日本は多くのチャンスを作ったが、決定力を欠いて2点しか奪えなかった。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 アウェーでタイを下してロシアワールドカップ・アジア最終予選の初勝利を手にした日本の試合結果は、韓国でも報じられている。
 
「日本、タイに2-0の勝利、最終予選初勝利を申告」(『エクススポーツ』)、「気を持ち直した日本、タイを圧倒」(『JOYNEWS24』)「日本、タイを2-0で撃破して“誤審ショック”から脱出」(『OSEN』)、「日本サッカー、タイを破って一息」(『デイリーアン』)などだ。
 
「“切歯腐心”の日本、タイを撃破」としたのは、『マネートゥデイ』だ。誤審問題などで悔しい思いをした日本の心境を“切歯腐心”とし、「それでも日本は毒気を持ってタイ戦に臨み、見事に大勝した」と報じた。
 
『SPORTAL KOREA』などは、「日本が試合開始から猛攻撃を浴びせた。 圧倒的なボール占有率を見せ、相手をハーフラインの下に追い込んだだけでなく自陣に密集したまま肉弾的な守備に乗り出したタイに、シュートの洗礼を浴びせた」としたほとだ。
 
「原口、浅野のゴールで起死回生した日本」(『SPOTV NEWS』)と、特定の選手の名を挙げた報道もいくつかあった。前出した『マネートゥデイ』も、「浅野と原口の用兵術が通用した日本の“ゴール決定力”は?」と題した記事の中で、「ハリルホジッチ監督は清武と岡崎を先発から外し、原口と浅野を起用した。ふたりはともにゴールを記録したことでハリルホジッチ監督の用兵術は成功した」とした。
 
 ただ、同メディアは「シュート17本で2ゴールしか記録できないなど慢性的な決定力不足の残念さも漏らした」と付け加えている。「日本メディア、タイ戦勝利でも酷評“シュート17本でたった2得点”」(『スポーツ東亜』)、「日本メディア、タイ戦勝利でも反応は分かる」(『STAR NEWS』)と、日本のメディアやネットユーザーたちの反応を報じるところも多かった。

 もっとも、そんな日本の反応以上に多かったのが、自国・韓国の不甲斐なさを嘆く記事だった。
 
 韓国は昨日、アジア最終予選でシリアと対戦。本来は敵地で行なわれる予定だったが、シリアが内戦状態であるため、中立地であるマレーシアで行なわれた試合は0-0で終わった。
 FIFAランク105位でグループ最弱の格下と踏んでいた相手に、まさかのスコアレスドローに終わっただけに、「シリアに引き分け…不安に包まれたシュティーリケ号」(『MBN』)、「ストライカー不在にゴール決定力も失踪」(『聯合ニュース』)、「問題は韓国。チャンス・体力・切り札、すべて“無”」(『フットボールリスト』)と、韓国代表の戦いぶりを厳しく批判する記事が多かった。
 
 そんななかで目を引いたのは、「分かっていてもやられてしまった“チムデ(=ベッド)サッカー、韓国はなぜ日本のようにできなかった」と題された『韓国スポーツ経済』の記事だ。
 
 チムデサッカーとは、すぐ倒れてあからさまに時間稼ぎする中東スタイルへの皮肉を込めた言葉だが、同メディアは日本を引き合いに出しながら韓国をこう批判している。
 
「相手の時間稼ぎを未然に防ぐ最善の方法は先制点だった。先制点が早く決まっていれば、先に行われたワールドカップ2次予選でシリアを3-0、5-0で撃破した日本のように大量得点も可能だった。日本は3-0で勝った試合で、後半10分と25分に連続ゴールを決めて沈没させている。ホームで行なわれた2回戦もまた、前半18分のシリアのオウンゴールから始まって5-0の大勝を飾っている。韓国も切迫感を持って前半から先制点のために総力を注がねばならなかったが、横パスで時間を無駄にした」
 
 前回の第1戦では韓国が笑い日本が泣いたが、第2戦では韓国が泣いて日本が笑った最終予選。ロシアへの道はこれからも両国の悲喜こもごもが続きそうだ。
 
文:慎 武宏(スポーツライター)
 
シン・ムグァン/1971年、東京都生まれ。韓国サッカー取材歴20年。近著に歴代コリアンJリーガーへのインタビュー集『イルボン(日本)はライバルか 韓国人Jリーガー28人の本音』(ピッチコミュニケーションズ)。