タイ戦で1ゴールを決めた浅野だが、トップの働きとしてはまだまだ物足りないと釜本氏は語る。(C) SOCCER DIGEST

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 アウェーでのタイ戦は2-0の勝利。まずは最終予選での初白星にホッとしたね。とにかく勝利がなによりの収穫だよ。
 
 もちろん、あのクラスの相手なら4、5点は取りたかったところだ。15分に先制したところまでは良かったけど、なにしろ追加点の時間が遅すぎた。どんな試合をしようが、点を入れないことには話にならないからね。
 
 そういう意味では、1トップに起用された浅野がゴールという結果を残したのは、ポジティブに捉えられるよ。ゴールシーンは彼のスピード、俊敏性という持ち味が発揮された良い形だったと思うよ。
 
 ただし、ゴールシーンは良かったものの、トップを張る選手としては、まだまだ勉強しなければいけないことが多いね。持ち前のスピードや得点感覚という面では確かに良いモノを持っている。でも、ゴールを奪うために何をすべきか、という点をさらに磨くべきだ。
 
 最前線でボールをきちっと受けて、味方が上がってくるところに正確にボールを落としてさらに次を狙っていく。こんなのは当たり前のことだと思われるかもしれないけど、結局こういうプレーを地味に愚直にやれるかどうかで、自分が得点する可能性も広がっていくんだ。
 
 周りを生かす、というよりも自分がボールをキープして、いったん預けて次に自分が生きるというイメージ。そういうことを、プレーが連続していくなかでやりきらなきゃいけないし、そのなかでの役割を自分のなかで整理していくべき。そこは経験していかないとね。
 
 浅野のほかにもウイングの原口やボランチの山口といった新たにスタメンで起用された若い選手は、各ポジションでよく機能していた。さらに途中からは武藤や宇佐美も出てきたけど、もうこの辺の23〜25歳くらいの世代を90分戦えるだけのレベルに持っていかないとダメだよ。ハリルホジッチ監督もそういう風に選手を生かさなければいけないし、選手たちもそれに応えていかなければいけない。
 
 一方で、これまで不動の存在だった香川や本田がタイ戦ではまったく振るわなかった。試合後、彼らに対しては批判も多いけど、結果を残せなければ周りの見る目が厳しくなって当然。今のままの状態なら、代われる選手はたくさんいるし、どんどん若い選手にチャンスを与えたほうがいい。
 
 UAE戦も含めて、この2試合ではシュートの精度不足やチャンスに決めきれない勝負弱さを露呈していた。クラブでも厳しい戦いを強いられているけど、せめて代表ではレベルの高いところでやっている意地を見せてほしいよね。
 
 まだ出場が決まったわけじゃないけど、2018年のロシア大会では、いったい誰が主役になるんだろうね。まだ、本田や香川に頼りっきりのチームなのか、それとも新たなチームの顔が誕生しているのか。
 
 前述したとおり、若い世代は監督の起用に“応えて”いかなければいけない。本田や香川の調子が少しでも悪かったら、彼らを追い越して自分がのし上がっていくんだ、という強い気持ちでやってほしい。
 
 それは、自分の経験からも言えることなんだ。いまや日本はワールドカップも五輪も出て当たり前のような状況になっているけど、その昔僕が現役だった頃、長きに渡って世界大会に出られず、国内のサッカー界が衰退してしまった時代があった。
 
 メキシコ五輪で銅メダルを獲得した後、クラマーが育てた選手たちが引退すると、その穴を埋める後釜の選手が育っていなかったんだ。それは、お金の問題とかもあって、満足に継続的な強化ができなかったからだ。宮本輝紀さんや八重樫茂生さんといった当時の大黒柱がいなくなると、弱体化は一気に進んだよね。