「アブルッツォ風クレープのティンバッロ」(P.26)

写真拡大

 イタリア料理と言われてぱっと出てくる料理は、意外と限られている。しかし日本でなじみがないだけで、イタリアにはイタリアの郷土料理がある。そんな、普段あまり見かけない“オタクなイタリア料理”を紹介している、『ちょっとオタクなイタリア料理 全20州。あなたの知らない美味しいレシピがきっと見つかる!』(パンツェッタ貴久子/光文社)という本が発売された。

 イタリアは都市国家時代が長く、地域ごとに異なる食文化が根付いているそう。筆者はイタリアには行ったことがないが、知らない土地に根付いている知らない料理といわれると、料理好きの血が疼く。覗いてみたいし、食べてみたい……! そこで、実際にいくつか作ってみた。

「海藻入りツェッポレッレ」(P.11)

 1つめは、カンパニア州の「海藻入りツェッポレッレ」。カンパニア州の州都であるナポリでは、前菜として揚げ物が出されるそうで、これはその代表。準強力粉、ドライイーストをぬるま湯で練り、塩、生海苔を加えながらよく混ぜ合わせて2時間ほど発酵させる。あとは中温に熱した油にスプーンですくって落とし、きつね色になるまで揚げれば完成。

 カリッモチッとした食感、噛むとじんわり感じる程よい塩気と海苔の香りで、いくらでも食べられそうな味。青のりのほかに、ズッキーニやシラスを混ぜ込むこともあるそう。準強力粉が手に入らない場合は、強力粉8:薄力粉2で代用できる。

「アブルッツォ風クレープのティンバッロ」(P.26)

 続いて、アブルッツォ州のテラモという町の伝統料理「アブルッツォ風クレープのティンバッロ」。薄力粉、卵、水、塩で作ったクレープにラグー、フレッシュソーセージ、ゆで卵、ほうれん草、グリーンピース、スカモルツァアッフミカータ、パルミジャーノをのせて、またクレープをかぶせる、という行為を2回ほど繰り返して層にする。あとは表面にバターを塗って180度に熱したオーブンで焼けば出来上がり。スカモルツァアッフミカータとは、モッツアレラチーズをスモークしたような味のチーズ。

 こんがり焼けたクレープと、チーズやラグー、野菜の旨みが合わさって、濃厚な美味しさを奏でている。具だくさんで、断面を見たときの喜びも大きいので、おもてなしにも使えそう。フレッシュソーセージがない場合は、ミートボールでも代用できるとのこと。

「カラブリア風鶏のカッチャトーラ」(P.31)

 最後は、カラブリア州の「カラブリア風鶏のカッチャトーラ」。塩、赤唐辛子、黒胡椒、レモン汁に漬け込んだ鶏もも肉を、オリーブオイルで皮がカリカリになるまで焼く。油が出てきたら、にんにく、赤唐辛子、オレガノ、塩を加え、さらにローズマリー、ローリエ、白ワインビネガーを加えてしっかり焼いたら完成。

 カラブリア州は、イタリアで唯一辛い料理を好む州なのだとか。香ばしく焼けた鶏肉に辛味と酸味が合わさって、クセになる味。しっかりとした味で、パンにもごはんにも合いそう。ぜひとも繰り返し作りたい一品だ。

 今回は南部の料理を中心に紹介したが、この『ちょっとオタクなイタリア料理 全20州。あなたの知らない美味しいレシピがきっと見つかる!』には、イタリアすべての州の様々な料理が掲載されている。

 今までイタリア料理を掘り下げて作ったことはあまりなかったが、イタリアと日本の食文化は相性が良いと言われるだけあって、どれも「また食べたい!」と思う、安心できる味となっていた。ピザやパスタもいいが、たまにはもう少し視野を広げて、イタリア各地のローカルな味を堪能してみるのもいいものだ。

文=月乃雫