ディズニーファン編集部『東京ディズニーリゾート レストランガイドブック2016-2017(My Tokyo Disney Resort)』(講談社)

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 本日9日から早くも、東京ディズニーリゾート(TDR)で「ハロウィーン」イベントが始まった。ハロウィーンといえば、最近のディズニーがもっとも力を入れているイベントだが、今年は東京ディズニーシー開業15周年ということもあり、例年以上に盛大に行われるらしい。

 8日は御用マスコミを集めてプレビューが行われ、大々的なTDRの宣伝を繰り広げている。

 だが、その裏で、ゲスト(客)からのTDRの評判はこの夏、開業以来最悪と言ってもいいくらいに低下していたらしい。夏のディズニーはもともと、暑さ、人の多さ、サービスの悪さの三重苦で、ゲストの不満が高まるのだが、今年の評判の悪さにはもうひとつ大きな要因があった。

 あらゆるレストランで行列ができて、食事がまともにとれないランチ難民が続出したのだ。これまでもランチタイムの行列はあったが、今年の夏はランチタイムの後も延々行列が続いた。

 しかも、人気店の席がとれないというレベルではない。座席数が多く、ガイドブックなどで「ここなら大人数でもいっしょに座れる」と紹介されている店も、まったく座席が取れない。

 さらに、カウンターサービスのお店でも席がとれず床に座って食べるゲストが続出。軽食がとれるはずのワゴンサービスも長蛇の列だ。

「プライオリティ・シーティング(座席優先案内システム)の拡大で座席がとれなかったゲストが、プライオリティ・シーティングのいらないカウンターサービスのお店やワゴンサービスのお店に殺到しているのです」

 こう語るのは、TDRの労働環境の改善のために活動を続けている労働組合・オリエンタルランドユニオンだ。プライオリティ・シーティングとは「ファストパスのレストラン版」。あらかじめ時間を指定し、レストランを予約しておいて、その時間に来店したら席が空き次第、優先的に案内してもらえるのだが、混雑する日は予約もとりづらいというのが実情だ。

「さらに、問題なのは、カウンターサービスのお店やワゴンサービスのお店のレジやワゴンもキャスト(従業員)の不足からフル稼働ができないのです。食事済のテーブルも片付けられませんし、ますます悪循環になります。これまでは春と秋と期間を区切って募集していたTDRのキャスト募集も人材難から常に募集しています。それでも待遇がブラック視され、ベテランは次々に辞めますし、新しいアルバイトも集まらないのです」(オリエンタルランドユニオン)

 ブラック視される理由は、TDRを運営するオリエンタルランドは日本一のおもてなしをキャストに要望しながら、それに見合う時給をまったく払っていないからだ。

「キャストは5段階になっていますが、飲食の場合では、新人で入ってきてしばらくは900円。多くは2カ月後、1000円にアップします。その後、時給が上昇するのは1020円。たいていのキャストはこの1020円で頭打ちです。何年働いても1020円なのです。この点について私たちが要望したこともあって、この春に新従業員制度が導入されましたが、それでも、10〜20円アップされるだけなのです」(同前)

 過去最高益のはずのTDRのキャストへの時給が、1020〜1040円とは......。しかも、ベテランほど1〜2人で接客するワゴンサービスに回される。そこでは夏の直射日光の下、長蛇の列にイライラ度が最高潮のゲストの接客を延々と続けなくてはならないのだ。トイレも行けないどころか、体調も崩しかねない。

「しかし、休むと一緒に働くキャストにも迷惑かかるので、休みにくい。さらに体調を崩しても『体調管理もあなたの仕事』と他のキャストからは冷たい言葉が投げかけられるだけなのです」(同前)

 これで時給が1020円ではベテランから辞めてしまう。新しく配置される新人スタッフは不慣れでミス連発。さらに行列のイライラが高まるというわけだ。

 これから、キャストにとっては地獄のようにハードなハロウィーンイベントに突入すれば、この悪循環はますますエスカレートしていくだろう。

 オリエンタルランドユニオンは「新従業員制度では半年に一度、時給が見直されることになっています。この10月がその時期に当たるので、このときにキャストの時給がアップされれば......」と期待するが、現実はそう甘くはなさそうだ。

 一部の情報では、TDR側はこの期におよんでもなお、キャストの給与を抑え込むことしか考えておらず、時給アップ対象はごく一部、しかも時給にして10円から20円にとどまるのではないかと言われているのだ。

 オリエンタルランドの2016年3月期連結純利益は、前期比3%増の740億円で、5期連続で最高益を記録している。だが、これは入園料の値上げや軽食を500円台から700円台に値上げするなど客単価を上昇させたからで、入園者数は4期ぶりに減少した。

 そして、ブラック体質に嫌気がさして辞めるキャストの続出。沈む船からはまずネズミが逃げ出すというが、TDRの場合は逆に、気が付いたら残っているのはネズミだけ、なんていうことになるかもしれない。
(小石川シンイチ)