注目の羽生善治九段の初戦は山崎隆之叡王。来年の電王戦出場者を決める第2期叡王戦の組み合わせ決まる

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コンピューター将棋の開発者がもっとも対局したい棋士・羽生善治九段は、はたして優勝するのでしょうか。今年の第1期電王戦は、山崎隆之叡王がPonanzaに2連敗して幕を閉じましたが、いま来年の第2期電王戦に出場する棋士を決める第2期叡王戦が行なわれています。すでに予選を勝ち抜いた15名の棋士と前期優勝した山崎叡王の合わせて16名による本戦トーナメントの抽選会が7日のニコファーレで行なわれました。なお、叡王戦は段位別予選を行なうため、各棋士を段位で記載しています。

なんといっても注目は羽生善治九段の対戦相手でしょう。叡王戦の参戦は任意のため前期は参戦を見送った羽生九段でしたが、今期は参戦を表明し電王戦関係者にも衝撃が走りました。

将棋界に君臨する最強の棋士である羽生九段が、プロ棋士を凌駕する実力を身につけたコンピューター将棋に対してどう立ち向かうのか。人間対コンピューターの最終決戦とも言われており、叡王戦で勝ち進んで優勝すれば実現されます。

出場する16名の棋士による抽選が行われました。抽選の順番は山崎隆之叡王、羽生善治九段(三冠)、中村修九段、丸山忠久九段※、深浦康市九段、久保利明九段※、佐藤天彦九段(名人)※、広瀬章人八段、稲葉陽八段※、小林裕士七段※、豊島将之七段※、千葉幸生六段、及川拓馬六段、佐々木勇気五段、千田翔太五段、佐々木大地四段。

※電話で抽選に臨んだ棋士

山崎叡王は次に引いた羽生九段が、いきなり対戦相手となる結果に山崎叡王は、

「私が確率的に羽生先生といちばん当たる確率が少なかったはずなんですが(笑)、たぶん羽生先生はこの15名の中でいちばん私に対して勝率が高いと思います。まずこの第2期叡王戦で羽生先生が参戦することでいっそう盛り上がりを見てせていますが、私が羽生先生と対戦できることはすごく幸せなことだと思うので、全力でぶつかって、当たって砕けろではないですが、砕けないよ頑張りたいと思います」

これに対して羽生九段は、

「私も山崎叡王のあとに抽選して当たるとは夢にも思っていなかったので、これが抽選の面白いところなのかなと思いました。山崎叡王は、非常に独創的な将棋を指されるので、どういう展開になるかわからないですけれど、スピーディーで面白い将棋が指せるように、自分なりに頑張っていきたいと思っております」

その他抽選の結果は以下の通りです。

左側ブロックは豊島七段や千田五段といったコンピューター将棋に長けた棋士の戦い、右側ブロックは、羽生九段、佐藤九段といったタイトル保持者のいる実力派どうしの戦いという印象で、羽生九段が電王戦に出場してコンピューターと対局するには、準決勝まで負けずに3連勝し、決勝の三番勝負で2勝しなければなりません。羽生九段といえども、対コンピューター戦実現は、そうカンタンにはいかないでしょう。

ちなみに、佐藤九段は叡王戦の予選は八段で行なっていましたが、名人位を獲得したため九段に昇段しています。

一方のコンピューター将棋ソフト側ですが、こちらも例年通り第4回将棋電王トーナメントで優勝したソフトが電王戦に出場できます。前回から優勝したソフトのみが棋士と対局できる形式に変更されたため、ひとつのミスも許されないシビアな戦いが繰り広げられますが、今回は羽生九段が出場し、もしかしたら電王戦で対局できるかもしれないという期待もあるので、開発者たちも力が入っていることでしょう。参加ソフトはすでに締め切られており、以下のソフトが名乗りを上げています。

Labyrinthus+#
SilverBullet
きふわらべ

PONANZA
Squirrel
shogi686

Rapunzel
Qhapaq
うさぴょん2´

きのあ将棋
カツ丼将棋
Novice

習甦
†白美神†
おから饅頭

HoneyWaffle
scherzo
Selene

真やねうら王
たこっと
名人コブラ

nozomi
メカ女子将棋
浮かむ瀬

セルシウス
読み太
CGP

ツツカナ
にこあ将棋
Jh

攻茶花電
技巧
大将軍

十六式・いろは
農場UMA
なのは

Claire
芝浦将棋Jr.

前回よりも10ソフト増え、計38ソフトになりました。「Apery」の開発者・平岡氏は、前回は「大樹の枝」、今回は「浮かむ瀬」と改名しての挑戦です。磯崎氏の「やねうら王」も「超やねうら王」から「真やねうら王」になっています。第4回将棋電王トーナメントは10月8日(土)〜10月10日(月・祝)に行なわれ、電王が決定します。

第2期電王戦の概要も決まりました。二番勝負は変わらないのですが、二日制だった対局は一日制に変更。持ち時間も5時間に短くなりました。これに対してドワンゴの川上会長は、

「電王戦はどういう条件でコンピューターと戦ったら良いのか、すべてのパターンをやると、いままでも申し上げてきました。前回は二日制で戦いましたが、今回は一日制でいいかなということで変更しました」

とのことです。前回持ち時間が長いので、人間側も深く考えられたかと思いますが、コンピューター側はかなり時間を余しました。人間同士の戦いなら長くやっていくうちに疲労がたまり思考にも影響を及してミスが出るかもしれませんが、コンピューターにはそれがありません。持ち時間は短くなりますが、以前のように一日勝負で臨むほうが結果的にはいいのかもしれません。

筆者は電王戦をずっと追いかけてきましたが、やはり羽生九段はプロ棋士の中で絶対的存在です。羽生九段とコンピューター将棋ソフトが対局することになったら、そして完敗してしまったとしたら、人間対コンピューターの戦いに終止符が打たれてしまうのかもしれません。囲碁の世界もAIを利用して急速にプロ棋士レベルに近づいてきており、もはや頭脳勝負のゲームではコンピューターには立ち向かえないのかもしれません。

コンピューター将棋ソフトが現状完璧かというとそうでもありませんが、対人間とは違い感情を持たないので、評価ミスやバグがない限りなかなか人間が敵うレベルではなくなってきています。全ての対局はニコ生で中継されますので、電王戦の将来も左右する叡王戦の行方に、ドキドキ、ワクワクしながら観戦してほしいですね。