普通、移住しようということになったら、まずはしっかり下調べをするもの。

ところが『幸福度No.1☆「沖縄移住」でワクワク楽園生活!: ツテなし・カネなし・資格なし ゼロからはじめた私の方法』(峯田勝明著、合同フォレスト)の著者は、かなり事情が異なるようです。

そのタイトルから想像できるように、まったく「ゼロ」の状態で沖縄へ移住してしまったというのですから。

そもそも著者は、立ち会い出産を経験し、育児の時間を確保するために会社勤めを辞めて自営業をはじめたという、その点においてもちょっとユニークな経歴の持ち主。

しかし、住んでいたのが茨城県だったこともあり、東日本大震災で大打撃を受けて廃業せざるを得ない状況に。

その結果、放射能汚染から家族を守るため、2012年に沖縄へ移住したというのです。

つまり本書では、そんな実体験に基づき、沖縄へ移住するために必要なことを明かしているというわけです。

きょうはそのなかから、なにかと気になる「お金」についての記述をご紹介したいと思います。

■1:移住費用を事前に計算しておくべし

当たり前ですが、沖縄への引越しが普通のそれと異なるのは、「必ず海を渡らなくてはいけない」ということ。つまり、引越し料金はとても高くつくというわけです。

そこで必要になってくるのは、少しでも節約すること。そこで著者は、いらない荷物はなるべく処分することを勧めています。

思い入れのあるものや特別高価なものは別としても、それ以外は現地で買ったほうが安いというのです。ほとんどのものは沖縄にも売っているそうなので、きっぱりと処分できるものは処分したほうがよさそうです。

■2:自家用車で引越し料金を節約すべし

また、引越し料金は運ぶ量や距離、業者によっても違い、さらに3〜4月のハイシーズンは高くなるものです。そこで予算を節約するために、自分の車に荷物を詰め込み、船で送るという方法を利用するのもいい方法。

著者は5ナンバーの普通乗用車と軽自動車を送ったそうですが、どちらもワンボックスタイプの乗用車だったので、荷物を満載したのだといいます。

宅配便では送れない荷物を優先的に車に詰め込み、自分たちはあとから飛行機で沖縄入りして、那覇新港へ引き取りに行ったというのです。

ちなみにワンボックス車でも、貨物車の4ナンバーや1ナンバー登録では料金が高くなるといいます。

気になる乗用車輸送運賃(全長4メートル以上5メートル未満)は、東京有明埠頭から那覇新港が5万9,500円〜で、大阪から那覇新港が5万5,000円〜。東京→沖縄、大阪→沖縄がいずれもドア to ドアで7万7,112円〜だそうです。

いずれにせよ、そうやって工夫をすることは、決して無視できない節約術だといえるかもしれません。

■3:口座はゆうちょ銀行に集約すべし!

ところでお金に関しては、意外な落とし穴があるようです。

というのも沖縄には、本土の都市銀行が「みずほ銀行」しかないというのです。しかも、宝くじを発行する関係で、かろうじて1店舗あるだけ。

なお、これまでは地元地銀の「沖縄銀行」「琉球銀行」「沖縄海邦銀行」と「みずほ銀行」による寡占状態が続いていたそうですが、沖縄経済の活況に目をつけた「鹿児島銀行」が、2015年9月28日、那覇市に沖縄視点を開設したのだとか。

まず力を入れているのは個人ローンで、特に際立っているのは住宅ローン。貸出金利を本土並みに低く設定し、地元の3行より優位に立つ戦略をとっているのだといいます。

沖縄で安心なのは、「ゆうちょ銀行」だそうです。

理由はいたってシンプルで、日本全国どこにでもあり、手数料をかけることなく出し入れができるから。なにかあったときは、本土でも沖縄でも窓口に行くことができるわけです。

そのため、移住の際はいったんすべてを「ゆうちょ銀行」に集約し、沖縄で生活をはじめてから他の口座を開設するのがいいと著者は提案しています。

また、イオンの店舗も多いため、「イオン銀行」を利用するという選択肢も。ただし各店舗にあるのはATMで、窓口があるのはイオンモールだけ。

沖縄では「イオンモール沖縄ライカム店」のみだそうですが、年中無休で営業しているのがいいところだといいます。

こうした話は、実際に移住経験のある人でないとわからないもの。しかも著者の場合は「ゼロ」からスタートしたわけですから、なおさらリアリティがあります。

沖縄への移住を漠然と考えている方は、まず手はじめに本書を手に取ってみてはいかがでしょうか?

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※峯田勝明(2016)『幸福度No.1☆「沖縄移住」でワクワク楽園生活!: ツテなし・カネなし・資格なし ゼロからはじめた私の方法』合同フォレスト