、バッテリーの寿命が短いと感じる人は、オルタネーターを疑ってみるといいだろう。

オルタネーターが劣化した場合、リビルド品が保証付きで安価に出回っていているので、これを利用するのがベスト。中古品は安心できないし、現品をO/Hするより手っ取り早い。

(文:藤田竜太)