「アスリート資金繰りカレンダー」で名を馳せた中西麻耶さんが、メダルは逃すも名場面では自己ベスト更新の巻。
見事な最後の一本!

リオパラリンピック、大きな注目を集める競技として挙げられるのが陸上・走り幅跳び。もちろん最大の注目は、男子のT44クラス(片足ヒザ下切断などの選手が出場するクラス)のマルクス・レームさん。レームさんの自己ベストは8メートル40センチ。これは日本記録8メートル25センチを上回るばかりか、リオ五輪金メダルの記録をも上回る数字。いろいろあってリオ五輪には出場が叶いませんでしたが、五輪でもメダル争いができた記録です。それがパラリンピックに出るのですから、五輪超えというサプライズも含め注目せざるを得ない。

そして、個人的にもうひとり。女子のT44クラスに出場する中西麻耶さん。北京・ロンドンにも出場したパラリンピアンですが、それ以上に記憶に残るのがロンドン大会当時に「参加費用を工面する」ために刊行したセミヌードカレンダー。9000部を瞬く間に売り切った注目の逸品、その1つは現在も我が家に存在します。あの選手が、再びパラリンピックに、しかもメダル候補として帰ってきた。

ロンドン大会では注目を集め過ぎたことで「悪意」も呼び寄せてしまったといいます。心ない言葉を浴びせられ、しかも結果もふるわず、のちにうつ病にもなったとのこと。傷ついた心ゆえか、ロンドン大会終了後には引退を表明し、時間を置いてまた復帰したりというような紆余曲折もありました。

しかし、今回は違う。

5メートル51センチという日本記録・アジア記録を今年樹立し、文字通りのメダル候補として臨むリオ大会。持てるチカラと集める注目とが調和し、ただただ「期待のアスリート」として大きく採り上げられました。生中継の競技を絞り込む中でのNHK地上波全国生中継は、話題性だけでは起こらなかった事態です。晴れ舞台です。

そこで、中西さんは見事に跳んだ。メダルは惜しくもならなかったけれど、最後の一本まで可能性を見せ、熱い勝負を演じた。結局、スポーツ選手というのは、最後は試合なのだと改めて思います。面白い発言や美貌も付け合わせとしては重要だけれど、メインたる試合で何を成すかが原点なのだと。いい試合、いい跳躍でした。過去のいっさいがっさいを上書きして、美しい跳躍をするアスリートとして自分を再定義するほどに。

↓リオの地にメダル候補として立つ中西さんは、完全に仕上がっていた!


ギンギラギンやんか!

「人生エンジョイ勢」のファッションや!


↓出発前よりだいぶギラギラを盛ってきてる印象!


茶の間:「軽量化とかいらないですかね!」
茶の間:「髪型による空気抵抗軽減とか!」
茶の間:「ていうか、跳ぶときピアスいらんでしょ!」

見られたほうが燃えるタイプなんですかね!

跳躍前に拍手要求するのも、ギンギラギンも!

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1本目、ライバルと目された有力選手は次々に大ジャンプを披露します。ロンドン銀・世界ランク1位、イギリスのリード選手はいきなり5メートル64センチの好記録。さらにロンドン銅・世界記録保持者のフランスのル・フュール選手も大ジャンプで、1本目から世界記録を更新する5メートル75センチ。

そんな中、中西さんもメダル争いをしっかりと演じるような大ジャンプを見せます。体力満タンで臨む大事な1本目、中西さんの身体は5メートル50センチを超えたあたり、日本記録更新が狙えそうな位置まで届きました。おそらく、距離自体はこの日に跳んだ6本の中で一番出ていたジャンプ。しかし、踏み切りがわずかに合わずファウル。惜しい!

リードとル・フュールがハイレベルな金争いを演じる中、喰らいついていきたい中西さんは2本目に5メートル38センチを跳び、一時3位に浮上。その後、オランダのファン・ハンスウィンクル選手に抜かれて4位に後退しますが、15センチほどの差で銅メダルを争う展開に。自己ベストを更新するジャンプができれば、十分に狙えるところです。

ただ、3本目に踏み切りで大きくオーバーしてファウルとすると、4本目は調整しすぎて遥か手前で踏み切ってしまう失敗跳躍に。5本目は別種目の表彰式に被ったことで、スタート位置で長く待つことになり、踏み切りも合わず、記録は低調なものに。跳ぶごとに低くなる記録を前に、「もうこのままかな…」という感じも漂ってきます。

↓その間にフランスのル・フュールは好記録を連発し、4本目には5メートル83センチの世界記録を樹立!

1本目世界記録!4本目世界記録!6本目でも世界記録タイ!

しかも記録の位置は、残った上半身が砂に落ちたところ!

跳び方と倒れ方を上手くすれば6メートルを軽く超えそう!

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そして最後の6本目。この6本目では、記録を伸ばせずにいた日本のもうひとりの代表・高桑選手も、この日ようやく見せたいいジャンプで5メートル付近まで記録を伸ばしてきます。そうだ、これだ、最後の一本の集中だ。何位になるかというのは相手のある「コントロールできない」ことだけれど、自分に勝つことはどんな順位からでもできる。五輪でもパラリンピックでも、究極の目標は「自己ベスト」にあるはず。自分に挑み、勝てるか。それを示す6本目にしてほしい。

↓そして中西さんは最後の跳躍で記録を伸ばす!踏み切りもピタリと合って5メートル42センチ!


最後伸ばしてきた!

「最後に伸ばした」という美しいフィニッシュ!

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いやー、惜しい。最後に伸ばした日本勢は4位・5位とし、メダルまであと一段、あと二段というところまで迫りました。中西さんはあと15センチまで迫っていた。落ちた場所の比較だけで言えば、最初の1本がほんの少し後ろから踏み切れていたら、きっと届いていた。もしメダルがあれば、ロンドンの痛みを補うくらい大きなリターンがあったかと思うと、それは本当に惜しい。

ただ、試合としては見守り甲斐のあるナイスゲームでした。世界記録が飛び出し、ほかの出場選手も次々に好記録を出す中で、日本の代表もチカラを発揮し、最後の1本までメダルを争った。義足だとか、五輪より記録は低いとかを抜きにして、条件を揃えた中で死力を尽くすという意味で、面白い戦いでした。地上波で流すにふさわしい一戦だったと思います。

その面白さ、カレンダーを超えてきた。

ああいう話題がハイライトでももちろんいいのですが、やはり試合で一番の名場面を記録するほうが本望でしょう。メダルには届かなかったけれど、名場面ランキングでは自己ベストに届いたように思います。試合を見るまで、どこかにしまったあのカレンダーを探していたのを、見終わったら探すのが面倒になってしまいましたから。僕の中でも何かが上書きされたからなんだろう…そう思って、キッパリと探すのを止めることにしました。着衣のままでも、陸上ウェアは十分にセクシーでしたしね!

今年これだけ伸びたなら、次は渡航費もないし、もう1回いけると思います!