ドラフト会場は六本木のベルファーレ。栄えあるドラフト1期生の活躍が、日本バスケ界の新たな転機となる。

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 日本に初めて誕生したプロバスケットボールリーグ、bJリーグは6日、六本木ベルファーレにおいて第1回ドラフト会議を実施した。今年2、5月に既に行われた合同トライアウトを通過した選手と、既存チームの所属選手の合計102名が指名対象となり、26名が指名を受けた。

 bjリーグは昨年11月、新潟・埼玉・大阪の既存3チームに新たに創設された仙台・東京・大分の計6チームで産声を上げた。日本バスケ界初となるプロリーグの発足に、当初は懐疑的な声も少なくなかった。しかし、この日会場にはテレビ、新聞、雑誌をはじめ多くの報道陣が詰めかけ、その注目度は決して低いものではないことを示した。

 「バスケットがしたい」。冒頭の挨拶に立った河内敏光コミッショナーの発した第一声は、この言葉だった。日本初のプロリーグが、実質的な第一歩を踏み出した瞬間だ。「前夜は緊張した」と相当なプレッシャーがあったことを漏らした初代コミッショナーは、「日本に創ろう、バスケットボールの文化を」と高らかに宣言し、幕を開けた。

 今回のドラフトは新リーグ誕生にあたり、チームを構成する選手を分配することが主とした目的のもの。ドラフトのシステムは、102名を指名対象選手とし、指名順は奇数巡が大分→埼玉→仙台→新潟→大阪→東京で、偶数巡はその逆となった。ただし、既存チーム(新潟・埼玉・大阪)には「プロテクト枠」が設けられた。「プロテクト枠」とは各チームが希望人数分、指名対象から外し、独占交渉権が認められる制度で、使用枠分だけ、ドラフト指名巡を失うことになる。但し、他のチームが指名を放棄(終了)した場合、次巡よりプロテクトを使用したチームもドラフトに復帰可能となる。
 既存チームの中では新潟のみが5名のプロテクト枠を使用。埼玉・大阪の両チームはプロテクト枠行使を見送ったため、1巡目からドラフト指名に加わることになった。
 ドラフト会議により各チームは、A契約(1年契約、年俸300万円以上が保障される)選手の独占交渉権を獲得できる。指名から漏れた選手もB契約として個別に交渉を行うことができる。bjリーグでは公式戦に出場できるのは、チームとプロ契約した選手のみ。契約はA契約とB契約に分類され、B契約とはMLBでいうマイナー契約にあたり、契約内容で年俸などの条件面が下げられることになる。
 また今回のドラフト以外に、助っ人の外国人選手の補強も想定されるが、外国人選手との選手契約はA契約が大半とみられている。

 栄誉あるドラフトの全体1位指名を大分から受けたのは栗野譲(くりの・じょう:24=前所属:オーエスジー)選手。「とても嬉しい。でも、こんなにうまくいっていいのかと不安にもなる。もちろん、プレーには自信あるが、リーグを代表すること(全体1位指名)で、色々な面でプレッシャーを感じることになるだろう」と笑顔の中にも厳しい表情を見せた。「プロは、こうあるべきという姿を見ていて欲しい」とアピールした栗野は席上で、「もちろん今はバスケットが僕の仕事だが、ずっと続けられるものではない。だから人間的にも成長したい」とコメント。注目を浴びながらも、有頂天になることなく、将来像をも描ける冷静さを、この24歳は備えている。

他チームの1巡目指名選手は以下の通り
チーム:氏名(ポジション)年齢、前所属

埼玉:安齋 竜三(PG)24、大塚商会
仙台:日下 光(PG)22、専修大学
新潟:プロテクト枠使用のため、なし
大阪:波多野 和也(F)23、専修大学
東京:仲西 淳(PG)22、サンタモニカカレッジ

 最多指名球団は7名をドラフトで獲得した大分。各チームとも先発人数の5名前後の指名となったが、首都に本拠を置く東京は2名にとどまった。指名を受けた仲西、牧の両選手ともポジションはガード。身体能力が高く、スピードあるプレーが身上の2人。チーム構成の全体像は未知数だが、「僕たちのような運動能力の高い選手と一緒にやりたい。とにかく早くプレーしたい」と牧は期待を口にした。

 出身地東京に本拠を置くことにもなった仲西は「家族や友人が多くて支えになる。エキサイティングなプレーでファンに応える」と地域性重視のドラフト指名に感謝していた。多くの選手たちが口にするように2人も、子供やファンに対して熱いメッセージを送った。「僕らはパイオニアとして、子供たちが常に夢を持てるよう、一生懸命プレーする」。2人とも身長は180センチと決して高くはない。「小さい僕たちでも大きい選手に勝てるってことを見せれば、みんな希望が持てると思う」。

 「このプロリーグ発足が、来年に日本で開催される世界選手権や、08年の北京五輪への道へつながることになるように」と河内コミッショナー。bjリーグでは、ファンを「ブースター」と呼ぶ。より多くの「ブースター」を装着し、北京へ日本バスケが加速できるか。日本にバスケットボールのプロリーグと文化が根付くか。すべての答えは11月の開幕で試される。