投票願いで嫌がらせ発生?

写真拡大

 参議院選や都知事選など、今年の夏は注目の選挙が相次いだが、団地の世話人の投票のお願いを無視したところ、嫌がらせを受けるようになった場合、どう対処すればよいか。弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 先の選挙で団地内の票を取りまとめていると豪語していた世話人のいうことをきかず、つい別の候補者に投票したとその人にいったところ、いじめが始まりました。回覧板は回ってこず、ゴミも収集所に取り残される始末。夜中に呼び鈴を押されたことも。このような嫌がらせは選挙違反にならないのですか。

【回答】
 票の取りまとめとは、特定の候補者への投票を呼び掛ける行動を指しているものと思います。

 公務員や教員が、その地位を利用しての推薦行為等の選挙運動は違法ですし、投票依頼目的の戸別訪問も禁じられています。こうした場合でなければ、個人が言論をもって特定の候補者への投票を依頼することは違法ではなく、世話人が投票を依頼したからといっても選挙違反にはなりません。

 ともあれ選挙後のいじめですが、嫌がらせや、いじめはどこの社会にもあって回避できない日常の摩擦である限り、多少のことは我慢せざるを得ません。

 とはいえ回覧板が来なかったり、ゴミの収集漏れがあると日常生活に困りますし、夜間の呼び鈴鳴らしは生活の平穏を乱します。これらのことが再三あれば、日常生活に支障をきたすので、現実的な被害が発生しているといえます。受忍限度を超え、社会通念上許されないことで不法行為になり、受けた精神的苦痛に対して慰謝料請求も可能です。

 しかしながら、世話人がこうした行為をしている証拠が必要です。回覧板は隣家が回すものですし、ゴミの収集は業者がすることです。世話人がこれらのことを直接しているとは思えません。また、夜間の呼び鈴は、それこそ現場を押さえないと犯人はわかりません。根拠なく相手を非難すると、侮辱だと逆に反論される危険性もあるので注意してください。

 もし、隣家も含め団地の住民が世話人と共同してあなたに嫌がらせをしているとすれば、住民全体による一種の村八分であり、あなたの人格権を不当に侵害する不法行為になると思います。その場合は、回覧板を回さない理由を隣家に尋ね、ゴミ収集の状態を観察し、記録に残すなどして、人権問題として法務局に相談するのも一つの方法です。

【弁護士プロフィール】
◆竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2016年9月16・23日号