ネタバレでも十分楽しめる
むしろ筋を知ってから見るべき

おくだ 私は「おくだ会」など、いくつかの歌舞伎トーク会、観劇会を主催していますが、初めて来た方には、「演目を見る前に、話の内容をそんなに説明してしまっていいんですか」と驚かれます。鑑賞の前に食事会などをする場合は、その場で、セリフも動きもそれにいたる背景も、説明しますから。もし私が歌舞伎ソムリエではなく、アガサ・クリスティのソムリエだったら、お客さんから総スカンです。

成毛 ネタバレされたミステリーほど読み進めるのが辛いものはありませんからね。でも歌舞伎はネタバレされていても、十分楽しめます。むしろ、物語の内容を知らないと、何を言っているのかも、話の流れもわからなくて、終わってから「何だったんだ」と思うかもしれない。

おくだ 歌舞伎に苦手意識を持っている人の多くは、中学校や高校の頃に授業の一環として“見させられた”けれど、さっぱり理解できなかったというトラウマを抱えています。熱心な先生が、事前に説明してくれていると、楽しんでもらえるはずなのですが。

成毛 だから、最初にどんな人と見に行くか、トラウマを乗り越えて歌舞伎見物を誰と再開するかは、案外、重要なんですよね。

おくだ 年齢も関係するかもしれません。私は、ある程度年齢を重ねてからの歌舞伎見物デビューは、悪いことではないと思っています。人生の経験値を積んで、歌舞伎に見合う大人になったからこそわかることが、いくつもありますから。

成毛 『菅原伝習手習鑑』の四段目切の『寺子屋』の有名なセリフ「せまじきものは宮仕え」のその意味は、中高生にはわからなくても、ビジネスパーソンには身に沁みるはずですしね。私はその思いで16年前にマイクロソフトを辞めました(笑)。

おくだ 『菅原伝習手習鑑』という物語は、全五段、いうなれば全五章立てになっています。四段目切とは、第四章の後半パートという意味です。

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