リオパラリンピック:車いすテニスの基礎知識とルールについて

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9月7日に開幕するリオデジャネイロ2016パラリンピック。手に汗握る戦いは、予備知識なんかなくても見ているだけで熱気が伝わり、十分楽しいものです。ですが競技に関する予備知識があれば、さらに観戦をたのしむことができますよね。今回は車いすテニスの基礎知識やルール、注目の日本代表選手についてご紹介します。

■ 車いすテニスってどんな競技?

車いすテニスとは、車いすに乗って行なう障害者スポーツの1つ。使用するボールもコートも健常者のものと全く同じ。1988年に行われたソウルパラリンピックで公開競技となり、1992年のバルセロナパラリンピックから正式競技になりました。日本車いすテニス協会(略称:JWTA)が車いすテニスの普及、国内大会の調整等を行っています。

■ 車いすテニスのクラス

車いすテニスには「男子」「女子」「クァード」「ジュニア」4つのクラスにわかれていて、それぞれシングルスとダブルスがあります。

・ クァード
クァードとは四肢麻痺のことで、重度の障害を持つ選手がこのクラスで戦います。ラケットと手をテーピングで固定することが許可されています。体温調節のため、トーナメントではシェードと氷入りバケツを準備しておくことが義務づけられています。シングルスとダブルスがあり、ダブルスには男女ペアで出場することもできます。

・ ジュニア
2016年4月からJWTAジュニアランキング制度が開始されました。出場できるのは18歳未満までです。今回のリオパラリンピックにはジュニアクラスはありません。

■ 車いすテニスのルール

◎ サーブの際には、車いす一押しOK
サーバーは、サーブを打つ直前に静止しなくてはなりません。またサーブを打つ際、車いすを一押しすることが認められています。

◎ サービスの位置
どの車輪もベースラインの後方に位置させ、車輪はセンターマークとサイドラインの仮想延長線に触れてはいけません。

◎ ツーバウンドルール
ツーバウンドで返球することが認められています。一般的なテニスと大きく違うのはこの点だけです。

◎ クァードクラスではワンバウンドさせてからのサーブOK
クァードクラスでは、通常のサーブを打つことが難しい場合、プレーヤー自身もしくは第三者がボールを地面にワンバウンドさせたボールを打つことが認められます。

◎ インプレー中のブレーキ使用禁止
インプレー中は、ブレーキを使用してはいけません。ただしラケットを持っていない手でブレーキをかけるのはOKです。

◎ 足を地面につけること、車輪を操作することの禁止
地面に足をつけたり、足を使って車輪にブレーキをかけること、また足で車輪を動かすことも禁止されています。ただし、ボールを追っているときに限り、車輪を使って車いすを操作できないプレーヤーのみ、片足を使用して車輪を操作することが認めれています。

◎ ボールを打つ際、臀部を車いすから離さない
ボールを打つ際、両方の臀部を座席から離してはいけません。

■ テニス用の車いすの特徴

◎ キャンバー
タイヤが八の字に傾斜(キャンバー)している点に最大の特徴があります。これにより激しい動きをしても転倒しないようになっています。

◎ リアキャスター
後ろに小さなタイヤが付いていて、これにより、車いすをより速く的確に動かせるようになっています。また後ろに転倒しにくいという利点もあります。

◎ 重心の位置が前より
通常の車いすは重心が座骨のあたりにありますが、テニス用は前より。回転性能が上げるための仕様です。後ろに倒れやすくなりますが、リアキャスターでリカバリーします。

■ 車いすテニスの歴史

車いすテニスは、1976年に2バウンドテニスとしてスタートしました。場所は南カリフォルニア。日本では1984年に「リハビリプログラム」の一つとして取り入れられ、同時に全国規模の車いすテニス大会が催されました。つまり、車いすテニスの歴史はまだまだ浅く、始まったばかりです。

その後、1988年に国際車いすテニス連盟に日本が加盟し、国内外(とくにアジア諸国)において車いすテニスの講習会などが盛んに実施されるようになっていきました。そして、1998年、国際テニス連盟に統合されることになり、2000年のシドニーパラリンピックで大前&川島(女子)が4位、齋田&山倉(男子)がベスト8という快挙を成し遂げます。

2003年にはポーランドで開催された第19回世界大会において日本男子チームがチャンピオンに、そして翌年の2004年にはアテネ・パラリンピックで齋田&国枝(男子)が金メダルを受賞。続いて2007年には、世界大会(スウェーデン)において、世界チャンピオンに輝きました。2016年9月、リオにて開催されるパラリンピックでは、若手の選手にも期待が集まっています。

■ 車いすテニスの大会

車いすテニスの大会には、グランドスラム、スーパーシリーズ、マスターズ、ITF1、ITF2、ITF3、フューチャーズ、7段階に格付けされています。これらのうち、いわゆるテニスの4大大会に相当するのがグランドスラム(全豪オープン、ローラン・ギャロス、ウィンブルドン、全米オープン)です。国内で開催される大きな大会の例としては、「ジャパンオープン」とも呼ばれる「飯塚国際車いすテニス大会」(スーパーシリーズ)が挙げられます。

■ 車いすテニスの注目日本人選手は?

・国枝慎吾(くにえだしんご)

男子で世界歴代最多優勝記録保持者。東京都出身、1984年生まれ。9歳のときに脊髄腫瘍のため下半身麻痺に。車いすテニスとの出逢いは12歳のとき。その後、実力を発揮し17歳からは本格的に競技に取り組み始めました。2004年にアテネパラリンピックで斎田とのダブルスで金メダルを獲りました。国内外におけるさまざまなイベントに積極的に参加。ブログも人気があります。

・眞田卓(さなだたかし)

栃木県出身、1985年生まれ。19歳のときに交通事故で下肢切断。それによって車いすの生活を余儀なくされます。高校までテニスをやっていたこともあり、車いすテニスの道を進むことになります。世界進出後、たった1年半で世界のトップ10入りを果たし、現在世界ランキング8位。期待のプレーヤーです。

・上地 結衣(かみじゆい)

兵庫県出身、1994年生まれ。先天性の潜在性二分脊椎症を患い、10歳頃から車いすバスケットボールを、その翌年から車いすテニスをはじめました。14歳のとき、史上最年少で日本ランキング1位に。2012年には、ロンドンパラリンピックに参加し、ベスト8入賞。その後は、プロとして目覚ましい活躍をみせ、2016年には全豪オープンダブルスで3連覇を果たしています。

この他にも、総勢9人の選手がリオ・パラリンピックに出場します。国枝選手や上地選手など、上位進出が期待される選手もいる車いすテニスはメディアの注目度も高く見逃せませんね。

(image by amanaimages)
(著:nanapiユーザー・creamo 編集:nanapi編集部)