【試乗】国産コンパクトを脅かすルノー・トゥインゴの実力!

写真拡大 (全28枚)

完成の域に達しているゲトラグ製6速EDCのスムースな走り

RRレイアウトというのは希有な存在だ。もっとも有名なのがポルシェ911シリーズ。自動車の歴史に詳しいクルマ好きならかなりの数を挙げられるかもしれないが、少なくとも現行車では他のレイアウトに比べてとても少ない。


新型トゥインゴはRRレイアウトを採用することで、登場前から日本でも話題となっていた。実際RRレイアウトのクルマに乗った記憶は、この10年をさかのぼってみても、ポルシェ911、三菱i、スマートぐらいだろうか。実際ルノーとしても約40年ぶりの量産RRモデルだという。


東京都内の試乗会場で出迎えてくれたトゥインゴは期待に違わぬ出で立ちだ。リヤからみれば、ルノー5(サンク)ターボを思い起こさせるフェンダーの張り出し、リヤコンビランプ部などがファンを唸らせるのだろう。


早速乗り込みキーをひねってエンジン始動。0.9リッター直列3気筒エンジンは、心配していた3気筒特有の振動をさほど車内に伝えることなくアイドリングする。発進は至極スムースだ。ゲトラグ製のツインクラッチ2ペダルシステムの6速EDCは、先日登場したカングーゼンEDCにも採用されるなどもはやルノー車でお馴染み、完成の領域に達している。


走り出してもエンジンの振動は気にならず、さらに静粛性には驚かされた。とても同一ボックス内にエンジンを積んでいるとは思えない。首都高速に入りペースを上げ、エンジンを回しても心地よいレベルのエンジン音に留まっている。真夏日となった試乗会当日、もっとも気になる音は全開のエアコンの風だった。

大人の男性2名乗車でも十分な加速を示した0.9リッターターボ

さまざまなメーカーで経験済みのダウンサイジングターボゆえ、その実力はわかっているつもりだ。しかしトゥインゴは0.9リッター。4ドアの4人乗りコンパクトに0.9リッターはいささか不安であった。だが大人の男性2人乗りプラス30kgを超えるカメラ機材を載せて走ってもまったく不足なし!

ゼロ発進加速、60km/h以降の中間加速とも小気味よく、アクセルに対してグイッと背中を押してくれるような感覚がある。少なくとも100km/hまでしか使わない日本の道路事情であれば、ストレスを感じるようなシーンはないだろう。

そしてRRのメリットはブレーキングとコーナリングで発揮された。コンパクトモデルの主流であるFF車の場合、どうしてもハードな減速時につんのめるような感覚がある。だがトゥインゴは車体全体が沈み込むように減速するため、コーナーに向かい思い切ってステアリングを切り込むことができる。

これをもたらすトゥインゴの前45%:後55%という重量バランスは、多くのひとが不安感から苦手とする下りのコーナーでも安心感となって現れる。今回は走行できていないが、ワインディングの下りをついつい勢いよく走りたくなるであろうことは想像に難くない。

足まわりは独特の感覚だ。首都高速は道路の継ぎ目が多く、路面の舗装自体もかなり荒れている。私自身いつも走り慣れているので、おおよその入力は想像つくのだが、トゥインゴは小さな入力に対し、フワッと吸収する。

こういった足はコンフォート性と引き替えにやや操縦安定性に難ありのことが多い。しかしコーナリング中の継ぎ目乗り越えでその心配は消えた。4輪不均等に大きめ入力が入ってもギュッと収束し、フワフワな乗り味のクルマに多いバウンシングで車体が不安定になることがないのだ。スポーティではないがシッカリ感の高いこの足まわり、なかなかクセになる乗り味だ。


そしてトゥインゴを街中へ。東京都内のゴチャついた道路で真価を発揮したのが、切れ角45°という小回り性能だ。渋滞中、不意に前を走るクルマが停車かとおもったらそのまま路上駐車するシーンに出くわした。

車両が接近していたので、止まった状態でステアリングを右に切って右車線へ出るのだが、前のクルマをさほど気にせず余裕で切り抜けられた。小回り性能と共にフロントの視界のよさ、車両サイズの掴みやすさもこれを後押ししている。

使い勝手や燃費も納得のデキで国産コンパクトと勝負

最後はフランスの「パリ」を強く意識しているトゥインゴだけに、石畳路に近い環境を走行したいと考え、東京駅付近へ移動。短い距離だが試すことができた。足まわりの吸収のよさは先ほど述べたとおりだが、ガタガタと揺すられるなかで、各部の剛性が確認できた。それにしても美しい街並みにトゥインゴはよく映える!

こうした走りのよさに加えて、通常188ℓ、5:5分割可倒式のリヤシートを倒すと980ℓにまで拡大し、さらに助手席を倒せばサーフボードなど、2310mmの長尺モノまで収納できるラゲッジ。

先代トゥインゴよりも全長が80mm短くなったにもかかわらず230mm拡大した室内長など、日本で重視される使い勝手も納得のいく仕上がりになっている。


さらに、バックソナー、ヒルスタートアシストなどが標準装備されているため、男性はもちろん女性も選びやすいハズだ。

もうひとつ、燃費の計測はできなかったが、ECOモードやアイドリングストップシステムの「ストップ&スタート機能」を装備し、JC08モード燃費は21.7km/ℓに達するという。ルノー側のスタッフが走行した話を聞くと、高速中心の走行で18km/ℓを超えたとのことだ。

これで価格が200万円を切ってきたのだから注目の車種であることは間違いない。国産勢が圧倒的に強いコンパクト試乗に、思わぬ刺客が登場した!

(文:WEBCARTOP編集部 石田貴臣/写真:小林 健)