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DellとEMCが合体した新会社「Dell Technologies」がいよいよ船出を迎えた。Dell Technologiesの会長兼CEO、Michael Dell氏らは9月7日(米国時間)、記者向けのブリーフィングを開き買収完了を報告するとともに、新会社の方向性などについて話した。

DellがEMC買収を発表したのは1年前の2015年10月、ストレージ最大手とPC、サーバ大手というハードウェアベンダーの合体だけでなく、約670億ドルというその買収金額も注目を集めた。買収はその後、米国、欧州などの規制当局の承認を経て、8月末に最後の砦となっていた中国政府の承認を得た。その間、Dell氏は5月のEMCの年次イベントに登場し、新会社の社名を「Dell Technologies」と発表している。

Dell氏はまず、EMC買収に至る背景として「デジタルトランスフォーメーション」を取り上げた。

「人類はいままさに、新しい産業革命を迎えようとしている。デジタルトランスフォーメーションは現実のものであり、これまでわれわれが経験した何よりも革命的なものになる」とDell氏。同氏は2031年にはネットワークに接続するノードとデバイスの数は2000億以上になると予想、これは地球上の人の数の25倍以上とした。これらはすべて情報を生み出すことになり、「これを使ってより良い洞察を得て、世界をより良いものにできる。これはチャンスだ。可能性を現実にするためにDell Technlogiesを作った」とDell氏は続ける。

5月の発表通り、クライアントソリューション事業部は「Dell」、DellとEMCのデータセンターインフラ技術で構成されるインフラソリューション事業は「Dell EMC」として運営され、全体の支援はDellとEMCのサービス部隊が提供する。Pivotal、RSA、SecureWorks、Virtustream、VMwareは今後も独立した事業として運営される。これら5社は「独立性を維持し、自社独自で自由にエコシステムを構築する」とDell氏は約束した。

2社を合わせた売上高は740億ドル。Fortune 500の98%が同社の顧客となり、180の国で展開する。合体した企業は約14万人の社員を有し、EMCの本拠地であるマサチューセッツ州ホプキントンも維持する。

では、市場から見たDell Technologiesはどうか。

CFOのTom Sweet氏によると、ストレージ(外部ストレージ、オールフラッシュアレイ、バックアップとリカバリ)、コンバージドソリューションではシェアナンバー1、x86サーバではナンバー2、PCではナンバー3という。Dell氏は、Dell Technologiesの技術は20カテゴリでGartnerのMagic Quadrantで「リーダー」と位置付けられている、と胸を張る。特許は出願中のものも含むと2万件以上、研究開発には年45億ドル規模を注いでいるという。

Dell EMCインフラストラクチャソリューショングループを率いる元EMCのCEO、David Gouldenは、インフラ分野における製品と戦略を説明した。

この分野ではクラウドが大きく業界を変えているが、ここでは既存とクラウドネイティブの両方のアプリケーションを支えるインフラを提供する。既存インフラではこれまで通りに弾力性/耐性の強化とコスト低下を実現するハイブリッドクラウド戦略を進める。サーバ、ストレージアレイ、コンバージドインフラなどの要素を持つエンタープライズ・ハイブリッドクラウド・エンジニアドソリューションを提供するとした。

デジタルトランスフォーメーションの推進役で、企業にとって差別化となるクラウドネイティブでは、フラッシュ、スケールアウト、ソフトウェア定義などの要素を持つモダンなデータセンターアーキテクチャを土台とするネイティブ・ハイブリッドクラウド・エンジニアドソリューションを提供するという。

製品ポートフォリオはピラミッド型となり、土台でDell EMCとVMwareにより最高レベルのコンバージド、ハイパーコンバージドインフラを提供する。次にVMwareの自動化ソフトウェアを利用して、プライベートクラウドとパブリッククラウドの構築を支援し、さらにPivotal Cloud Foundryで業界をリードするPaaSを提供できるという。これを利用して、顧客が新しくクラウドネイティブアプリを構築するのを支援できるが、クラウド内で動かしたい場合はアプリをVirtustreamに動かすことができる。これら全体のセキュリティはRSAとSecureWorksが受け持つ。最後に、職場の変革という点ではDellクライアント事業が推進するという。

「比類なき技術ポートフォリオでエンタープライズを支援できる」とGoulden氏。

Dellは2013年、長期的視野に基づいて戦略を実行していくことなどを理由に非公開企業となり、EMC買収はそれに続くDellの戦略的動きと位置付けられている。Dell Techologiesは最大の非公開企業となるが、Dell氏はこの点も優位性として強調した。

「長期的視野に立った戦略の立案と実行が可能で、顧客にフォーカスを最優先させることができる」とDell氏。

目指すのは、新しい産業革命の基本的なインフラを提供する「信頼できるプロバイダー」だ。「Dell Technologiesの技術を利用して、企業はデジタルトランスフォーメーションのためにITを変革できる。われわれは顧客とともに、産業プロセスの自動化を超えて、その先の複雑なタスクの自動化を可能にしていく」と同氏は続けた。

なお、Dellが米国時間6日に発表した会計年度2017年第2四半期(5月-7月期)の決算では、売上高は131億ドル、前年同期比1%増だった。EMC買収により強化を図るエンタープライズソリューション事業部は前年同期比変わらずの38億ドル、営業利益は同7%増の3億ドルだった。PCを含むクライアントソリューション事業の売り上げは92億ドルだった。

(末岡洋子)