【ルノー トゥインゴ】フランスの小型車がポルシェ 911と同じ駆動方式を採用した理由

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9月15日から日本でも販売が始まるルノー「トゥインゴ」に乗って来ました。

トゥインゴはいうまでもなく、フランスの、そして欧州における、最もベーシックなアシグルマの1台。個性的で、チャーミングなコンパクトカーです。

新型トゥインゴのボディ形状は、これまでの3ドアハッチバックから、左右に2枚ずつのドアを持つ5ドアハッチになりました。日本仕様は右ハンドルで、エンジンは0.9リッター直3ターボ(90馬力/13.8kg-m)。トランスミッションはデュアルクラッチ式の6速ATです。価格は「トゥインゴ インテンス」が189万円、「同キャンバストップ」が199万円と、どちらも200万円を切っています!

ルノー トゥインゴ

ちなみに、日本発売を記念して用意された特別仕様車「トゥインゴ サンクS」(169万円)は、1リッター直3のNA(自然吸気)エンジンに、3ペダル式の5速MTを組み合わせたモデルでした。限定50台だった同車は、受注を開始するやいなや、アッという間に売り切れてしまったのだとか。ルノー・ジャポンは、コアでエンスージアスティックなクルマ好きのハートを、しっかりつかんでいますね!

サンクSに対するユーザーからの熱い反響に驚き、そして喜んだルノー・ジャポンは、遅ればせながら、2017年からトゥインゴの“NAエンジン+5MT”バージョンをカタログモデルとして用意。常時、買えるよう準備しています。メデタシ、メデタシ!?

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 ■小回りは軽自動車のスズキ「ワゴンR」よりも効く!

ご存知の方も多いかもしれませんが、新型トゥインゴは、スマート「フォーツー」「フォーフォー」とコンポーネンツを共有することになりました。生産地は、スロベニアのノヴォ・メスト工場。かつては「サンク」を作っていたこともある、ルノーとゆかりの深い工場です。

ルノー・ジャポンによると、スマートと共同開発するという決定は、新型トゥインゴのコンセプトが固まってからだったそうです。つまり、2車の開発の主導権は、「あくまでルノーが握っている」ということ。まあ、どちらのブランドにも事情があり、開発コストと販売価格を抑えたいという思惑から手を結んだわけですから、開発時の内実を掘り返しても、あまり意味がないのかもしれませんが…。

トゥインゴが3世代目になるに当たり、ルノーとしては、初代に負けないインパクトを市場に与えたかったといいます。そのために、ゼロからコンパクトカーを考え直し、初代、2世代目と続いたコンベンショナルなFF(エンジン前置き/前輪駆動)プラットフォームを捨て、ポルシェ「911」でお馴染みの、エンジンをリアの車軸の上に置いたRR(リアエンジン/リアドライブ)の駆動方式を採用しました。

その理由は、できるだけ小回りが利くクルマにしたかったから。何しろRRレイアウトなら、フロントにエンジンがありませんから、前輪をググッと大きくステアさせることができます。ステアリングの切れ角は49度。最小回転半径は4.3m! 車体がひと回り半ほど小さい軽自動車、スズキ「ワゴンR」のそれが4.4mですから、新トゥインゴの小回りぶりが想像できましょう。

ボディサイズは、全長3620×全幅1665×全高1545mm。フィアット「500」やフォルクスワーゲン「UP!」よりひとまわり近く大きい寸法です。とはいえ、先代トゥインゴよりは80mm短く、一方で、ホイールベースは125mmも長い2490mmになりました。かさ張るエンジンをリアに押し込み、人が乗るキャビンをできるだけ大きく取ったわけです。

ルノー トゥインゴ

といっても、ハイト系のワゴンを見慣れた日本のユーザーには、とりわけ「広い!」とは感じないかもしれません。リアシートは、足元の広さは十分ですが、頭上には(試乗車がキャンバストップ付きだったこともあり)余裕がありません。

ラゲッジスペースは、天井までの空間を含めて通常188リッター。大きな荷物を積む時には、必要に応じ、分割可倒式になっているリアシート背もたれを倒すことになりそうです。

ルノー トゥインゴ

それでも対応できない長尺物を積みたい時は、助手席の背もたれを前に倒すことで対応できます(RRレイアウトですが、フロント側にラゲッジスペースは用意されません)。

ルノー トゥインゴ

では、新しいトゥインゴに乗ってみましょう。新型のフロアは、衝突安全性を向上させるために二重になっており、初めて乗り込む際は「オッ!?」と思うほどフロアが高い。当然、着座位置も高めです。

ルノー トゥインゴ

慣れないうちは、運転していて多少の腰高感が否めませんが、最近の路上は背の高いSUV/クロスオーバー系のクルマがあふれているので、コンパクトカーを運転するドライバーの視点も、これくらいの高さがあった方がいいのでしょう。

0.9リッターターボのアウトプットは、1030kgの車重に対し、「必要十分」にして「ちょい足りない(!?)」といった感じです。

ルノー トゥインゴ

デュアルクラッチ式6ATを介して、スムーズにボディを加速させますが、いまひとつパンチが足りない。シフトレバーを使ってMT車のようにギヤを変えることもできますが、惜しむらくは、スマートのフォーツーやフォーフォーに装備されるパドルシフトが、フランスの従姉妹モデルには備わらないこと(今のところ)。「やっぱり、欧州のコンパクトカーは、マニュアルで運転しないと!」という、古臭いフレーズが頭に浮かびます。

ルノー トゥインゴ

といっても、そうした“物足りなさ”は、どんなクルマであってもスポーツカーのように運転しないではいられない、職業病から来る不満かもしれません。普通のユーザーなら、軽いステアリングをクルクルと回し、狭い路地も恐れずに進める便利さや、穏やかな走行性能を好ましく思うはずです。面白いのは、21世紀のコンパクトモデルとはいえ、やはりRR車らしいオシリの落ち着きがあること。良くも悪くも、FFハッチのヒラヒラとした軽快感とは、一線を画します。

小粋なスタイルと特徴あるドライブフィール。手頃な価格もあって、新型トゥインゴは「カングー」に続く(ややマニアックな)スマッシュヒットになるのではないでしょうか?

マニアックついでに、できることなら、NAエンジンだけでなく、ターボ車にも3ペダル式MTモデルをラインナップしていただきたいと思います。トゥインゴ全体のイメージブースターになるはずですし、個人的に、欲しいので…。

<SPECIFICATIONS>
☆インセンス キャンバストップ
ボディサイズ:L3620×W1650×H1545mm
車重:1030kg
駆動方式:RR
エンジン:897cc 直列3気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:6AT(ツインクラッチタイプ)
最高出力:90馬力/5500回転
最大トルク:13.8kg-m/2500回転
価格:199万円

(文&写真/ダン・アオキ)

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