「人工知能演奏システム」でリヒテルの演奏が蘇る。ベルリンフィルメンバーとの息のあった共演を披露

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ヤマハは、2016年5月19日(木)に東京藝術大学奏楽堂で開催されたコンサート「音舞の調べ〜超越する時間と空間〜」に技術協力を行い、同社が開発した「人工知能演奏システム」を用いて、20世紀のピアノの巨匠、故スヴャトスラフ・リヒテル(以下、リヒテル)の往年の演奏を同社の自動演奏ピアノ「Disklavier」(ディスクラビア)で忠実に再現するだけでなく、世界的名演奏家集団であるベルリンフィル・シャルーンアンサンブルの演奏に合わせてその演奏を柔軟に変化させ、息のあったアンサンブルとして披露することに挑戦した。

■現代によみがえる名演奏
「ピアノの巨匠が蘇り、現代の名演奏家と共演したとすれば、果たしてそれはどんな演奏になるのだろうか。」そんな想いを現実のものにするために、同社は今回、人間の演奏を理解し、その演奏に合わせて自動演奏を行うことができる「人工知能演奏システム」を開発したとのこと。

リヒテルと言えば、筆者の大学生時分に音楽事務所のアルバイトをしていて、その事務所が昭和女子大学人見記念講堂で開催したクラッシックピアノコンサートがリヒテルだった。会場内へは入場できなかったが、待機所にモニターが設置されており、その演奏を無料で見ることができたのが役得だった。

そのバイトではスタニスラフ・ブーニン、エフゲニー・キーシンといった名ピアニストらのコンサートを主催しており、お金をもらいながら巨匠たちの名演奏に触れることができた人生で非常に貴重な経験をさせていただいた。

それに勝るとも劣らない貴重な経験ができるのが、この「人工知能演奏システム」と言えるのかもしれない。リヒテルのコンサートでは、演奏開始の時刻になってもリヒテルが登場せず、会場の人たちは彼が登場するのを息をのんで30分程度は待っていた。その後、無事にピアノの前に現れ、見事な演奏を行い会場内は割れんばかりの拍手の渦に巻き込まれたのであった。

いっぽうの「人工知能演奏システム」は「気分が乗らないから・・・」といって演奏会場に姿を現すのが遅れるなんてことはないだろう。

■人とコンピュータの息の合った演奏を実現
このシステムは、マイクとカメラを用いて共演者の演奏音や演奏時の動きを検出・分析し、次の瞬間に行うべき演奏を逐次予測しながら、自動演奏ピアノ「Disklavier」に演奏をリアルタイムに指示することで、人間とアンサンブルを奏でることが出来るようになっている。さらに、リヒテルの往年の演奏を忠実に再現した特別なデータを用いて、彼のタッチも加味したピアノ演奏を行うことができる。また、自らのピアノ演奏を表現する映像をリアルタイムに生成してプロジェクターで投影することで、共演者と協調を図る機能も備えている。

今回このシステムと共演したのは、現代の名演奏家集団であるベルリンフィル・シャルーンアンサンブル(バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス)のメンバー。ベルリンや国内で彼らと何度もリハーサルを行い、本番直前まで人工知能演奏システムの改良を行ったとのこと。

また、現代の名演奏家のパフォーマンスに応えるために使用した自動演奏ピアノは、現在の最高峰コンサートグランドピアノである「CFX」に自動演奏機能を持たせた特注の「Disklavier」だ。「CFX」は、リヒテルが円熟期に愛用した当社ピアノ「CF」の後継機種にあたり、まさにリヒテルの往年の演奏を再現するのに最適の一台と言えるものだ。

披露した曲目は、シューベルト ピアノ五重奏曲イ長調 D667 《鱒》の第4、第5楽章。演奏を聴いた観客からは大きな拍手が沸き起こり、シャルーンアンサンブルのメンバーからは笑みがこぼれたという。

■リハーサルと当日の演奏の様子の一部を収録した動画

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