タレントの坂口杏里さんがセクシー女優に転身、デビュー作が10月1日に発売される予定だそうです。ネットによると、彼女にはホストクラブにハマっていた時期があり、AV業界転身はその借金返済のためだとか……。

25歳の女性が借金をしてまでハマってしまったというホストクラブ。そんなに魅力的なところなんでしょうか。

ホストクラブに一度も訪れたことのない女性でも、ホストクラブが“男性従業員が接客してくれる、女性客を対象とした、会話を楽しむ飲み屋”だということくらいは知っています。従業員と会話しながらお酒を飲むだけなら、居酒屋やバーにひとりで行って、大将やバーテンダーとしゃべるのと同じじゃない、という気もします。一般の飲み屋とホストクラブが大きく違うのは、自分が担当にする従業員(ホスト)を決めると、自分が飲食した代金の一部がその人のインセンティブとなる点でしょうか。

また、ほとんどの店が、一度「この人で」と指名したら、本人がチェンジをかけるまでその人がずっと担当となる永久指名制を導入しています。これは、ヘアサロンの仕組みに似ているかもしれません。

従業員にとっては「自分の客」なので、離れないように気を配って対応してくれます。その接客に気分のよさを感じる人は、ホストクラブで飲むことが楽しくなる。

また、女性客側からすると担当従業員は「私の専属」。彼と気心が知れれば話しやすくもなり、ホストクラブが非日常の居心地のいい場所、つまりサードプレイスになるわけです。

でも、このレベルであれば、「ハマっている」というほどのことではないでしょう。ハマるというのは、自分のライフスタイルや家計のポートフォリオの中で、他のものと比べて突出している状態です。
ホストクラブにそこまで入れ込める人ってどんな人なんでしょう。

 

坂口さんは、スキンヘッドの年上の芸人さんと別れてから寂しくて、ホストクラブに出入りするようになったというようなことが言われています。

ヨーロッパ調のゴージャスな店内に見渡す限りチャラ男系の派手スーツ男子がひしめく様子は、それはそれは華やかなものでしょう。しかも、店内のあちこちで繰り広げられる賑やかな飲みコール、親し気に声をかけてくれる従業員、そして専属の担当者。日常の寂しさを忘れるには十分です。現実世界が辛ければ辛いほど、夢の世界に閉じこもってしまう。これは一種の引きこもり状態です。
さらに、その夢の世界は、お金を投入すればするほど、その賑やかさに拍車がかかる。夢から覚めないように、もっと楽しい魔法を味わうためにとどんどん加速していって、気が付いたらハマっている状況に陥っているのかもしれません。

「ちやほやされたいという気持ちが強い人ほどハマる」と指摘する人もいます。
ホストクラブのちやほやは独特ですが、話を聞いてくれる、質問をしてくれる。そんな従業員の態度を、「自分のことに興味をもってくれているんだ」と嬉しく感じられる人がハマるのです。つまりは、自分のことをわかってくれる人が好きな、“愛されたい”体質の人。そして、自らも、その相手に恋愛感情をもつ。

ホストクラブが疑似恋愛の場所と言われがちなのは、そのせいでしょう。ホストクラブに行きさえすれば、担当従業員と自分の理想の恋人同士のような時間を持てる。そこに幸せを感じられる人はハマりやすいと考える人が多いのはうなずけます。

ただ、この夢の時間も金銭のやりとりがあって生じているもの。本人のお財布事情によって、簡単に解けてしまう魔法です。理性的な人であれば、それがホストクラブのシステムだと認識し、自分の限度額範囲内で利用できます。だから、たとえ“愛されたい”体質の女性でも、ホストクラブにハマりそうで実はハマらない、という人はけっこういるのです。

でも、恋心で理性が飛んで、彼とのこの夢の時間を絶対に終わらせたくないというような気持ちが芽生えてしまうと、バジェット超えを起こすことが。終電を逃したらタクシーを使ってでも自宅に帰りたい、欲しいものがあったらリボ払いでも買うーー。お金がないときにも、そんな風に自分の予算枠をどんどん広げてしまいがちな人にとって、ホストクラブはデンジャラスな場所かもしれません。

実はもうひとつ、いや何なら“愛されたい体質”よりホストクラブにハマるタイプがあります。それは、姉御肌タイプの女性です。男性を育てたい、自分の手で一流にしてあげたい。それによって相手に感謝され、慕って欲しいという“愛したい”体質の人。

ホストクラブの従業員は売り上げによって毎月ランキングされています。その売り上げを左右するのは、もちろん指名客である女性の飲食代です。その状況下で、「よっしゃ、あたしがなんとかしちゃる」と思ったり、自分が加担しているものがトップになることが自分の評価につながると考えたりする人は、このゲーム(?)にハマりがち。

特に、当日限定の売り上げ競争に参加するとギャンブルをしているときのような高揚感がある、という人もいます。それを楽しめる潤沢な資産があれば、もちろんご自由にという話です。

ただ、当然のことですが、担当従業員がトップになったからといって、彼があなただけのものになるわけではない。ホストクラブはその店の中だけの完結した世界だと、ちゃんと理解した上で遊ばないと痛い目にあったり傷ついてしまったりするので注意が必要です。

いずれにしても、従業員は接客のプロであり、利用者はあくまでも客。恋愛感情とか、見返りとか、ホストやホストクラブにホストクラブ以上のものを持ち込んだり求めてしまいそうな人は、立ち入らないほうが正解なのかもしれません。

愛するより愛したい、そんな女性のほうがホストクラブにハマりやすいっぽい。

 

 

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■プロフィール

 白玉あずき

東京都出身。清泉女子大学卒。学生時代より活字メディアに携わり、四半世紀にわたり女性のおしゃれと恋愛とダイエットについて考察、記事にする。現在は雑誌や単行本の編集、制作に加え、女性コンテンツのプロデュースやディレクションなど多分野で活動。最近の生きるテーマは社会貢献と女性支援。