業績悪化が報じられる衣料品メーカーが数多い中、設立以来7期連続で増収増益を達成している「嗜好品」ファッションのセレクトショップ「STUDIOUS」。都市部に多くの店舗を構え、1人の接客に平均30分はかけるというそのスタンスでどのように業績を上げているのでしょうか。無料メルマガ『MBAが教える企業分析』が詳しく分析しています。

1%の顧客を狙う

設立来7期連続で増収増益を達成し、急成長している企業を分析します。

● STUDIOUS(セレクトショップ)

◆戦略分析

■戦場・競合

戦場(顧客視点での自社の事業領域):セレクトショップ競合(お客様の選択肢):アパレル関連各社

○セレクトショップ

→ビームス、ユナイテッドアローズ など

○ファストファッション

→ユニクロ、GAP、ZARA、H&M など

○アパレル会社

→オンワードHD、ワールドなどが展開する各種ブランド状況:衣料品の市場規模は縮小傾向にあるなかで、特に百貨店などのチャネルで展開しているアパレル会社は苦戦しているようです。

■強み

1.友達感覚の接客

顧客と直接電話やメールでやりとりをすることもあるようです。

2.世界一のTOKYOブランド品揃え

日本人がデザイナーを務めるブランドの取り扱いが200を超えています

3.細身でハイセンスなモード服

誰にでも着られないかわりに細身の人には限りなく似合う

⇒上記の強みを支えるコア・コンピタンス

★コアなファンを大事にする文化

ステュディオスの販売員は、販売の仕事の合間をぬってバイヤーをしたり展示会まわりをしたりと、販売以外の仕事も行っています。

→顧客に接している販売員が、商品仕入れや企画も行うことで、より顧客に密着した提案を実現しています。

また、販売員の意見を仕入れに反映させることでセレクトしたブランドのヒット率が高まっています。

■顧客ターゲット

20〜30代のファッション感度の高い若い世代をターゲット服にお金をかける細身の若者販売員の提案を受けたい方販売員と仲良くなりたい方

◆戦術分析

■売り物

デザイン性の高い衣類や雑貨

生活必需品のユニクロに対して嗜好品のステュディオス

→「ブランド商品」と「オリジナル商品」の比率は各50%程度

「ブランド商品」は日本国内のTOKYOブランドに特化している。「オリジナル商品」はメイドインジャパンにこだわったPB(プライベートブランド)商品。

■売り値

TOKYOブランドは高価格帯、PBはよりリーズナブル

→実店舗の客単価は2万6,000円

■売り方

丁寧な接客

顧客と会話しながら、服を提案する接客スタイル

→ 一人の顧客に対する接客時間は平均30分、長くても1時間以内。気に入った商品が見つからなければ、近くの別店舗まで同行することもあるそうです。

■売り場

リアル店舗は都市部に限定して出店ECではZOZOTOWN中心に展開

→実店舗とECの相互送客に注力

※売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。

まとめ(戦略ショートストーリー)

20〜30代のファッション感度の高い若い世代をターゲットに「コアなファンを大事にする文化」に支えられた「友達感覚の接客」という強みで差別化しています。

デザイン性の高い衣類や雑貨を取り揃え、「たとえ嫌われても積極的に話しかける」をモットーに、丁寧な接客を徹底して行うことで顧客の支持を得ています。

■分析のポイント

「1%の顧客を狙う」

ステュディオスはいい意味で割り切っており、99%の方に嫌われても、1%でも好きになってくれる方がいるなら、嫌われる覚悟を持って積極的に話しかけるという方針をとっています。販売員に話しかけられることが嫌な方も少なくないと思いますが、そういった方はステュディオスのターゲットではないということが明確です。

このような割り切りはユニクロなどの大手企業には真似できないでしょう。なぜなら、ユニクロはリーズナブルな商品を大衆向けに販売する戦略をとっていますので、真似をするためには、根本的に戦略を変える必要がありますが、それは現実的ではありません。

例えば、1人の顧客に30分も接客をするためには、スタッフの人数を大幅に増やさなければなりませんし、商品の単価が低いため、丁寧に接客したとしても客単価の向上はそれほど見込めないでしょう。

つまり、真似をしたところで、売上はそれほど上がらず、人件費が大幅に増加し、利益を確保することが難しいので、そもそも、真似をするメリットがありません。ですので、真似できないというよりは、真似をしたくないということになりますね。

大手の戦略の定石として、同質化という手法がありまして、これは、業界のリーダー企業が、差別化で挑んでくる競争相手に対して、その競争相手の強みを取り入れて、競争相手の強みを強みでないものとするという手法です。

ここでのポイントは、ステュディオスがとっている戦略は、リーダー企業からみても真似をしたくない戦略となりますので、これは同質化されにくいということでもあります。

では、どのように同質化をされないようにしているかというと、ステュディオスのターゲットは

20〜30代のファッション感度の高い若い世代をターゲット服にお金をかける細身の若者販売員の提案を受けたい方販売員と仲良くなりたい方

といった形で、非常に絞り込まれていますし、具体的ですよね。例えば、大衆のような広い範囲をターゲットとした場合、大手にない強みを持って参入したとしても、その強みを大衆のニーズに応えることを得意としている大手に真似をされ、大手との競争に巻き込まれかねません。

要するに、ターゲットを絞り込み、具体化し、その具体化した顧客ターゲットに密着して、そのニーズに応えることが、リーダー企業による同質化を防ぐことにつながっているのです。

今後、ステュディオスがどのように成長していくのか非常に楽しみです。

image by: 「STUDIOUS」公式HP

 

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出典元:まぐまぐニュース!