天然の横穴、構造物撤去で先住民遺跡保存…県の対応に地元の心境複雑/台湾

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(台東 7日 中央社)台東県長浜郷の断崖絶壁にぽっかりと口を空ける複数の横穴。八仙洞と呼ばれるこの洞窟群にはかつて、台湾原住民(先住民)の居住空間だったとされ、先月初旬、近代になって建設された廟の構造物の一部が、遺跡保存を訴える県によって撤去された。だが、市民からは「遺跡と現在の文化の共存ができなかった」と複雑な心境が聞かれている。

同地では1968年以降、本格的な発掘調査が行われた。これまでにおよそ2万〜3万5000年前の人類が暮らしていたことが分かっている。ちょうど旧石器時代にあたり、火を使いこなしていたほか、植物を採集したり、狩りや魚捕りをしていた痕跡があったという。

だが、日本統治時代になると廟が建設され、原状が失われた。その後も、地面がコンクリートで覆われたり、納骨堂や大仏が建設されるなどし、観光地化が進んだ。

県では約30年前から原状回復を求めて廟側と意思疎通を図っていたが、双方の溝は埋まらず、裁判沙汰に拡大。最近になり、台東地検が廟側に占用している土地を返還するよう求める判決を下したことから、今回の構造物撤去となった。

ただ、インターネット上では、長年親しまれた廟の構造物が撤去されたことで「東海岸の文化資産がまた一つなくなった」と悲痛な声が上がる。また、遺跡の保存と現地の文化は本来衝突するものではなく、共存するものだとし、県の対応に疑問を投げかけている。

(盧太城/編集:齊藤啓介)