表舞台から久しく遠ざかっていた、北京遠華集団前総裁の任志強氏(ネット写真)

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 表舞台から久しく遠ざかっていた「任大砲」というあだ名を持つ、北京遠華集団の前総裁、任志強氏がこのほど「不動産価格の7割は政府が奪っている」と発言し、再び「大砲が火を吹いた」。同氏は、中国国内主要都市の地価がここ数年で急騰している原因は、政府の税収方法にあると辛らつに批判している。

 9月2日、ネットユーザーから「任大砲」の異名を取る任志強氏の今回の公の発言は、大陸新浪、騰訊(テンセント)といったSNSを通じて大陸中に広まった。同氏は、中国の不動産市場における今年上半期の中間決算と、下半期の同市場の動きについて分析している。

 同氏は、国内不動産市場は依然として国民経済の主軸産業としての役割を果たしているため、GDPが下降した場合には、不動産市場に経済成長を牽引させる必要性がますます高まるとしている。不動産市場は現在の中国経済を安定的に成長させる重要な働きを担っており、前年よりも高いレベルを維持している。今年度の不動産市場の成長率は高くはないにしても、(経済全体で)大きな比重を占めていることに変わりはない。不動産市場(の成長)がなければ、金融業界など他の業界の経済成長も萎縮に転じることになる。住まい、家電、リフォームの三大業界は不動産市場と密接な関係にあり、不動産市場が縮小しただけで、これらの業界は損失を被るという。

 同氏はまた、土地の売買に対する地方財政の依存度が非常に高いことを挙げ、不動産売買に関連する各省の税収は、地方財政の8割以上にも上っているとして、不動産価格の7割は、政府に奪われていると辛らつに批判している。

 また中国の住宅市場の下半期の動向に話が及ぶと、任氏は「今年の不動産市場全体で見れば成長を続けており、こうした状況は年末までは続くと思われる。全体的な不動産市場の状況は昨年を上回ると考えられる」と分析した。

 「紅二代」として、習近平国家主席の腹心、王岐山と密接な関係にあるとされる任志強氏は、中国の著名な不動産開発業者で、中国のSNS微博(ウェイボー)では3700万人以上のフォロワーを抱えている。率直な発言が一般市民の共感を呼び、ネットユーザーからは「任大砲」の「称号」を与えられている。

 今年2月19日、習主席が中国の3大中央メディアを視察した際、中央電視台(中央テレビ局)は大型スクリーンに「央視姓党、絶対忠誠、請您検閲(中央テレビの苗字は「党」です。絶対的な忠誠を誓う。どうぞご検閲を、の意味)」の文字を映し出して習主席を歓迎した。それに対し、任氏は「いつ党の政府に変わったの?(中央テレビの)資金は党が出しているの?・・・メディアが(党という)苗字を名乗り、大衆の利益の代弁者でないというのなら、大衆がうち捨てられ、忘れ去られてしまうではないか!」と自身の微博アカウントで批判した。

 共産党員である任氏のこの発言に対し、江沢民派の劉雲山に掌握されている中国共産党中央宣伝部は「文革式」批判を発動した。2月28日、中国共産党網絡信息弁公室(中国共産党インターネット情報弁公室)は、同氏が騰訊と新浪に持っているアカウントを閉鎖するよう命じ、同氏のネットでの発言を封じた。習陣営寄りの発言をすることが多い同氏が世論に与える影響を封じ込めようとしたためとみられている。

 いったんは公の場での発言を封じられた同氏が、今回こうした政権批判を再度行える立場に返り咲いたことは、習派と江派の力関係を考える上で非常に興味深い。

(翻訳編集・島津彰浩)