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 ドイツの金庫の大手メーカー「バーグ・ベヒター(Burg Waechter KG)」社の家庭用金庫の今年上半期の売上は昨年同期に比べ25%伸びたそうだ。他の大手2社も二桁の成長をしているという。

 その理由は、ドイツ市民が銀行にお金を預ける代わりに家庭で金庫にお金を保管することを選択しているというのである。つまり、経営難にあるドイツの銀行の倒産を懸念して、銀行に預けているお金を引き出しているのである。しかも、ライファイゼン銀行のように、9月1日から10万ユーロ以上の預金者を対象にマイナス金利0.4%を適用するという銀行も現れたことから、市民は銀行にお金を預けることから、尚更、敬遠する傾向が強くなっているという。(参照:「RT」)

 ドイツでは、ドイツ銀行とコメルツ銀行の2大銀行を除くと、州立銀行とか協同組合的な貯蓄銀行といった中小規模の公的銀行が多い。これらの公的銀行は国際金融業界において厳しい競争の経験が薄く、収益率も悪い。しかも、ドイツ政府は健全財政を強調して来ているが、金融関係の負債は銀行にそのまま押し付けているというのが現状である。それが、また資金力のある2大銀行だけが巨大化する要因ともなった。しかし、問題はそのひとつであるドイツ銀行が破綻するかもしれない状況に陥ってるということである。

◆巨額負債を抱えるドイツ銀行

 世界的に景気低迷にある中で、ドイツ銀行は厳しい未来が待ち構えている。現在のドイツ銀行は75兆ドル(約7500兆円)相当の金融取引で派生したデリバティブ債を抱えているという。この総額はEU全体のGDPの5倍、ドイツGDPの20倍に相当する規模にまで巨大化している。仮にドイツ銀行が破綻したとしても、ドイツ政府がそれを補填することが出来ない額である。簡単に言えば、世界恐慌を引き起こすに十分なリスクを背負っているということである。この取引の中には、将来財政破綻しても不思議ではないギリシャへの債権や、同行の歳入の19%をEU離脱を決めた英国に依存しているという危険を伴っている。また、最近からまた騒がれているイタリアの銀行危機とも関係している。(参照:「El Blog Salmon」)

 ドイツ銀行は昨年67億ユーロ(7370億円)の赤字を計上している。更に、同銀行の株価は今年45%の下落、2008年から比較すると90%以上の評価損になっているという。同行の競争力が落ちているのである。米国で廃ガス不正問題を起こしたフォルクスワーゲン社のメインバンクもドイツ銀行で、不正問題に関係して伴う巨額の賠償金などにもドイツ銀行がその為の必要資金の工面をせねばならない。経営難である上に、この多額の資金の工面は同行への経営不安をより高めることになる。

 更に、問題として収益率の低下もある。そのひとつは欧州中央銀行の政策金利が0%になっているのも一般に銀行の収益率の悪化に繋がっている。2009年からヨーロッパの金融業界での利息による収益率は7%減少したという。(参照:「ABC」)

 これは、ヨーロッパの景気低迷で資金需要が減少して銀行からの融資を求めることが減少していることによる。特に、ドイツのように、財政緊縮政策を政府が実行して来た影響で、公共事業が減り、企業の方で請け負う仕事が減少して銀行に融資を求める必要がなくなったことによるものである。それが、連鎖反応して関連企業でも資金需要が必要でなくなっている。

◆欧州経済の「爆弾」

 8月31日付の『Expancion』紙によれば、ドイツ銀行は自行の危機脱出を求めて8月上旬にコメルツ銀行との合併の為の会合ももったという。しかし、コメルツ銀行は内部組織機能を改造中ということで、両行の合併の可能性はないと確かな情報筋が伝えたと報じている。