「どれだけ眠っても疲れがとれない」「集中力が続かない」……。

そんなことを感じる人は脳が疲労している証拠。『世界のエリートがやっている 最高の休息法』(久賀谷亮著、ダイヤモンド社)によると、睡眠をとったり、ゆったりと過ごすなどしたりしても脳の疲れは回復することはないといいます。

脳は体重の2%ほどの大きさでありながら、身体が消費するエネルギーの20%をも消費しています。

しかも、脳の消費エネルギーの60〜80%はデフォルト・モード・ネットワークという、脳が意識的な活動をしてきないときにも動き続ける脳回路に使われているのです。

そのため、ただ何もせずぼんやりしていても脳はどんどん疲れていくそう。

そんな脳を休息させることができるのが「マインドフルネス」。これは、瞑想などを通じた脳の休息法の総称。Googleをはじめ、有名企業でも多く採用されているこの方法の効果は科学的な裏付けが進みつつあります。

今回は本書の中から、その一部をご紹介します。

■1:脳が疲れたら「現在」を意識する

注意散漫になったり、無気力になったりするのは脳が疲れているサイン。

このような状態のときは「こうすればよかった」や「こうなったらどうしよう」などと知らず知らずのうちに意識が過去や未来にばかり向かっています。

このように意識が「いまここ」にない状態が続くと、心はどんどん疲弊していくのです。

そんなときは、「マインドフルネス呼吸法」が有効。椅子に座って背筋を軽く伸ばし、お腹はゆったりとリラックスします。

次に自分の身体の感覚に意識を向けていきます。足の裏が床に触れている感覚や、手が太ももに触れている感覚を感じてみます。

そして、次は呼吸に意識を向けます。深呼吸ではなく自然な呼吸で、空気が鼻を通る感覚や胸が膨らむ感覚、吸う息と吐く息で温度が違うことなど細かく注意を向けていきます。

その間に、他の考えが浮かんでしまうこともありますが、それに気づいたらまた静かに呼吸に注意を戻せばOKです。

なぜこんなに呼吸を意識するかというと、「いまここ」に注意を向けるため。それにより脳を休息させることができるのです。

脳は習慣を好むため、これを1日5分でも毎日、同じ場所、同じ時間に行うことが大切です。

■2:マルチタスクが多いときは自分の動きに注意を向ける

何かをしながら、別のことをするようなマルチタスクの状態が続くと注意力や集中力が低下することがあります。莫大な仕事量を効率よくこなせる人ほど、実は集中力を1箇所に固定することができなくなっています。

そういう人には「歩行瞑想」がおすすめ。歩いているときに自分の手や足の動き、地面と接触する感覚などに注意を向けていくのです。

そして自分の動き一つ一つに「右」「左」や「上げる」「下げる」などラベルを貼るように意識するとさらに効果的です。

このように自分の動きに注意を向けて「いまここ」を意識する方法は、Googleの社員研修プログラムでも取り入れられているそうです。

歩行だけでなく、歯を磨くときや服を着るときなどにも応用することができます。毎日決めたタイミングで行いましょう。

■3:自分の心は「プラットホーム」だとイメージする

頭の中が様々な雑念でいっぱいの状態を「モンキーマインド」といいます。

脳は莫大なエネルギーを消費するため、モンキーマインドの状態だと疲れやすくなります。反対に、この状態を脱することができれば、集中力や判断力、創造性などを高めることができるのです。

そのためには、考えに対して「傍観者」であることが大切。自分の心は電車が行き交うプラットホームであり、様々な考えは電車のように一時的に駅に停車してもまたすぐに去っていくもの。

そのようにイメージして「考えている自分」と「考えていること」を同一視しないようにしましょう。そうすることで心の中にスペースを持つことができるでしょう。

■4:怒りが湧いてきたら4つのステップで処理する

怒りは、脳が自分を守るために発動させる「緊急モード」のようなもの。アドレナリンが分泌されて脳の思考活動が抑制されるため、前後の見境がなくなることもあります。

怒りや衝動を抑えられないときは、以下の4つのステップが有効。英語の頭文字をとって「RAIN」といわれています。

(1)認識する[Recognize]

自分の中に怒りが起きていることを認識しましょう。その際、「怒り」と「怒っている」自分は同一視しないことが大切。

(2)受け入れる[Accept]

怒りが起きていることをそのまま受け入れます。

(3)検証する[Investigate]

自分の身体にどのような変化が起きているか検証します。心拍はどうなっているか、どこが緊張しているかなど観察してみましょう。

(4)距離をとる[Non-Identification]

自分の感情を個人的なものとして捉えず、「他人事」のように考えてみます。

この4つのステップは怒りだけでなく、甘いものを食べたいというような衝動にも有効。禁煙にも効果があるといわれています。

本書はストーリー仕立てで構成されているので、実際にレクチャーを受けているような気分になれるはず。

マインドフルネスを継続すると、一時的な疲労解消ではなく、疲れづらい脳が手に入るといいます。少しの時間でも毎日の習慣に取り入れてみてください。

(文/平野鞠)

 

【参考】

※久賀谷亮(2016)『世界のエリートがやっている 最高の休息法』ダイヤモンド社