ありそうでなさそうな2016年広島・個人的MVP!?

写真拡大

 この記事が掲載される頃には広島の優勝が決まっているかもしれない。優勝が確定的ななか、MVPは誰なのか? そんな方向に目がいっているファンも多いはず。

 そこで、マニアックな広島ファン10数人に「今シーズンのMVP選手は?」と意見を募集したところ、マニアならではの独自な視点にもとづいた選考が多数あった。

 今回はそんなマニアが選ぶ2016年の“個人的MVP”をここに紹介したい。

※野球の見方が変わるスマホマガジンでニュースやコラムが読み放題!

■今年の快進撃はここから始まった

 現在、世間一般でMVPの候補に挙げられているのは、以下の選手たちだろう。

 ジョンソン、新井貴浩、菊池涼介、鈴木誠也。

 だが、マニアックな広島ファンがあげるMVPは一味違った。

 30代の男性がMVPに推すのは、中継ぎ、先発とフル回転したヘーゲンズだ。

「序盤の中継ぎの不調、後半の先発不足。いずれもヘーゲンズの活躍でしのいできた。ヘーゲンズがいなかったら優勝は絶対になかったと断言できる」

 その通り、今シーズンのヘーゲンズはチームの危機を幾度も救ってきた。

 開幕を2軍で迎えたヘーゲンズが1軍に上がってきたのは4月22日。中継ぎの不調で試合を落とすことが多かった序盤の広島。その穴にピンポイントではまったヘーゲンズは中継ぎとして活躍の場を得た。

 得意のカットボールでゴロを打たせる投球は、鉄壁の守備力を持つ広島でこそ輝きを増す。気がつけば勝利の方程式の一角を担い、初夏の快進撃を演出していた。

 その後、ローテーション投手が続けて離脱したことで、先発として白羽の矢が立ったヘーゲンズ。勝利の方程式を崩すのは勇気のいる決断だったが、その決断にヘーゲンズは見事に応え、先発で4戦3勝と見事な結果を残している(9月6日現在)。

 今シーズンの広島に起きた危機的状況を2度も救ったヘーゲンズこそ真のMVPなのでは!? 数字では見えない貢献度が、マニアックなファンの心をくすぐりMVP候補に推されたようだ。

■連勝のはじまり、優勝への激走

 次に名前が上がったのは守備、走塁のスペシャリスト・赤松真人だ。

「今年のターニングポイントとなる試合を決めたのは赤松だった。物議を呼んだあの“コリジョンサヨナラ”から、赤松の足同様にとてつもない早さでカープが上がっていった」

 そう語るのは40代の男性。6月14日の西武戦。赤松の放った1打は、今シーズンから導入されたコリジョンルールの影響で、判定が覆る幸運なサヨナラ勝ちを呼び込む。この試合を起点に始まった34年ぶりの11連勝で、広島は独走態勢を築いていった。

 このコリジョンサヨナラだけではなく、時として大きな仕事をやってのけるのが赤松の魅力。しかし、大仕事もさることながら、赤松の最大の魅力は脚力にある。

 今シーズン、飛躍的に得点が伸びた広島。その原動力のひとつには、これまた飛躍的に伸びた盗塁数がある。そして、その陰に赤松の存在があったのは、ファンのなかでは有名な話だ。

 赤松の盗塁技術、洞察力はチーム随一。その技術を惜しむことなくチームに浸透させたことこそ、盗塁数と得点数が増加した一因と見られている。

 当然ながら、自身が代走出場時、相手チームに与えるプレッシャーも驚異的だ。 現在、15得点はチーム10位。出場数85試合、0本塁打、21安打の選手がチーム上位の得点を挙げている事実こそ、赤松の走塁技術の高さを裏づけている。

 今シーズンの躍進の陰には赤松がいた!

■脇を固める選手の充実が強いチームの象徴

 この他にも、ベテラン捕手・石原慶幸や、今村猛らをMVPに推す声もあった。彼らのような脇を固める選手たちをMVPに推す声が挙がることが、今年の広島のよいチーム状況を象徴しているように思えてならない。

 いつでもヒーローが誕生し、脇を固める選手が仕事を全うした。その総合的な強さが、今期の広島の躍進に繋がったと言える。

 今回、名前の挙がった選手たちのMVP受賞は残念ながらないだろう。しかし、彼らの活躍なくして今シーズンの快進撃はなかった。その事実はファンの誰もが知っている。

文=井上智博(いのうえ・ともひろ)

【関連記事】