経営破綻した韓国の海運最大手・韓進海運。同社の貨物船が世界各地で立ち往生し、物流が滞って韓国経済にも影響が広まっている。この事態を韓国紙は「政府の事なかれ主義が混乱を増幅」などと批判している。資料写真。

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2016年9月9日、韓国海運最大手の韓進(ハンジン)海運の経営破綻が、韓国経済に暗い影を落としている。世界各地で同社の貨物船が立ち往生を余儀なくされ、物流が滞っているためだ。韓国紙は「予想されていたにもかかわらず、事なかれ主義が混乱に増幅させた」などと、批判の矛先を韓国政府に向けている。

韓進海運は1977年設立で、保有船腹量は世界第7位。大韓航空など陸海空の物流企業を傘下に持つ財閥韓進グループの一員だ。88年に韓国のフラッグキャリアーだった大韓海運公社を前身に持つ大韓商船と合併して現在の会社になった。グループの会長は趙亮鎬氏。大韓航空の「ナッツリターン事件」ですっかり有名になった趙顕娥・同航空前副社長の父親でもある。

08年9月のリーマン・ショックなど一連の世界的な金融危機の影響で海運業の不況が長期化する中、韓進海運の経営は急速に悪化。8月31日、ソウルの裁判所に法定管理(日本の会社更生法に相当)を申請した。債権団は1兆ウォン(約920億円)規模の経営改善案を要求してきたが、5千億ウォンを提示する同社側と折り合わず、前日に追加資金支援の拒否を決定していた。

法定管理の申請により、日本をはじめ、米国やシンガポール、インドなど主要国の港で費用の不払いを恐れ、韓進海運の船舶に対する入港や荷役の拒否が相次いだ。韓国メディアによると、同社船舶141隻のうち約半分近くに当たる68隻が23カ国44港湾で足止めされている。韓国から海外への輸出品が納期に間に合わないなどのケースも続出。韓国の生命線でもある輸出にも支障が出ている。

今回の事態を受け、趙亮鎬氏は韓進グループの経営に専念するためとして、2018年平昌冬季五輪組織委員会の会長を辞任。さらに当面の危機回避の一助として400億ウォン(約37億円)相当の私財を投じるという。

韓進海運の経営破綻について、韓国の最有力紙・朝鮮日報は「混乱を増幅させた韓国政府の事なかれ主義」との社説を掲載。「韓進海運が法定管理を申請する可能性は、流動性危機が始まった今年5月からすでに予想されていた。にもかかわらず、政府は大株主の韓進グループと韓国産業銀行(政府系金融機関)に責任を押し付け、全く備えておらず、先月31日になってようやく対策会議を開いた。3カ月も傍観していた政府の事なかれ主義が、韓進海運の経営破綻をどうすることもできない物流混乱に発展させたのだ」と批判した。

その上で「官僚集団の事なかれ主義は昨日今日に始まったことではないが、昨今の状況は非常に深刻だ」と指摘。「韓進海運の事態は政府や官僚たちに果たして問題解決能力があるのかという疑いを抱かせる」とも糾弾している。(編集/日向)